【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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終章(2/3)-『真実』編

221-不吉な星

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そこそこ長い旅の末、僕は未知の惑星に辿り着いた。
不気味な惑星だった。
周辺に太陽はないのに、その星だけが白く光っている。
二等星くらいの光源だが、その地表面もまた不気味だ。
白く、白く、ただただ白い。
地形らしき切り取り線は見えるが、その全てが白い。

「降下ポイントは...自動で入力されているか」

彼女がくれたおまけの効果らしい。
僕は頷くと、星空雪車を降下させる。
惑星表面には引力があるようで、まともな星ではあるように見えた。

「それにしても...これは...」

降りるまでの間に、僕は地表面を軽くスキャンする。
地表面は全て砂岩だった。
何もかもが砂塵と化した後に、固まり砂岩と化した。
そんな様子が見て取れる。
だが何より異常なのは、死んだ星だというのに気温は一定、大気成分は多少の差異はあれど、生物が生存可能な領域から外れてはいない。

「不気味だ...」

だが、同時にラー・ゼソルの驚異的な科学力を目にしたような気分だ。
陰鬱かつ奇跡の合わさったようなこの星は、墓標にこれ以上なく適している。

「まあ、墓標ではないようだが」

国が滅びたとされる永久シグナル途絶から500年後に、生き残りか子孫が復讐を敢行するための技術アーカイブがここにあるらしい。
Ve‘zでいう「禁忌技術」と同じものだ。
人を殺すための科学であり、それで人を救う事はできないんだろう。

「ああ、成程」

僕は呟く。
この星が光っている訳がわかったからだ。
地表面にある砂の一粒一粒が、眩い光を放っている。
作業用アームで拾い上げてみると、その光は徐々に失われていくが輝きは保っていた。

「気圧差調整完了、出るか」

僕はハッチを開け、外へと出た。
ハッチが開く時の風で、砂が舞い上がり、そして落ちる。

「風がないからか」

砂漠なら、巻き上げられた砂はどこかへ飛んでいく。
だがここには風がない。
水がないからだろう。
熱の高低差がなく、大気中の水分は氷にも水にもならないために雲ができず、雨も降らないために水たまりができず、できたとして日の光がないので蒸発せず上昇気流が発生しない。

「それで...これがデフォンの導きというわけか」

僕は前を見た。
永遠に続くような砂漠のど真ん中に、小さい柱が建っていた。
上からこれを見つけるのは不可能だろう。
その柱に近寄れば、柱の溝に光が走った。

『永遠に続く帝国が一夜にして滅びた。汝その因を知るか?』
「知っている」

その問いに、僕は静かに応えた。
知らなければ、扉は開かないだけだ。

『答えよ』
「世界の扉を開き損ない、自らの過ちの代価を支払い滅びた」
『その言葉に偽りはなく、理はそれに従う...開門』

直後、僕はどこか知らない場所に立っていた。
存在する座標を直接弄られた...?

「まさに“魔法”だな」

法則や理論を飛び越え、粒子や熱の移動では不可能なことを成し遂げる。
それが、極端に発達したラー・ゼソルの技術力なのだろう。

「さて...第二の試練というわけか」

僕は呟く。
眼前には階段が見えており、下に続いている。
普通なら降りればいいだけだが、その階段は水没している。

「本来なら水没していないのか、呼吸する手段がなければ門前払いか...まあ、関係ないんだが」

僕は呼吸が不要な義体を利用している。
だからこそ、平然と水の中へ足を踏み出した。

「相当水温が冷たいな、機械の類は持ち込めないだろうに」

ただの人間では、奥まで辿り着く事は不可能なのだろう。
シグナルを辿れば、この場所はあの柱から遠く離れていると分かる。
力づくで見つけることはどうあっても出来ないということだ。

「(やはり、後者か)」

中に入って、僕は考える。
その奥は水没前提の構造になっている。
中々どうして、厄介な探索になりそうだ。
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