60 / 295
シーズン2-エミド再侵攻
060-捕虜の使い道
しおりを挟む
というわけで、エリワンステップの防衛には成功した。
本格的なワームホール制御施設が完成したおかげで、エリワンステップの出口は今の所Ve’zの支配領域にしか開かないようになっている。
「それで......これはなんだ」
『私からのお土産です!』
『拙者が主君に差し上げたい、敵将の首に御座います』
『戦術的に正しいかと思い、捕縛しました』
僕の目の前にあったのは、台に固定されたカプセルだった。
エミド人が艦船に装填されているものとよく似ている。
『登録名はアディナ、エミド語で羽という意味ですね』
「まだエミドと繋がっているのか?」
『エリアス様、アロウトには....』
「ああ、そうだったな」
アロウトには電子・精神的な接続に干渉するジャミングが張られている。
つまり、ここをスパイしたいのなら、電子的にも精神的にも自由な人間を使うほかないのだ。
「開けろ」
『はい』
カサンドラが触手でカプセルを開き、カプセルの中にいる人間を引きずり出した。
眠っているようだ。
「起きないのか?」
『インプラントを除去しない限りは目覚めないようです』
ケルビスが冷静に言い放つ。
僕は椅子から降りて、人間に近寄る。
髪を持って身体を持ち上げると、どうやら女らしいという事が分かった。
「....どうするつもりだ? 僕はエリスで十分だ」
僕がそう返すと、カサンドラが人間をカプセルに戻す。
『では、廃棄処分にいたしましょう』
「いや、待て。せっかく殺さないでおいたのだから、利用法を考えよう」
折角ジェネラスを暇させてまで確保したのだから、わざわざ捨てるのも問題だ。
何かないだろうか。
「エリアスー、お菓子が出来たわよ!」
その時、最悪のタイミングでエリスが姿を現した。
カプセルがまだ開いていたので、裸の女性を皆で囲んでいる構図になってしまった。
「あ........」
エリスが硬直している。
そして、真っすぐ僕の所に歩いて来る。
「エリアス!」
「違う、これは......ケルビス?」
『申し訳ございません、エリアス様! このような事になるとは思わず、施錠しておりませんでしたッッッ!』
ケルビスが土下座するが、それは今の時点では悪手にしかならない。
「浮気しちゃ駄目よ」
「....敵の捕虜だ、これから何をさせようか考えていただけだ」
「そう」
エリスは僕の頬に唇を寄せて、去って行った。
「.....シーシャ、ポラノル、彼女を治療できるか?」
『お任せください』
『任せてください!』
僕はとりあえず、今後の彼女の扱いについて話す。
「インプラントを抜いて、思考を矯正した後に、エリワンステップの指導者に任命する」
『成程、奴隷を脱した人間達の指導者は、同じく奴隷だった者がすべきでしょう。流石はエリアス様ですね』
ケルビスが触手で胸?に手を当て同意する。
ケルビスが同意したという事は、反対も特にないだろう。
「では、そうしよう」
というわけで、捕虜の扱いも決まった。
色々課題もあるが、まあ今のところはこれでいいだろう。
何より....
「エリスのお菓子が気になる」
『.....』
「お前たちもついてこい」
乗り気の配下を連れて、僕はエリスの焼いたお菓子を見に行くのだった。
本格的なワームホール制御施設が完成したおかげで、エリワンステップの出口は今の所Ve’zの支配領域にしか開かないようになっている。
「それで......これはなんだ」
『私からのお土産です!』
『拙者が主君に差し上げたい、敵将の首に御座います』
『戦術的に正しいかと思い、捕縛しました』
僕の目の前にあったのは、台に固定されたカプセルだった。
エミド人が艦船に装填されているものとよく似ている。
『登録名はアディナ、エミド語で羽という意味ですね』
「まだエミドと繋がっているのか?」
『エリアス様、アロウトには....』
「ああ、そうだったな」
アロウトには電子・精神的な接続に干渉するジャミングが張られている。
つまり、ここをスパイしたいのなら、電子的にも精神的にも自由な人間を使うほかないのだ。
「開けろ」
『はい』
カサンドラが触手でカプセルを開き、カプセルの中にいる人間を引きずり出した。
眠っているようだ。
「起きないのか?」
『インプラントを除去しない限りは目覚めないようです』
ケルビスが冷静に言い放つ。
僕は椅子から降りて、人間に近寄る。
髪を持って身体を持ち上げると、どうやら女らしいという事が分かった。
「....どうするつもりだ? 僕はエリスで十分だ」
僕がそう返すと、カサンドラが人間をカプセルに戻す。
『では、廃棄処分にいたしましょう』
「いや、待て。せっかく殺さないでおいたのだから、利用法を考えよう」
折角ジェネラスを暇させてまで確保したのだから、わざわざ捨てるのも問題だ。
何かないだろうか。
「エリアスー、お菓子が出来たわよ!」
その時、最悪のタイミングでエリスが姿を現した。
カプセルがまだ開いていたので、裸の女性を皆で囲んでいる構図になってしまった。
「あ........」
エリスが硬直している。
そして、真っすぐ僕の所に歩いて来る。
「エリアス!」
「違う、これは......ケルビス?」
『申し訳ございません、エリアス様! このような事になるとは思わず、施錠しておりませんでしたッッッ!』
ケルビスが土下座するが、それは今の時点では悪手にしかならない。
「浮気しちゃ駄目よ」
「....敵の捕虜だ、これから何をさせようか考えていただけだ」
「そう」
エリスは僕の頬に唇を寄せて、去って行った。
「.....シーシャ、ポラノル、彼女を治療できるか?」
『お任せください』
『任せてください!』
僕はとりあえず、今後の彼女の扱いについて話す。
「インプラントを抜いて、思考を矯正した後に、エリワンステップの指導者に任命する」
『成程、奴隷を脱した人間達の指導者は、同じく奴隷だった者がすべきでしょう。流石はエリアス様ですね』
ケルビスが触手で胸?に手を当て同意する。
ケルビスが同意したという事は、反対も特にないだろう。
「では、そうしよう」
というわけで、捕虜の扱いも決まった。
色々課題もあるが、まあ今のところはこれでいいだろう。
何より....
「エリスのお菓子が気になる」
『.....』
「お前たちもついてこい」
乗り気の配下を連れて、僕はエリスの焼いたお菓子を見に行くのだった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜
妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。
男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。
現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。
そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。
しかし、ただの転生では終わらなかった――
彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。
無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。
護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、
毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく……
個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。
――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。
そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。
「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」
恋も戦場も、手加減なんてしてられない。
逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる