【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件～人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます～

黴男

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終章(1/3)-『探求』編

220-チートVSチート

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『試射、開始！』

発射されたレーザーが、鹵獲された連邦艦に向かって飛ぶ。
それはシールドを障子の様に突き破り、装甲に接触した瞬間に紙が水を吸うように浸透し、内部から粉砕した。
粉砕は伝播し、鹵獲艦を粉々に吹き飛ばした。

『実験、成功です。鹵獲戦艦に対して一定の有効性が認められます』
『こちらも実験成功です、熱量転送装甲.....トランスアーマーは、連邦の最終兵器を無力化できます。ターボシールドも同様です』

ラベクの門制圧から二日後。
Ve’zでは、禁忌技術の実用実験が盛んに行われていた。
ダウンレイの高出力版――――『エクリプス・レイ』は、今までのものよりもはるかに高出力.......否。
過剰な出力を持っていた。
最大出力で放てば、空間そのものを突き破る出力を持つ。
封印されていたわけである。
こんな武装が、自衛のみを主軸とするVe’zの艦に積まれていれば、それは過剰戦力である。

『ターボシールド.....空間歪曲場ですか』

これまでのシールドは、粒子を結束させることで真球の障壁を生成するものであった。
だが、新しいターボシールドは、壁ではなく力場である。
レーザーや実体弾を、空間ごと捻じ曲げて逸らす、という性能を持つ。
新造艦船には全て、今まで一部の艦にしか搭載されていなかった超圧縮恒星機関を三基搭載しているため、ターボシールドの空間操作に必要なエネルギーを即座に確保できる。

『トランスアーマーは同時に多くの熱量の転送が出来ないため、攻撃が集中すると突破される可能性がありますが.....』
『大丈夫です、今回は船体自体に時間遡行装置が組み込まれていますので』

致命的な損傷を受けた瞬間に、船体まるごと時間を「破壊される前に戻す」という反則的な機構。
時間すら掌握したVe’zにしか出来ない所業である。
だが、これ程の技術を用いてもまだ不安が残る。
そこで。

『ベネディクトは「コンフリクタス」に、アナテマは「サイフォス」に。それぞれ、ノクティラノスと同じAIを搭載しております』

ただのドローンとビットだったベネディクトとアナテマは、AIを搭載した完全反応ドローンと高速戦闘ビットと化していた。
サイフォスは、電子戦機能を搭載しており、光学装置によってノクティラノスに偽装する事も出来る。

『ただ、エクスティラノス専用機体と、エリアランツェの最終調整はまだ済んでいません』
『エリアランツェには最終深度の禁忌技術を組み込む予定ですからね、既に完全永久無限機関――――メビウス・ドライブの起動に必要なエネルギーを充填中です』

完全永久無限機関、メビウス・ドライブ。
エリアランツェにのみ搭載が許された究極のエネルギー機関。
一度火を入れれば、熱量を永久的かつ無限に手に入れる事が出来る。
だがその「火」は、途轍もない熱量である。
エリアスが帰るころまでには、貯まるとされている。

『エリアランツェはエリアス様が――――総大将が戦う為にあるのですから、最高の技術を組み込みますよ』

タッティラが言う。
工房の時間操作区画の中で、もっとも時間が速く進んでいる区画――――実時間1分にして1か月が経過する区画で、エリアランツェの最終調整が進められている。

『恐らく、完成が一番速いのはメッティーラのブロールですね』

タッティラが、メッティーラの乗船を表示する。
ライアットエクスティラノスよりも格闘戦の性能が高められており、3級から1級までの深度の禁忌技術が応用されている。

『まだ全体生産の1%も終わっておりませんので、エクスティラノス艦は最後になりますね』
『悪いね、生産関連のノクティラノスは数が少ないから.....』

Ve’zは時間に物を言わせて船を作るため、生産のノクティラノスは少ないのだ。
時間を操作することで生産を進めているものの、Ve’z全体の戦力を作り直す現状ではあまりにも時間が足りないのである。

『連邦は未だに防備を固めています。我々もこの機に乗じ、包囲作戦のための準備を進めております』
『分かりましたメッティーラ、エリアス様の試練。我々はここで実力を示し、更なる忠誠を認めてもらうのです』

カサンドラはそう言って纏めた。
Ve’zは動き出すのだ。
禁忌を解放し、更なる脅威に立ち向かう。
今こうして技術の粋を極めた文明が、その全力をかけてぶつかる時が来たのだ。

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