変身HERO異世界へ征く!

加賀林檎

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グラード王国王都ヴェーテル

ヴェーテル近郊 サーハン村

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話では、サーハン村と言う、王都近郊にある村である。

近郊とは言え徒歩や馬でも、時間は掛かる。

シン達がたどり着いたとしても、手遅れである可能性は濃厚だ。

それでも、僅かな可能性でも、このジュードの願いの為にも、とシンはゲールランナーを飛ばした。

『頼む、間に合ってくれ。』

シンは、かつて似た思いでゲールランナーを疾走させた思い出があった。

『……あの時は。』

そんな想いを背中越しに感じたのか、シンの腰に回した腕にギュッと力を入れて

「大丈夫。必ず助けましょう。シン」

と言った。

「……必ず助ける。だから、間に合ってくれ。」

リーチェとジュードも同じ思いだった。




村へ到着すると、あちらこちらの家が焼け、村人も鍬や鎌やフォーク等の農具を手に、ゴブリン達に応戦をしていた。
地面には、村人やゴブリンの骸が転がっており、多勢に無勢で村人達が押され、窮地に立たされていた。

「……間に合ったか!」

シンは停車させ、ゲールランナーから降りると、腰からバスタードソードを抜き放つ。

同じく、サラもリーチェも武器を抜き、ゴブリンに斬りかかる。

リーチェの場合、ジュードの護衛を兼ねての戦闘の分、不利ではあったが、シンとサラがカバーし合いながら、村人達の最後の砦に向かった。

ゴブリンの群れにゲールランナーを突撃させるには、生身だと斬り込むより危険な為、普通に戦闘を仕掛ける方が怪我をするリスクが少ない。
しかし、ゴブリンの数は群れと言うより、軍勢に近い数であった。
それはある程度の統率のある動きであった為、直感でシンは悟った。

『奴等、戦闘員と同じぐらいの厄介さだな。数の暴力か。』

とにかく、斬る斬るkill…斬り開く。
血路を築きながら、最後の砦…村長の家にたどり着いた。
家と言うより、豪邸に近い広さの為、村人の大半はこの家に避難していた。

「サラ、リーチェ…気が付いたか?」

「えぇ、妙に統率されてるわ。」

「そうッスね。まるで嬲り殺しにする様にジワジワって、趣味の悪いやり方ッス。」

一体、何の為に?
追い詰めるやり方で、得する事とは。
可能性の一つは、奴等がある物品や人物を引き渡す様、促す為に恐怖を伝播させ、村人達の内部崩壊を招く為におこなっている。
…………あり得ない。
何故なら、そこまでして得るモノを村人達が持っているとは考えられない。
なら、答えは一つだ。
恐怖による
見せしめと、降伏の促しだ。
では誰に見せしめをするのか?
考えられるのは、
国王陛下達に対してだ。
一体誰が、何の為に?

しかし、その考えは後だ。
奴等に直接訊けば良い・・・・・・・・・・
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