【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

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終章(2/3)-『真実』編

257-決戦2

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『ここは...』
『なるほど、恒星の残骸に逃げ込んだか』

ワープした先は、ヴェリアノスの恒星の残骸であった。
先程までいた地点では崩壊中の姿が見えていたため、逃げ込むには最適に思えたのだろう。
だが、それはVe‘zが恒星を破壊した直後の姿である。
現在はこうして、残骸のみが残っていた。
プラズマ星雲と化した恒星の残骸が、スキャンを阻害している。

『ここで消滅ビットは使えないはずだ』
『逆に言えば、こちらも向こうを観測...出来はするか』

エリアランツェは何も、光学/電波レーダーだけを搭載しているわけではない。
感応探索装置を使用し、エリアランツェに周囲の宙域のデータが読み込まれる。

『居た』
『向こうは電波を阻害されているはず、奇襲を仕掛ける』
『分かった』

エリアランツェはニュージェネシスの発射準備を始める。
感応波レーダーは、ノイズを無視して常に対象を捕捉できる故に、動き続ける二機の動きを読むのも容易だった。
即座に、それは放たれた。
周囲の帯電したガス雲を吹き飛ばし、二機の予測ルート先へ。

『回避された』
『次弾...待て、二機が分離した。射線を読まれた、こちらへ来る』
『位置を変える』
『同意だ』

位置を変えたエリアランツェだったが、リヴァイアサンの動きは真っ直ぐ向かってきている。
そして、ケテルも遅れて追随する。

『相手も精神感応を持っているな』
『問題ない』

プラズマ雲を突き抜けながら、エリアランツェは移動を続ける。
それを追うリヴァイアサンはシールドを拡張し、プラズマ雲を突き抜けて行く。
シールドのないケテルは、プラズマ雲をかわして移動を続けていた。

『お兄ちゃん、私が仕掛けるから』
『分かった、任せろ』

リヴァイアサンが急加速する。
それと同時に、ケテルの両腕が本体と分離し、ランダムな軌道を描きながら消滅光を連続で放つ。
有線ビットに近い機能であるため、この高密度のプラズマ雲が満ちる場所でも運用できるのである。

『ビットは使えないはず...じゃないのか!?』
『有線だ、プラズマ雲に突っ込まなければ使えるのだろう』

消滅光を躱し続けるエリアランツェに、リヴァイアサンが迫る。
再接近するその瞬間、エリアランツェが格闘モードでリヴァイアサンを貫くように動くが、リヴァイアサンは右手でランスの柄を掴んで、回避。
追加で二本の隠し腕がその背から飛び出して、ビームソードを起動した。

『なんだと!?』
『驚いた?』

リヴァイアサンが、エリアランツェの左腕を破壊した。
それと同時に、消滅光がエリアランツェの後部を貫いた。

『やるな...』
『ペースを乱された、か』
『違う、予知だけでこうは出来ない、あのどちらかが、慎重に作戦を組んでるんだ』

その予想は当たっていた。
リヴァイアサンに乗るカルが未来を読み、その情報を精神感応テレパシーで得たシンがそれを推敲、情報と情報を凄まじい精度で組み上げて行くのだ。

『左、右、上昇、そこから右』
『そこっ!』

エリアランツェに搭載された最適行動パターンを、シンが少しずつ読み始めていた。
乱数パターンで組まれた行動すらも読み切るその脅威的な力を前にして、エリアスは呟く。

『連邦の強さは、AIだけのものではないということか...』

損傷を受けたエリアランツェは推進モードに移行、かつての恒星の中心核の残骸方面に加速を始めた。

『逃がさない!』
『待て、カル!』
『なんで!?』
『中心核方面はプラズマが濃い、俺と一緒に行くぞ』
『うん!』

リヴァイアサンが、ケテルの胸部に張り付く。
そうする事で、ケテルの重力操作による加速の恩恵を、リヴァイアサン側も受けられるからである。
合体して、二人は逃げたエリアランツェを追う。
ケテルから放たれる消滅光による精密射撃をかわしながら、エリアランツェは飛ぶ。

『ここは不利だ』
『逃げるというのか?』
『逃げるも策だ、そうだろう?』
『...そうか』

修復機能を使おうにも高濃度のプラズマに晒されている現状、それは難しい。
くわえて、プラズマのせいで射撃の精度が低くなっており、動きの幅に制限があった。

『タッティラ...恒星の中心でも活動できるような設計にしていれば!』

エリアスは珍しく悪態をつきつつ、エリアランツェをワープアウトさせるのであった。

『お兄ちゃん、あいつ...逃げるよ!?』
『丁度いい、ここは俺たちも不利だったからな...』
『どう考えても罠だと思うけど...』
『やるだけやってみる、そうだろう?』
『...分かった、行こう!』

二人は今度はエリアランツェの航跡を追い、ワープするのだった。
ワープした先は...

『やっぱり罠か!』
『だから、言ったじゃん!』

ヴェリアノスに存在するたった一つの惑星...ヴェリアノスプライムとも言うべきその惑星の軌道上であった。
凄まじい引力で、ケテルのコックピットにアラートが鳴り響く。

『ここからは俺から離れるな』
『うん、勿論』

シンはカルにそう言い含めると、重力圏の内側にいるエリアランツェに向けて突撃するのだった。
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