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終章(1/3)-『探求』編
202-覚悟
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イスペア星系にて。
そこでは、続々とNoa-Tun連邦の流入が始まっていた。
原因は、星系の恒星跡からもっとも離れた場所に建造された巨大な要塞。
要塞の周囲には、まるでスターゲートのような建造物が作られ、そこから続々と艦が飛び出してきているのだ。
スターゲートで繋げられたネットワークを通り、数千数万の艦隊が送り込まれているのである。
『現在のジャンプによる総数は50隻ほどです』
そしてそれを、Ve’z側も静観している訳ではない。
Noa-Tun側からサルベージしたジャンプドライブをリバースエンジニアリングし、ジャンプドライブによる奇襲で補給線を分断、こうしてエクスティラノスが出張って偵察を行っているという訳である。
『記録終了、一度帰還します』
ファントムエクスティラノス.....シュマルの乗艦は、その場でジャンプドライブを起動して離脱する。
遥かな距離を一瞬で移動したファントムエクスティラノスは、アロウトのメインサーバーに情報を送信する。
情報を受け取ったサーバーは、認証コードの合致を承認してから情報を集積する。
『連邦についても十分な情報が集まりましたね』
情報を高速コードで閲覧していたカサンドラは、ここ数日における偵察や、ハッキングにおける成果を収集していた。
連邦のデータバンクはセキュリティが硬く、クラッキングを感知してから1分以内にデータバンクごと自爆するため、情報を全て抜くことは不可能だったが、ノクティラノスを何百機と消費することで、断片的な情報に整合性を持たせることに成功していた。
『Noa-Tun連邦...興味深い事ばかりです』
その統治機構は、Ve’zの知るあらゆる国家と比較しても特殊であった。
むしろ、エミド統合体が一番近いくらいである。
それは、二十二人の指揮官と、艦隊司令が統治する国家であるという一つの事実からも分かる。
国家元首の名はノーザン・ライツ。
その下に艦隊司令.....つまりは、軍に当たる戦力の総指揮官であるシンと呼ばれる男がおり、その下に二十二人の部下が居る。
しかし、二十二人の指揮官には統治権限はなく、人のいない無人の星系を管理するのは、エクスティラノスのような高性能なAIである「AURORA」と呼ばれる存在である。
『オーロラ.......彼女は、どこから来たのでしょうか?』
『分かりません、あんな高度な構造を可能とする文明は、この世界には存在しないでしょう』
実は、前回ユグドラシル星系に強襲した際、通信帯域に割り込みハッキングを試みたのだが――――逆に解析されて無力化、Ve’z側のネットワークにバックドアを仕掛けようとしてきたため、慌ててネットワークを遮断、再暗号化する羽目になったのだ。
それほどの高速処理を実現できるAIなど、Ve’zの技術でもギリギリ作れるか、というくらいのものである。
『王国の情報はどうですか?』
『そちらは以前とほとんど変わりませんが、あの艦――――アドアステラの存在はローカル上にしか存在しないようで、我々では情報を得る事が出来ませんでした』
『そうですか....』
そして、Ve’zにとってもう一つのイレギュラーとなる存在である、アドアステラ。
王国に突如出現した傭兵カルの乗る船であり、Ve’zのシールドを貫通できる威力を持つ砲を装備している。
その存在もまた、秘匿という名のベールの下で輝いている。
闇の中で蠢くVe’zという存在にシンパやスパイ等という概念はなく、またそれを育成する時間も不足している。
『厄介なのは、アドアステラが王国の指揮系統から独立していることですね』
『ええ、王国を滅ぼした程度では無力化出来る存在ではありません』
Ve’zの戦力をもってすれば、オルトス王国を滅ぼすことは容易である。
しかし、アドアステラはそれでは止まらない、止められないのだ。
『いいかね、エリアス様は我々の無能にお怒りだ、次善策を打たねば、再び二度と帰らぬかもしれないのだよ』
その時。
シーシャとカサンドラの会話に、ケルビスが割り込んでくる。
嘗ての時代、エリアスは『自殺』した。
死ねないシステムをわざと誤作動させ、自分の精神を二度と戻らない旅路へと放り込んだのだ。
誰も言わないだけで、エリアスの『死因』も。
戻ってきたときの『変化』も。
時折見せる嘗ての『姿』も。
エクスティラノス達は全て知っている。
『....そうですね、旅行というのも我々を試すための建前に過ぎないでしょう』
この危機の中、旅に出るなど支配者のする事ではないと、カサンドラは考えていた。
だからこそ、自分が戦場から身を引く事で自分たちを試し、その上で再度、反転攻勢に打って出るのだろうと。
『とにかく、全権は一時的に私に移譲されています。もしエリアス様がお戻りにならないのであれば、如何なる手段をもってしても敵を殲滅、あの御方が戻る日までアロウトをお守りするまでです』
あくまでカサンドラはそう言い切り、情報のインストールを再開した。
そこでは、続々とNoa-Tun連邦の流入が始まっていた。
原因は、星系の恒星跡からもっとも離れた場所に建造された巨大な要塞。
要塞の周囲には、まるでスターゲートのような建造物が作られ、そこから続々と艦が飛び出してきているのだ。
スターゲートで繋げられたネットワークを通り、数千数万の艦隊が送り込まれているのである。
『現在のジャンプによる総数は50隻ほどです』
そしてそれを、Ve’z側も静観している訳ではない。
Noa-Tun側からサルベージしたジャンプドライブをリバースエンジニアリングし、ジャンプドライブによる奇襲で補給線を分断、こうしてエクスティラノスが出張って偵察を行っているという訳である。
『記録終了、一度帰還します』
ファントムエクスティラノス.....シュマルの乗艦は、その場でジャンプドライブを起動して離脱する。
遥かな距離を一瞬で移動したファントムエクスティラノスは、アロウトのメインサーバーに情報を送信する。
情報を受け取ったサーバーは、認証コードの合致を承認してから情報を集積する。
『連邦についても十分な情報が集まりましたね』
情報を高速コードで閲覧していたカサンドラは、ここ数日における偵察や、ハッキングにおける成果を収集していた。
連邦のデータバンクはセキュリティが硬く、クラッキングを感知してから1分以内にデータバンクごと自爆するため、情報を全て抜くことは不可能だったが、ノクティラノスを何百機と消費することで、断片的な情報に整合性を持たせることに成功していた。
『Noa-Tun連邦...興味深い事ばかりです』
その統治機構は、Ve’zの知るあらゆる国家と比較しても特殊であった。
むしろ、エミド統合体が一番近いくらいである。
それは、二十二人の指揮官と、艦隊司令が統治する国家であるという一つの事実からも分かる。
国家元首の名はノーザン・ライツ。
その下に艦隊司令.....つまりは、軍に当たる戦力の総指揮官であるシンと呼ばれる男がおり、その下に二十二人の部下が居る。
しかし、二十二人の指揮官には統治権限はなく、人のいない無人の星系を管理するのは、エクスティラノスのような高性能なAIである「AURORA」と呼ばれる存在である。
『オーロラ.......彼女は、どこから来たのでしょうか?』
『分かりません、あんな高度な構造を可能とする文明は、この世界には存在しないでしょう』
実は、前回ユグドラシル星系に強襲した際、通信帯域に割り込みハッキングを試みたのだが――――逆に解析されて無力化、Ve’z側のネットワークにバックドアを仕掛けようとしてきたため、慌ててネットワークを遮断、再暗号化する羽目になったのだ。
それほどの高速処理を実現できるAIなど、Ve’zの技術でもギリギリ作れるか、というくらいのものである。
『王国の情報はどうですか?』
『そちらは以前とほとんど変わりませんが、あの艦――――アドアステラの存在はローカル上にしか存在しないようで、我々では情報を得る事が出来ませんでした』
『そうですか....』
そして、Ve’zにとってもう一つのイレギュラーとなる存在である、アドアステラ。
王国に突如出現した傭兵カルの乗る船であり、Ve’zのシールドを貫通できる威力を持つ砲を装備している。
その存在もまた、秘匿という名のベールの下で輝いている。
闇の中で蠢くVe’zという存在にシンパやスパイ等という概念はなく、またそれを育成する時間も不足している。
『厄介なのは、アドアステラが王国の指揮系統から独立していることですね』
『ええ、王国を滅ぼした程度では無力化出来る存在ではありません』
Ve’zの戦力をもってすれば、オルトス王国を滅ぼすことは容易である。
しかし、アドアステラはそれでは止まらない、止められないのだ。
『いいかね、エリアス様は我々の無能にお怒りだ、次善策を打たねば、再び二度と帰らぬかもしれないのだよ』
その時。
シーシャとカサンドラの会話に、ケルビスが割り込んでくる。
嘗ての時代、エリアスは『自殺』した。
死ねないシステムをわざと誤作動させ、自分の精神を二度と戻らない旅路へと放り込んだのだ。
誰も言わないだけで、エリアスの『死因』も。
戻ってきたときの『変化』も。
時折見せる嘗ての『姿』も。
エクスティラノス達は全て知っている。
『....そうですね、旅行というのも我々を試すための建前に過ぎないでしょう』
この危機の中、旅に出るなど支配者のする事ではないと、カサンドラは考えていた。
だからこそ、自分が戦場から身を引く事で自分たちを試し、その上で再度、反転攻勢に打って出るのだろうと。
『とにかく、全権は一時的に私に移譲されています。もしエリアス様がお戻りにならないのであれば、如何なる手段をもってしても敵を殲滅、あの御方が戻る日までアロウトをお守りするまでです』
あくまでカサンドラはそう言い切り、情報のインストールを再開した。
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