好きになったらいけない恋

しゅんすけ

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一年目。

先輩は本当に大変......。

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ある日の部活中。

顧問の先生が珍しくお休みで、いつもなら厳しい練習もこの日は少しだけ軽めだった。

ジュンヤとヤマトにゴム弓のコツを教えながら、3人で和やかに談笑していた。

「ジュンヤは形が定まってきていいね。
ヤマト、ここはこうした方がいいよ」

二人を比べると、明らかにジュンヤの方がセンスがある。そんなことは本人たちも気づいているだろう。でも、なるべく気を使って言葉を選んでいたつもりだった。

ジュンヤと二人で話していたとき、ヤマトが一人で黙々と練習を続けていた。そのとき――

バンッ!!!!

突然、ゴム弓が地面に叩きつけられた音が響く。

「どうせ僕はダメですよ!!」

目を潤ませながら叫んだヤマトは、そのまま部室の外へと走り去っていった。

「おい、ヤマトっ!!」

部長が声を荒げるが、「俺が行きます」と言ってすぐに後を追う。

体育館の裏、影のある場所で体育座りをしているヤマトを見つけた。

「ヤマト、どうした?」

「うるさい! 近寄るなっ!」

……その言葉に一瞬たじろぐ。

それでも、そっと近づこうとすると、ヤマトは俺を避けてまた走り出してしまった。

「おいっ!」

(くそっ、今回はちょっとやばいかもな……)

部長には「家の用事がある」と適当に伝えて帰らせてもらい、急いで着替えてヤマトの荷物もまとめる。

だが、どこにもいない。

(……帰ったか? いや、違う気がする)

とりあえずヤマトの家へ向かってみる。周辺も探してみたが、それらしい姿は見当たらない。

1時間ほど探し回って、もう一度ヤマトの家の前で立ち止まる。

【ヤマト、ごめん。今、家の前にいるから
もし家にいるなら、顔出してもらえると助かる】

2分後、返信が届く。

【はい】

ヤマトが玄関から出てきた。顔は真っ赤で、泣いていたのが一目でわかる。

「先輩……」

そう言って俺の方へ駆け寄り、また泣き出した。

「先輩がジュンヤとばっか話すの見てると、なんか嫌な気持ちになるし……
ぐすっ……先輩、全然褒めてくれないし……
ジュンヤのことばっかり褒めるし……ぼく……」

ぽろぽろと大粒の涙がこぼれる。その涙をそっと手で拭ってやる。

「ごめんな。俺が悪かった。
ヤマトもちゃんと上手だよ。だからもう泣くなって」

左肩に顔を寄せてきたヤマトの頭を、優しく右手で撫でる。

「ほら、もう泣くな。人も見てるし」

少し落ち着いた様子のヤマトに、「家、入ってく?」と誘われ、お邪魔することにした。

ヤマトの部屋は思った以上に整っていて、本棚やテレビもあり、こざっぱりしている。

「部屋、きれいだね」

ヤマトはちょっと照れて笑った。

「先輩、何か飲みますか?」

「ああ、うん。よろしく」

ヤマトが麦茶を持ってきて、二人並んでテレビを見ながらそれを飲む。

しばらく無言の時間が流れたあと、右肩にヤマトの頭がコツンと寄りかかってきた。

……泣いて疲れて、寝てしまったようだ。

悪い気はしないので、そのままテレビを眺め続ける。

気づいたときには、自分も寝てしまっていたらしい。

目を覚ますと、ヤマトの膝の上に頭を乗せていた。ヤマトはすでに起きていて、俺を寝かせてくれていたようだった。

「あっ、ごめん!寝ちゃってた」

「大丈夫です。もう帰りますか?」

夜は家の用事があったので、コクリと頷くと、ヤマトは少し寂しそうな顔をした。

「また明日な!」と頭をポンと撫でる。

「はい!」と、ようやく笑顔が戻った。

「明日、みんなにちゃんと謝ろうな。俺も一緒に謝るから」

翌日、二人でみんなにしっかり謝った。
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