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終章(1/3)-『探求』編
213-出現する小惑星級旗艦級戦艦
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数時間後。
戦闘は一進一退の後、連邦艦隊の辛勝に持ち込まれ、戦場はラベクの門の前へと変わっていた。
ラベクの門とは、超大型のスターゲートである。
Ve’z領域に設置されている、通過型のものとは違い、既知領域に設置されているゲートのシステムを使ってジャンプするタイプのゲートである。
『奴らは死ぬのが怖くないのかねえ?』
『元々彼らは無人だよ、ポラノル』
『分かってるさ、でも指揮官機は別だろう?』
ケルビスとポラノルは、進展しない戦場で会話する。
戦場は最早最終兵器と超兵器の撃ち合いとなっており、連邦は高機動艦と多数の主力艦を投入している。
夥しい数の主力艦に、最初は驚いたVe’zだったものの、荒れ狂う閃光とミサイル、弾丸の数々にすぐに驚いてもいられなくなった。
『在庫処分っ、全部持ってって!』
とタッティラに言われたカサンドラは、超兵器投射用として旧型艦船の在庫を一斉動員。
新型装備すらまともに付いていないヴィジラントノクティラノスやエクスタミネーターノクティラノスが戦場に出て、敵の主力艦を沈めるために「ニューエンド」を撃つのだ。
一発撃つだけで、主力艦を一隻沈められる。
しかもVe‘zの旧式超兵器の特徴は、現行のものより低威力であるが、より高速の連射が可能な事である。
そして、連邦もこれを静観しているわけではない。
Ve‘z艦隊の中で、時折爆発が発生する。
空間から突然飛び出した機体が、Ve’z艦を破壊したのだ。
続けて、虚数空間から飛び出した魚雷が、旧Ve‘z艦を数隻吹き飛ばす。
『後続を呼びます』
そして、ラベクの門からワープしてきた後続に対して、いきなり遮蔽を解いて現れた連邦艦が、一斉に爆弾を投射する。
だがこれは、増援に紛れていたアイギスノクティラノスが急激な回頭をし、シールドで爆発を防いだことで無力化される。
連邦の爆撃艦は、Ve‘z両翼からの攻撃を受けて即座に全滅する。
『どうも有効打に欠けますね、格下としか戦ってこなかったのでしょうか?』
『その可能性は大いにありうるね』
連邦の稚拙な戦術に、エクスティラノス達は首を傾げる。
その時。
連邦の増援が止まった。
何が起きたのかと思索するVe’zだったが、事態は既に進行していた。
ラベクの門の周辺に艦隊が出現し、門が幾つもの球状の重力異常に包まれる。
主力艦隊のジャンプ地点が変わり、Ve‘zを挟むように展開した。
『これは...まずいね、高速言語でIDを割り振る! IDによって対処先を変えるよ!』
最初に反応したのはケルビスだった。
全ての艦が、ジャンプ直後のエネルギー減少から立ち直りつつある主力艦の方向を向き始める。
残存した主力艦は、ケルビスと数隻が相手取り、メッティーラはラベクの門周辺の艦隊を抑える形になる。
艦隊は上下に展開し、一網打尽になる事を防ぐように動く。
『やはり、ワープの妨害ですか!』
ラベクの門への短距離ワープを試みたメッティーラは、球状のフィールド範囲外ギリギリでワープが停止したことで、敵の使用した装置の効果を知る。
ベネディクトを一斉に展開したメッティーラ艦隊は、スラスターを最大出力で噴射して連邦艦隊に肉薄、至近距離からダウンレイを射撃する。
連邦の戦艦は恐ろしい程の粘り強さを見せ、シールドと装甲を常に回復させながらVe’z艦を追い詰める。
アナテマは艦隊の間隙を縫って飛び、戦艦に対してシールド支援を行っている艦を特定して撃墜する。
両者ともに最強の鉾と盾を持つ戦いであり、連邦の艦載機もメッティーラ艦隊へと飛び込み、決死の攻撃を仕掛けていた。
『彼らは恐怖という感情がないのでしょうか?』
艦載機は有人である事を、メッティーラは生体センサーで感知していた。
ノクティラノスには動揺がない。
だが、エクスティラノスには。
死兵となって突っ込んでくる艦載機のパイロット達が、とても奇異に思えた。
『おっと。敵も本腰を入れてきたか...』
『冗談言ってる場合じゃないよ!?』
そして。
ケルビスが呟き、アドラスが突っ込む。
事態はさらに進行し、より致命的になっていく。
ラベクの門前、先程主力艦隊が残っていた位置に、今までとは比べ物にならない大きさの主力艦が出現したのである。
その船の名は。
小惑星級旗艦級戦艦:ミドガルズオルム。
それが、三隻現れたのである。
それは即ち。
この戦局の終わりを示唆していた。
戦闘は一進一退の後、連邦艦隊の辛勝に持ち込まれ、戦場はラベクの門の前へと変わっていた。
ラベクの門とは、超大型のスターゲートである。
Ve’z領域に設置されている、通過型のものとは違い、既知領域に設置されているゲートのシステムを使ってジャンプするタイプのゲートである。
『奴らは死ぬのが怖くないのかねえ?』
『元々彼らは無人だよ、ポラノル』
『分かってるさ、でも指揮官機は別だろう?』
ケルビスとポラノルは、進展しない戦場で会話する。
戦場は最早最終兵器と超兵器の撃ち合いとなっており、連邦は高機動艦と多数の主力艦を投入している。
夥しい数の主力艦に、最初は驚いたVe’zだったものの、荒れ狂う閃光とミサイル、弾丸の数々にすぐに驚いてもいられなくなった。
『在庫処分っ、全部持ってって!』
とタッティラに言われたカサンドラは、超兵器投射用として旧型艦船の在庫を一斉動員。
新型装備すらまともに付いていないヴィジラントノクティラノスやエクスタミネーターノクティラノスが戦場に出て、敵の主力艦を沈めるために「ニューエンド」を撃つのだ。
一発撃つだけで、主力艦を一隻沈められる。
しかもVe‘zの旧式超兵器の特徴は、現行のものより低威力であるが、より高速の連射が可能な事である。
そして、連邦もこれを静観しているわけではない。
Ve‘z艦隊の中で、時折爆発が発生する。
空間から突然飛び出した機体が、Ve’z艦を破壊したのだ。
続けて、虚数空間から飛び出した魚雷が、旧Ve‘z艦を数隻吹き飛ばす。
『後続を呼びます』
そして、ラベクの門からワープしてきた後続に対して、いきなり遮蔽を解いて現れた連邦艦が、一斉に爆弾を投射する。
だがこれは、増援に紛れていたアイギスノクティラノスが急激な回頭をし、シールドで爆発を防いだことで無力化される。
連邦の爆撃艦は、Ve‘z両翼からの攻撃を受けて即座に全滅する。
『どうも有効打に欠けますね、格下としか戦ってこなかったのでしょうか?』
『その可能性は大いにありうるね』
連邦の稚拙な戦術に、エクスティラノス達は首を傾げる。
その時。
連邦の増援が止まった。
何が起きたのかと思索するVe’zだったが、事態は既に進行していた。
ラベクの門の周辺に艦隊が出現し、門が幾つもの球状の重力異常に包まれる。
主力艦隊のジャンプ地点が変わり、Ve‘zを挟むように展開した。
『これは...まずいね、高速言語でIDを割り振る! IDによって対処先を変えるよ!』
最初に反応したのはケルビスだった。
全ての艦が、ジャンプ直後のエネルギー減少から立ち直りつつある主力艦の方向を向き始める。
残存した主力艦は、ケルビスと数隻が相手取り、メッティーラはラベクの門周辺の艦隊を抑える形になる。
艦隊は上下に展開し、一網打尽になる事を防ぐように動く。
『やはり、ワープの妨害ですか!』
ラベクの門への短距離ワープを試みたメッティーラは、球状のフィールド範囲外ギリギリでワープが停止したことで、敵の使用した装置の効果を知る。
ベネディクトを一斉に展開したメッティーラ艦隊は、スラスターを最大出力で噴射して連邦艦隊に肉薄、至近距離からダウンレイを射撃する。
連邦の戦艦は恐ろしい程の粘り強さを見せ、シールドと装甲を常に回復させながらVe’z艦を追い詰める。
アナテマは艦隊の間隙を縫って飛び、戦艦に対してシールド支援を行っている艦を特定して撃墜する。
両者ともに最強の鉾と盾を持つ戦いであり、連邦の艦載機もメッティーラ艦隊へと飛び込み、決死の攻撃を仕掛けていた。
『彼らは恐怖という感情がないのでしょうか?』
艦載機は有人である事を、メッティーラは生体センサーで感知していた。
ノクティラノスには動揺がない。
だが、エクスティラノスには。
死兵となって突っ込んでくる艦載機のパイロット達が、とても奇異に思えた。
『おっと。敵も本腰を入れてきたか...』
『冗談言ってる場合じゃないよ!?』
そして。
ケルビスが呟き、アドラスが突っ込む。
事態はさらに進行し、より致命的になっていく。
ラベクの門前、先程主力艦隊が残っていた位置に、今までとは比べ物にならない大きさの主力艦が出現したのである。
その船の名は。
小惑星級旗艦級戦艦:ミドガルズオルム。
それが、三隻現れたのである。
それは即ち。
この戦局の終わりを示唆していた。
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