変身HERO異世界へ征く！

ハンサーラ公国と亡国の思惑

シンの方は

ここは、王国対策室。
シンは、馴れない執務に励んでいた。

「……くぁ～っ。……こんな仕事は、やった事ないから、余計に疲れるなぁ。身体を動かす方が、楽と言えば楽なんだがなぁ。」

生欠伸なまあくびを堂々とかきながら、独り言をぼやいた。

再び、書類に眼をやり初めると、神ちゃんから、通話が入ってきた。

『久し振りだな。シン。』

「……一体、何の用事ですか。神様。」

『……神ちゃん。』

「……………………？」

『神ちゃんと、呼びなさい。』

随分と横柄だな。と思いつつ、シンはもう一度尋ねた。

「で？何のご用ですか？…………神ちゃん。」

『うむ。汝の仲間が、とんでもない物を調査したようだぞ？』

「何？」

『おって報告があるとは思うが、どうする？聴くか？』

「聴こう。」

すると、神ちゃんはリーチェが発見した研究所と、研究内容を聴いた。

「……なるほど。公国は、愚かしい兵器を造ろうとしてるのだな。……さて、どうするか。」

シンは書類作業の手を休め、思案に耽る。

(今は、下手に出れば公国の警戒心を強める事になる。

ならば、まずは北の調査を最優先とし、その次に、この件の調査。施設攻撃は、侵攻と同時に破壊工作を実施するのが、良策か？)

『……で。どうするのだ？』

「うむ。今は静観するべき……かな。」

『良いのか？それで。』

「ただ待つのは、性に合わない。か？」

シンは一言吐くと、顔を綻ばせて言葉を続ける。

「全く持って、その通りだ。性に合わない。なら、打てる手を打つだけだ。」

シンはインカムを通し、役員を呼び出した。

暫しばらくして、ドアにノックが聞こえたので、入室を許可する。

「失礼します。室長、急な案件ですか？」

部屋に入って来たのは、20代前半の男性と女性のペアだ。

「……呼び出したのは他でも無い。大事に至る事案が発生した。2人には申し訳無いが、この事案に対し、調査及び、必要に応じて破壊せよ。今から説明する事は最重要機密トップシークレットだ。」

2人か互いに顔を見合せると、男性から質問が投げ掛けられる。

「室長。質問が一つ。事案と言う事は、政治的な問題に成り得る、と解釈しても？」

シンは、大仰おおぎょうに頭を深く縦に一度降った。

「間違いない。事と次第によっては、世界規模の問題になる。これで良いか？リック、そしてアンジュ。」

リックと呼ばれた男性と、アンジュと呼ばれた女性は

「了。」

と一言発すると、シンは説明に入った。