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終章(3/3)-『決着』編
288-鼠を散らす者たち
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一時間後。
王国と傭兵艦隊は、一時的にアステロイドベルトに簡易拠点を構築。
敵の拠点を破壊したため、互いの資源を統合して通常航行で王国の拠点まで戻ろうとしていたのだ。
『索敵警戒を怠るな!』
『こちらB-332艦、食糧が不足している、余剰があれば供出願いたい!』
『Z-221! 勝手に艦を動かすな!』
王国艦隊は騒がしく、逆に傭兵艦隊は静かであった。
『へっ、騒いでもしょうがねーだろ』
『カルさんも帰って来ねえしな....』
彼らはそれぞれ、長旅用の資源を持ってきている。
分け合う準備も出来ており、騒ぐ必要が無いのだ。
その中にある一隻、ラーズヘルトにて。
「そんなに外を見てどうする?」
「索敵しないと。レーダー壊れてるんだから」
男女が話し合っていた。
女の方は、全周型のブリッジから、手持ちのビノキュラーで周囲を観察していた。
ラーズヘルトは巡洋艦の為、アステロイドベルトの外周部にて発進を待っていた。
だが、それを運命が許すはずはない。
「...待って、何か居る...?」
「何? こちらラーズへルト! 広域レーダーが使える者は直ちに応答! ポイントD-45方面に短波レーダーで索敵!」
男の反応は早かった。
対して女の方は、双眼鏡をズームしてそちらを見る。
そこには、一隻の艦が浮かんでいた。
女はさらにズーム、そして艦の詳細な姿と、その大きさを観測する。
「Ve‘z艦だ...」
『こちらセトラー! 敵艦は一隻ではない!』
「えっ?」
女はズームアウトする。
映っていた艦影が朧げになり、そしてその周囲に...船がいた。
さらにズームアウトすると、その数は膨大であることがわかった。
「発進して!」
「あ、ああ!」
さあ、ドラムロールを...!
そう言わんばかりに、ケルビスは待っていた。
壁のようにずらりと並んだ艦隊が、敵の反応を静かに待っていた。
彼が乗っているのは、半壊した状態で放置されていたエリアランツェであった。
既に損傷を修復した状態であり、ケルビスの私的な欲望によりそこにあった。
『全艦、攻撃準備!』
『戦るしかねぇ、野郎ども、行くぞ!』
王国艦隊と傭兵艦隊は、準備を整える。
その間、ケルビスは一切動かなかった。
ただ静かに、沈黙というドラムロールの中で佇んでいた。
ターゲットが分散し、定められる。
『撃ち方、始め!』
『野郎ども、行くぞォ!』
ビームとミサイル、実弾の雨霰が降り注ぐ。
それをルナティラノス艦隊が受けた瞬間、弦が飛んだ。
ドラムロールは終わり、ルナティラノスが一斉に砲撃を開始する。
王国艦隊は最初の一撃で陣形を維持できずに崩壊、第二波で粉々になった。
傭兵の中には、小型艦で難を逃れた者も居た。
しかし、小型艦で何かできるわけでもない。
第三波で破壊され、それでも逃れた者は偏差射撃に巻き込まれて火の玉になった。
基地はその次に標的になり、内部で会議をしていた要人達はレーザーに焼かれるか、火に焼かれるか、煙で呼吸困難になるか、真空の中でもがき苦しみ凍死した。
『最初からしなければよかったのだがね』
皮肉げにケルビスは笑う。
通信に割り込んだ悲痛な声を聞きながら。
『我々に挑戦することこそが、身の丈に合った行為とはいえないのだ。それを胸に刻み、せいぜい生き延びることだ』
既に誰も生きては居ないが、ケルビスはただそうとだけ言い、艦隊を回頭させるのであった。
王国と傭兵艦隊は、一時的にアステロイドベルトに簡易拠点を構築。
敵の拠点を破壊したため、互いの資源を統合して通常航行で王国の拠点まで戻ろうとしていたのだ。
『索敵警戒を怠るな!』
『こちらB-332艦、食糧が不足している、余剰があれば供出願いたい!』
『Z-221! 勝手に艦を動かすな!』
王国艦隊は騒がしく、逆に傭兵艦隊は静かであった。
『へっ、騒いでもしょうがねーだろ』
『カルさんも帰って来ねえしな....』
彼らはそれぞれ、長旅用の資源を持ってきている。
分け合う準備も出来ており、騒ぐ必要が無いのだ。
その中にある一隻、ラーズヘルトにて。
「そんなに外を見てどうする?」
「索敵しないと。レーダー壊れてるんだから」
男女が話し合っていた。
女の方は、全周型のブリッジから、手持ちのビノキュラーで周囲を観察していた。
ラーズヘルトは巡洋艦の為、アステロイドベルトの外周部にて発進を待っていた。
だが、それを運命が許すはずはない。
「...待って、何か居る...?」
「何? こちらラーズへルト! 広域レーダーが使える者は直ちに応答! ポイントD-45方面に短波レーダーで索敵!」
男の反応は早かった。
対して女の方は、双眼鏡をズームしてそちらを見る。
そこには、一隻の艦が浮かんでいた。
女はさらにズーム、そして艦の詳細な姿と、その大きさを観測する。
「Ve‘z艦だ...」
『こちらセトラー! 敵艦は一隻ではない!』
「えっ?」
女はズームアウトする。
映っていた艦影が朧げになり、そしてその周囲に...船がいた。
さらにズームアウトすると、その数は膨大であることがわかった。
「発進して!」
「あ、ああ!」
さあ、ドラムロールを...!
そう言わんばかりに、ケルビスは待っていた。
壁のようにずらりと並んだ艦隊が、敵の反応を静かに待っていた。
彼が乗っているのは、半壊した状態で放置されていたエリアランツェであった。
既に損傷を修復した状態であり、ケルビスの私的な欲望によりそこにあった。
『全艦、攻撃準備!』
『戦るしかねぇ、野郎ども、行くぞ!』
王国艦隊と傭兵艦隊は、準備を整える。
その間、ケルビスは一切動かなかった。
ただ静かに、沈黙というドラムロールの中で佇んでいた。
ターゲットが分散し、定められる。
『撃ち方、始め!』
『野郎ども、行くぞォ!』
ビームとミサイル、実弾の雨霰が降り注ぐ。
それをルナティラノス艦隊が受けた瞬間、弦が飛んだ。
ドラムロールは終わり、ルナティラノスが一斉に砲撃を開始する。
王国艦隊は最初の一撃で陣形を維持できずに崩壊、第二波で粉々になった。
傭兵の中には、小型艦で難を逃れた者も居た。
しかし、小型艦で何かできるわけでもない。
第三波で破壊され、それでも逃れた者は偏差射撃に巻き込まれて火の玉になった。
基地はその次に標的になり、内部で会議をしていた要人達はレーザーに焼かれるか、火に焼かれるか、煙で呼吸困難になるか、真空の中でもがき苦しみ凍死した。
『最初からしなければよかったのだがね』
皮肉げにケルビスは笑う。
通信に割り込んだ悲痛な声を聞きながら。
『我々に挑戦することこそが、身の丈に合った行為とはいえないのだ。それを胸に刻み、せいぜい生き延びることだ』
既に誰も生きては居ないが、ケルビスはただそうとだけ言い、艦隊を回頭させるのであった。
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