フォロワー数至上主義学園

入学式

　体育館に入り、入学式が始まる。
「まず、理事長の挨拶です」と司会が言うと、「生徒の皆さんは端に逃げてください」と放送され、皆一目散に逃げた。その瞬間、後ろからえげつないエンジン音とともにフェラーリで登場してきたのは僕たちの理事長だ。金の紙吹雪が舞い、派手な入場曲、これはフェスそのものだ。
　
　狩須磨学園の理事長の名は姫路裕翔ひめじゆうと、TOUYUBE登録者数3000万人越えの日本3位のTOUYUBERだ。髪型が茶髪のアフロでポンデリングって呼ばれている。
　TOUYUBEで成功した姫路は様々なビジネスに手を出し、ほぼ全てが成功、ついに学校まで作ってしまった。姫路は事務所ビジネスも行っており、彼の事務所のTop stageは日本で2番目に大きなTOUYUBE事務所だ。ちなみにこの学園にもTop stage所属の投稿者は多い。なぜならTop stage推薦なるものがあり、有名な投稿者である教員たちにプロデュースをしてもらえるからだ。
　姫路は再生数が取れることはなんだってする。この入学式も姫路のアカウントで生放送されていて、こうしているうちにも再生数はどんどん伸びているだろう。
　
　姫路が車からでてきた。
「よっ！」
　よっ！じゃねぇよ！なに派手な演出しときながらすかしてんだよ！っと心の中で突っ込んでしまった。
　姫路は壇上に上がり、演説を始めた。
「入学おめでとう。おれは次の時代のおれを作るためにこの学園を作ったんや。今の時代は影響力があればなんでもできるそんな時代や。それで影響力を作るめっちゃええ環境があれば、世間の注目を集めれる思ったんや。毎年5%くらいは100万人のフォロワーを持つスターになって卒業しとる。ここにおる20人に1人はスターになれるんや。こんなええ環境ないで。そのかわり競争は厳しいで。必死にならな3年間奴隷か家畜や。逆転できるような仕組みは作ってある。この中で何人がスターになるのかおれは楽しみや。」
　拍手喝采が起こった。さすがスーパースターだ。オーラが全然違う。続けて姫路は言う。
「それでやまず入学祝いとして君たちにはイベントを行ってもらう。如月きさらぎ説明よろしく。」

「はーい！みなさーん入学おめでとうございまーす。それではみなさんにこれからしてもらうイベントはGASFSガスフス（Group activities starting from scratch）でーす。みなさんにはゼロからクラスメイトとグループを組んでTOUYUBE活動を始めてもらいまーす。
評価基準は単純明快！登録者数です！
クラスで1番になったグループにはTopStageに入る権利とある生徒会役員とコラボする権利が与えられまーす。
みなさん頑張ってね♡」

　おーっと場が盛り上がった。美しすぎて話があまり入ってこなかったが、とりあえずもう競争が始まったようだ。競争はチャンスだ。この学園では勝てばフォロワー数が増え、スターになれるんだと改めて実感した。