【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件～人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます～

黴男

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終章(2/3)-『真実』編

253-龍獅子激突

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『くっ！』

エリアスは何度か分からない声を漏らす。
何故か？
それは、攻略に手間取っているからだ。
ケテルとリヴァイアサンによる連携攻撃により、艦隊に接近できないのだ。

『仕方ない......”親衛隊”前へ！』
『もう使うのか！？』
『予備戦力を投入するには充分な条件が揃っている』

エリアランツェは、ビットを収納し、一旦ワープで逃げる。
わざとワープすることで、ケテルとリヴァイアサンが追ってくることを想定しながら。

『お兄ちゃん、あいつ！』
『分かっている、任せた、アインス』
『了解』

旗艦アバターにて。
ブリッジに上がる人影がいた。
何を隠そう、第一指揮官アインスである。
Noa-Tun二十二大指揮官は未完ではあるが、彼女こそが最初の指揮官である。
二十一人しか揃わない二十二大指揮官において、本当の最初の指揮官はノーザン・ライツ....シンであるが。

『俺たちはこれから、あの艦を追撃する。アインスには総指揮を引き継ぐ！』
『了解、艦隊指揮権限をアインス様に付与いたします』

後顧の憂いは絶ったとばかりに、ケテルはリヴァイアサンの肩を掴み、そのままワープに入る。
改良され超大型になったノイ・ケテルはともかく、リヴァイアサンにワープドライブは搭載されていないためである。

『敵艦隊、追加でワープアウトして来ます！』
『了解、砲戦陣形！アバターはシージモードに移行！』

旗艦アバターが変形する。
前面に盾のように展開していたユニットが折りたたまれ、側面から無数の砲台が出現。
後部が開き、ケテルに搭載されているような六対の翼が現れた。

『戦艦艦隊はディサイシブ・モジュールを起動！支援艦隊は第一から第六スクアッドに分かれて分散配置！全艦、ドローン射出！』
『艦載機編隊は指定の位置に集合してください』

そして、対するVe’z艦隊はというと。

『敵、形状変化を確認。何らかの高効率形態と予測』
『小型から大型の独立飛翔物を観測、ビット兵器の一種と予測』
『敵艦隊より分離する艦船群あり、迎撃する』

ノクティラノスのため、大した動揺も高揚もなかった。
ただ、与えられた目的――――敵艦隊の排除を最高効率で実現するために動き始めた。

『”レッドカーペット”エネルギー充填開始』

エリアス手ずから名づけた、親衛隊専用の超兵器。
親衛隊専用艦ランサー・ルナティラノスの前面部にエネルギーが収束し、力場によって形成された砲身によって、一気に放出された。
極太のレーザー砲だが、これの異常な点は超高熱の粒子体である事だ。
進路上の艦隊を焼き払い、更に周囲の空間を恒星の核並の温度まで上昇させ、シールドを損傷させる。
砲身を力場で維持しているため、ランサー・ルナティラノスはこれを連射できるのである。

『散開！各自離脱！』

アインスの指示が飛ぶ。
それにより、高熱エリアから脆弱な艦船が離脱した。
合せるように、アルバレスト・ルナティラノスがエクリプスレイで狙い撃ちを開始する。
艦隊の密度が低下したため、連邦艦隊はフリゲート艦を遮蔽壁として運用し始めた。

『敵の射撃精度が上がっています』
『このまま続行します！ MBブラスター発射準備！艦隊前面25万km地点に収束！』

アバターの側面から、大型の特殊砲が展開される。
そこから放たれた一撃は、次元断層を指定の地点に発生させ、砲台側からの干渉によって維持する。
発生した次元断層は、艦隊の本隊を砲撃から守った。

『オーロラ！』
『了解！次元断層の解除に合わせ、プロトコルARRを実行します！』

主力艦隊が、コンパクトジャンプドライブによる短距離転移で前面に展開。
最終兵器のエネルギー充填を開始した。
そのままでは効果がないが――――

『グラビティヌルファイア、消失バニシング点ポイント計算完了、照射開始します』

敵の防御が重力を利用したものであると見抜いたアインスの、即座の判断であった。

『重力変動値に異常、ターボ・シールド展開できません』
『敵主力艦の射線内、緊急ワープを実行』

ノクティラノス艦隊は逃げようとする。
だが、もう遅い。

『全主力艦、一斉射撃！』

連邦艦隊の主力艦隊の、超兵器と砲撃の一斉射撃が、Ve’z艦隊を薙ぎ払った。
装甲で多少軽減されたものの、元より連邦艦隊の艦船はエミドのP.O.Dをリバースエンジニアリングし、取り入れている。
装甲を崩壊させ、内部までじっくり焼き、灰燼へと至らせた。

『照射終了』
『やったか.....？』

アインスは呟く。
だが、直後。
光と共に、残骸と化したはずの艦隊が即座に元に戻った。
リバースストラクチャによる、艦体復元である。

『復元完了』
『敵艦隊、熱源低下82%』
『レッドカーペット、再射撃開始』

ランサー・ルナティラノスによる再射撃が開始される。
リバースストラクチャによる復元からの復帰は、ランサー・ルナティラノス用のAIのほうが早いというわけであった。

『アインス様、指示を！』
『艦隊を再編成！プロトコルARRは一定の有効性がある！』

一握りの希望を抱え、連邦艦隊の本隊は再び動き出した。

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