17 / 111
グラード王国王都ヴェーテル
ヴェーテル近郊 サーハン村
しおりを挟む
話では、サーハン村と言う、王都近郊にある村である。
近郊とは言え徒歩や馬でも、時間は掛かる。
シン達がたどり着いたとしても、手遅れである可能性は濃厚だ。
それでも、僅かな可能性でも、このジュードの願いの為にも、とシンはゲールランナーを飛ばした。
『頼む、間に合ってくれ。』
シンは、かつて似た思いでゲールランナーを疾走させた思い出があった。
『……あの時は。』
そんな想いを背中越しに感じたのか、シンの腰に回した腕にギュッと力を入れて
「大丈夫。必ず助けましょう。シン」
と言った。
「……必ず助ける。だから、間に合ってくれ。」
リーチェとジュードも同じ思いだった。
村へ到着すると、あちらこちらの家が焼け、村人も鍬や鎌やフォーク等の農具を手に、ゴブリン達に応戦をしていた。
地面には、村人やゴブリンの骸が転がっており、多勢に無勢で村人達が押され、窮地に立たされていた。
「……間に合ったか!」
シンは停車させ、ゲールランナーから降りると、腰からバスタードソードを抜き放つ。
同じく、サラもリーチェも武器を抜き、ゴブリンに斬りかかる。
リーチェの場合、ジュードの護衛を兼ねての戦闘の分、不利ではあったが、シンとサラがカバーし合いながら、村人達の最後の砦に向かった。
ゴブリンの群れにゲールランナーを突撃させるには、生身だと斬り込むより危険な為、普通に戦闘を仕掛ける方が怪我をするリスクが少ない。
しかし、ゴブリンの数は群れと言うより、軍勢に近い数であった。
それはある程度の統率のある動きであった為、直感でシンは悟った。
『奴等、戦闘員と同じぐらいの厄介さだな。数の暴力か。』
とにかく、斬る斬るkill…斬り開く。
血路を築きながら、最後の砦…村長の家にたどり着いた。
家と言うより、豪邸に近い広さの為、村人の大半はこの家に避難していた。
「サラ、リーチェ…気が付いたか?」
「えぇ、妙に統率されてるわ。」
「そうッスね。まるで嬲り殺しにする様にジワジワって、趣味の悪いやり方ッス。」
一体、何の為に?
追い詰めるやり方で、得する事とは。
可能性の一つは、奴等がある物品や人物を引き渡す様、促す為に恐怖を伝播させ、村人達の内部崩壊を招く為におこなっている。
…………あり得ない。
何故なら、そこまでして得るモノを村人達が持っているとは考えられない。
なら、答えは一つだ。
恐怖による
見せしめと、降伏の促しだ。
では誰に見せしめをするのか?
考えられるのは、
国王陛下達に対してだ。
一体誰が、何の為に?
しかし、その考えは後だ。
奴等に直接訊けば良い!
近郊とは言え徒歩や馬でも、時間は掛かる。
シン達がたどり着いたとしても、手遅れである可能性は濃厚だ。
それでも、僅かな可能性でも、このジュードの願いの為にも、とシンはゲールランナーを飛ばした。
『頼む、間に合ってくれ。』
シンは、かつて似た思いでゲールランナーを疾走させた思い出があった。
『……あの時は。』
そんな想いを背中越しに感じたのか、シンの腰に回した腕にギュッと力を入れて
「大丈夫。必ず助けましょう。シン」
と言った。
「……必ず助ける。だから、間に合ってくれ。」
リーチェとジュードも同じ思いだった。
村へ到着すると、あちらこちらの家が焼け、村人も鍬や鎌やフォーク等の農具を手に、ゴブリン達に応戦をしていた。
地面には、村人やゴブリンの骸が転がっており、多勢に無勢で村人達が押され、窮地に立たされていた。
「……間に合ったか!」
シンは停車させ、ゲールランナーから降りると、腰からバスタードソードを抜き放つ。
同じく、サラもリーチェも武器を抜き、ゴブリンに斬りかかる。
リーチェの場合、ジュードの護衛を兼ねての戦闘の分、不利ではあったが、シンとサラがカバーし合いながら、村人達の最後の砦に向かった。
ゴブリンの群れにゲールランナーを突撃させるには、生身だと斬り込むより危険な為、普通に戦闘を仕掛ける方が怪我をするリスクが少ない。
しかし、ゴブリンの数は群れと言うより、軍勢に近い数であった。
それはある程度の統率のある動きであった為、直感でシンは悟った。
『奴等、戦闘員と同じぐらいの厄介さだな。数の暴力か。』
とにかく、斬る斬るkill…斬り開く。
血路を築きながら、最後の砦…村長の家にたどり着いた。
家と言うより、豪邸に近い広さの為、村人の大半はこの家に避難していた。
「サラ、リーチェ…気が付いたか?」
「えぇ、妙に統率されてるわ。」
「そうッスね。まるで嬲り殺しにする様にジワジワって、趣味の悪いやり方ッス。」
一体、何の為に?
追い詰めるやり方で、得する事とは。
可能性の一つは、奴等がある物品や人物を引き渡す様、促す為に恐怖を伝播させ、村人達の内部崩壊を招く為におこなっている。
…………あり得ない。
何故なら、そこまでして得るモノを村人達が持っているとは考えられない。
なら、答えは一つだ。
恐怖による
見せしめと、降伏の促しだ。
では誰に見せしめをするのか?
考えられるのは、
国王陛下達に対してだ。
一体誰が、何の為に?
しかし、その考えは後だ。
奴等に直接訊けば良い!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる