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終章(3/3)-『決着』編
281-もう一人の救世主
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『ちょっと待って!』
割り込んだのは、ティニアだった。
残骸の中に蹲るカサンドラを見つけ、手を伸ばしたのだ。
『どうされましたか、ティニア様』
『カサンドラさん、死んじゃだめだよ!』
『何故、あなたが』
色々な思いが入り混じった言葉だった。
何故ここへ。何の権利があって。エリアス以外の人物が。
だが、エクスティラノスである彼女は頑固ではない。
ティニアの次の一言が、選択を変えたからだ。
『エリアスだって、あなたが死ぬことを望んでるわけじゃないって!』
『確実ではありません』
『エリアスが好きなのは、みんながいる場所なんだって! 前に聞いたよ、形や場所は重要じゃないんだって。エクスティラノスの皆と私たちが揃ってるなら、どこでもいいんだって』
『ああ...』
カサンドラは気付いた。
自分がいつの間にか、アロウトと一心同体のように思考していた事に。
アロウトが終われば自分も終わると自然に考えていた。
しかし、アロウトに魂を惹かれていないエリアスや他のエクスティラノスは違うのだ。
彼女や彼らにとって、アロウトは故郷ではあるが切り離されても構わないもの。
『それと...これはエリアスが前に言ってたんだけど』
『はい、何でしょうか?』
『“クロエが何を考えてお前を残したか思い出せ”...って、カサンドラさんが暴走した時に言えって』
『.........!』
主の真意を考えることは、不適切なことだと考えていたカサンドラは、その答えにずっと気付かなかった。
クロエは何故自分を消さず、エリアスが生まれた後も継がせたのか?
自分のローカルメモリの中にしまい込まれていた、古い古い記憶を回想したカサンドラなら、それをよく覚えている。
それに則って考えるなら...
『託した...託されたのですか、私は?』
その答えをティニアに尋ねても詮無いこと。
彼女はそのことは知らないのだから。
しかし、カサンドラは気付いた。
真の幸福を見つけるべく、寿命によって闇の彼方へ向かう自分達は、光の中を歩み続けるエリアスの側に寄り添うことは出来ない。
親の代わりに、エリアスを見守っていてくれ。
そんな想いが、カサンドラには込められていたのだ。
『わからない。だけどさ、カサンドラって宰相みたいな感じでしょう?』
『...はい』
『宰相が急に辞めちゃったら、王様は困ると思うんだ。それに寂しいし』
『...エリアス様の前で、許可を得るべきですか?』
『当然...かどうかは分からないけど』
一緒に行こう。
ティニアはカサンドラにそう告げ、手を伸ばした。
カサンドラはその手を握り、二人は崩壊したアロウトを抜けていく。
『壊れちゃったね...』
『いいのです』
『いいの?』
『エリアス様が居られるところこそがVe‘zの中心、形や見た目は重要ではないのだと気付きました』
『そ、そうなんだ』
若干引きながらも、ティニアは手を離さずに進んでいく。
崩壊した回廊を進んでいくと、格納庫に出た。
空間拡張が切れかかっている。
『ここは...格納庫ですか』
『急いで、あるんでしょ、専用機!』
『はい、ですが...』
エクスティラノスには人が乗れるスペースがない。
乗る事を前提に設計されていないからだ。
だが、ティニアは首を振る。
『別の場所に、エリアスを連れて逃げる船がある! だから、大丈夫!』
『そんなものが...ああ、アレですか』
『その通り!』
記憶の中に、脱出船に使えそうなものが浮かんだカサンドラは頷く。
それならば、手動操縦でもある程度動かせるからだ。
『大丈夫そう?』
『位置はわかっています、乗れさえすれば問題はありません』
『わかった、待ってるね!』
数分後。
格納庫が崩壊し...中より、巨大な機体が姿を現す。
コマンダント・エクスティラノスである。
姿勢制御用のバーニアで機体に張り付いたティニアを確認すると、コマンダントは振り落とさないようにゆっくりと進む。
そして、他の全員が揃っている地点に到着すると、ティニアが降りるのを待つ。
『これからどうするの?』
『エリアス様の命令を待ちます』
『了解』
彼女らは船という安全地帯に逃げ込み、カサンドラはそれを静かに見守っていた。
割り込んだのは、ティニアだった。
残骸の中に蹲るカサンドラを見つけ、手を伸ばしたのだ。
『どうされましたか、ティニア様』
『カサンドラさん、死んじゃだめだよ!』
『何故、あなたが』
色々な思いが入り混じった言葉だった。
何故ここへ。何の権利があって。エリアス以外の人物が。
だが、エクスティラノスである彼女は頑固ではない。
ティニアの次の一言が、選択を変えたからだ。
『エリアスだって、あなたが死ぬことを望んでるわけじゃないって!』
『確実ではありません』
『エリアスが好きなのは、みんながいる場所なんだって! 前に聞いたよ、形や場所は重要じゃないんだって。エクスティラノスの皆と私たちが揃ってるなら、どこでもいいんだって』
『ああ...』
カサンドラは気付いた。
自分がいつの間にか、アロウトと一心同体のように思考していた事に。
アロウトが終われば自分も終わると自然に考えていた。
しかし、アロウトに魂を惹かれていないエリアスや他のエクスティラノスは違うのだ。
彼女や彼らにとって、アロウトは故郷ではあるが切り離されても構わないもの。
『それと...これはエリアスが前に言ってたんだけど』
『はい、何でしょうか?』
『“クロエが何を考えてお前を残したか思い出せ”...って、カサンドラさんが暴走した時に言えって』
『.........!』
主の真意を考えることは、不適切なことだと考えていたカサンドラは、その答えにずっと気付かなかった。
クロエは何故自分を消さず、エリアスが生まれた後も継がせたのか?
自分のローカルメモリの中にしまい込まれていた、古い古い記憶を回想したカサンドラなら、それをよく覚えている。
それに則って考えるなら...
『託した...託されたのですか、私は?』
その答えをティニアに尋ねても詮無いこと。
彼女はそのことは知らないのだから。
しかし、カサンドラは気付いた。
真の幸福を見つけるべく、寿命によって闇の彼方へ向かう自分達は、光の中を歩み続けるエリアスの側に寄り添うことは出来ない。
親の代わりに、エリアスを見守っていてくれ。
そんな想いが、カサンドラには込められていたのだ。
『わからない。だけどさ、カサンドラって宰相みたいな感じでしょう?』
『...はい』
『宰相が急に辞めちゃったら、王様は困ると思うんだ。それに寂しいし』
『...エリアス様の前で、許可を得るべきですか?』
『当然...かどうかは分からないけど』
一緒に行こう。
ティニアはカサンドラにそう告げ、手を伸ばした。
カサンドラはその手を握り、二人は崩壊したアロウトを抜けていく。
『壊れちゃったね...』
『いいのです』
『いいの?』
『エリアス様が居られるところこそがVe‘zの中心、形や見た目は重要ではないのだと気付きました』
『そ、そうなんだ』
若干引きながらも、ティニアは手を離さずに進んでいく。
崩壊した回廊を進んでいくと、格納庫に出た。
空間拡張が切れかかっている。
『ここは...格納庫ですか』
『急いで、あるんでしょ、専用機!』
『はい、ですが...』
エクスティラノスには人が乗れるスペースがない。
乗る事を前提に設計されていないからだ。
だが、ティニアは首を振る。
『別の場所に、エリアスを連れて逃げる船がある! だから、大丈夫!』
『そんなものが...ああ、アレですか』
『その通り!』
記憶の中に、脱出船に使えそうなものが浮かんだカサンドラは頷く。
それならば、手動操縦でもある程度動かせるからだ。
『大丈夫そう?』
『位置はわかっています、乗れさえすれば問題はありません』
『わかった、待ってるね!』
数分後。
格納庫が崩壊し...中より、巨大な機体が姿を現す。
コマンダント・エクスティラノスである。
姿勢制御用のバーニアで機体に張り付いたティニアを確認すると、コマンダントは振り落とさないようにゆっくりと進む。
そして、他の全員が揃っている地点に到着すると、ティニアが降りるのを待つ。
『これからどうするの?』
『エリアス様の命令を待ちます』
『了解』
彼女らは船という安全地帯に逃げ込み、カサンドラはそれを静かに見守っていた。
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