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グラード王国王都ヴェーテル
その名はギルドマスター、マスガン。
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3人で会話をしながら、冒険者ギルドへと足を運び、ギルド建物に入り職員に封書を提出する。
職員は蝋封のエンブレムとサラを一瞥し、ハッすると慌てて席を立ち上がって一礼。
「ギルドマスターに報告致しますので、今暫しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
というと、サラは
「構いません。そんなに急いでないので慌てないで下さい。」
と言葉を返した。
数分も待たずにして、一行は応接間に通され、暫くしてからギルドマスターが姿を現した。
「失礼します。サラ様。そして、其方の御仁は昨日の火事で御活躍された…」
「藤倉 信です。宜しく。」
一礼をすると、ギルドマスターもお辞儀して返した。
ギルドマスターがリーチェに目を配ると、
「久しぶりですね。リーチェ。2年ぶりって処ですかな?あれから、少しは立ち直れましたか?」
「にゃははは…ギルマス。それをここで話すのは野暮ッスよ。(此処からぼそりと)…あんな穢らわしい奴等なんて…」
ギルドマスターは、少しバツが悪そうにしながら話を進める。
「それは失礼しました。申し遅れました。私はこの国全域の冒険者ギルドを任せられております、ギルドマスターのマスガンと申します。以後、お見知り置きを。」
オールバックにしたグレーの頭髪と、髪と同色の口髭が特徴のマスガンは恭しく一礼を信達に行いながら自己紹介をした。
「国王陛下からの封書をご拝読させて頂きました。…なるほど、姫様の見聞を広める為に諸国をお忍びで回る為に、冒険者としての肩書きが必要なのですね?」
両腕を組み、少し間を置き言葉をマスガンは続けた。
「本来ならアウト…なのですが、流石は国王陛下。故に元とは言え、冒険者のリーチェを従える様にした訳ですな。」
すると、サラとリーチェが
「どういう事(です・ッス)か?」
と質問を投げ掛ける。
代わりに答えたのが信だった。
「つまり、国王陛下は、サラや俺だけが登録した際、冒険者のノウハウが無いので、まずは自国のそのギルドのテリトリー内で実力を上げてから、他国等に移動した方が自然なんだと思う。しかしながら最初っから成り立てが他国へ行ったらどうなる?しかも偽名だ。何か訳ありの怪しい人物じゃないか?と疑う可能性が増えるだろう。」
サラとリーチェはウンウンと頷き、マスガンは両面を瞑り顎を右手で摘まむ様にして聴いていた。
「だから、リーチェの経歴が生かされる。リーチェが新しく冒険者仲間を作り編成。それが偶々な新人2人だった。しかしリーチェは他の国へ行きたい故にやむを得ず、その2人と一緒に指導がてら行く事にした。と言う筋書きだと思うが?」
マスガンは、ふふっと笑うと、
「ブラボー。大正解だ。陛下の封書には、まさしくその事が書いてあった。不自然でなく、自然な成り行きになるようにと、私まで巻き添えのシナリオが書いてあった。姫様達と私と口裏を合わせろって事でしょうな。」
と言ってニヤリと笑った。
「まずは名前ですかな?そのままですと、おかしいので。」
と、マスガンは、冒険者登録手続きを自らの手で始めた。
職員は蝋封のエンブレムとサラを一瞥し、ハッすると慌てて席を立ち上がって一礼。
「ギルドマスターに報告致しますので、今暫しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
というと、サラは
「構いません。そんなに急いでないので慌てないで下さい。」
と言葉を返した。
数分も待たずにして、一行は応接間に通され、暫くしてからギルドマスターが姿を現した。
「失礼します。サラ様。そして、其方の御仁は昨日の火事で御活躍された…」
「藤倉 信です。宜しく。」
一礼をすると、ギルドマスターもお辞儀して返した。
ギルドマスターがリーチェに目を配ると、
「久しぶりですね。リーチェ。2年ぶりって処ですかな?あれから、少しは立ち直れましたか?」
「にゃははは…ギルマス。それをここで話すのは野暮ッスよ。(此処からぼそりと)…あんな穢らわしい奴等なんて…」
ギルドマスターは、少しバツが悪そうにしながら話を進める。
「それは失礼しました。申し遅れました。私はこの国全域の冒険者ギルドを任せられております、ギルドマスターのマスガンと申します。以後、お見知り置きを。」
オールバックにしたグレーの頭髪と、髪と同色の口髭が特徴のマスガンは恭しく一礼を信達に行いながら自己紹介をした。
「国王陛下からの封書をご拝読させて頂きました。…なるほど、姫様の見聞を広める為に諸国をお忍びで回る為に、冒険者としての肩書きが必要なのですね?」
両腕を組み、少し間を置き言葉をマスガンは続けた。
「本来ならアウト…なのですが、流石は国王陛下。故に元とは言え、冒険者のリーチェを従える様にした訳ですな。」
すると、サラとリーチェが
「どういう事(です・ッス)か?」
と質問を投げ掛ける。
代わりに答えたのが信だった。
「つまり、国王陛下は、サラや俺だけが登録した際、冒険者のノウハウが無いので、まずは自国のそのギルドのテリトリー内で実力を上げてから、他国等に移動した方が自然なんだと思う。しかしながら最初っから成り立てが他国へ行ったらどうなる?しかも偽名だ。何か訳ありの怪しい人物じゃないか?と疑う可能性が増えるだろう。」
サラとリーチェはウンウンと頷き、マスガンは両面を瞑り顎を右手で摘まむ様にして聴いていた。
「だから、リーチェの経歴が生かされる。リーチェが新しく冒険者仲間を作り編成。それが偶々な新人2人だった。しかしリーチェは他の国へ行きたい故にやむを得ず、その2人と一緒に指導がてら行く事にした。と言う筋書きだと思うが?」
マスガンは、ふふっと笑うと、
「ブラボー。大正解だ。陛下の封書には、まさしくその事が書いてあった。不自然でなく、自然な成り行きになるようにと、私まで巻き添えのシナリオが書いてあった。姫様達と私と口裏を合わせろって事でしょうな。」
と言ってニヤリと笑った。
「まずは名前ですかな?そのままですと、おかしいので。」
と、マスガンは、冒険者登録手続きを自らの手で始めた。
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