乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。

黒茶

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(オレにとっては)因縁のライバルをたぶらかしてみた3

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ジークへのボディタッチ戦法が完全に失敗に終わってしまったので、
新たなたぶらかし作戦を考える必要になった。
さてどうするか・・・。

そしてふと気づいたんだが、
オレルーカス、この世界でのジークのことをほとんど知らないんだよなぁ。
めちゃくちゃ強くて、
ストイックに鍛錬していて、
まわりとコミュニケーションをとることもなく、
孤独に高みを目指している。
そして優秀なお兄さんを超えたいと思っている。

あいつに関する知識と言えば、これくらい。

もっと好きなものとか、興味あることとか、
あいつのことを知ってそこから距離を縮めるのはどうだろう?

そう!まずはジークと会話だ!
(むしろ同じ騎士団の仲間として最低限のレベルな気もするが。)

そうだ、大事なことを確認していなかった。
ジークはゲームの攻略対象なんだから、ヒロインの存在を確認しなくては。
もしジークがあヒロインや他の誰かと恋愛中なら
オレなんかがたぶらかしたところで当て馬にすらなれないからな。

ちょうど食堂で食事中のジークを見つけてオレは隣の席に座った。

「なー、ジーク。」
「・・・なんか用か。」
「お前ってさぁ、つき合ってる子とかいるのか?」
「は!?」

ジークは心底びっくりした顔でオレを見てきた。

「それか好きな子とか。ジークって好きな子とかいるのか?」
「・・・お前に教える義理があるのか?」
「あ、まあ、そうか、いや、同じ騎士団の仲間としてさ、
一応団長からお前の面倒みるように頼まれてるし、
知っておいてもいいかなって思ってさぁ!」

自分で聞いておいて、ジークに正論で返されると
あわあわしてしまう自分が恨めしい。

「・・・いない。こんな生活でそんな存在を作る余裕がないことくらい、
お前もわかるだろ。」

まあ、確かに。
ジークは空き時間や休息日にすら自分の鍛錬や能力向上のために使っているようなヤツだし。

「もう用は済んだか。くだらねぇ。」

とジークはさっさと食事を終えて行ってしまった。

たぶらかすという目的には程遠いけれど、
とりあえず今はそういう対象がいないということはわかった。
ここからここから!
オレは高い壁に挑むときこそ燃えるんだ!!

次の日もまた食堂でジークを見つけて、
今度は目の前の席に座ってみた。

「なー、ジーク。」
「・・・今度はなんだ。」
「お前って、好きな食べ物とかあるの?」
「・・・それは騎士団の任務に必要な質問なのか?」
「いや、せっかく同じ騎士団の仲間になったんだしさ、
ジークのことをもっと知りたいなって思って。」
「そんなものは俺には必要ない。
それに食べ物は食えればいい。」

うわー。
さすがジークさん、難関攻略対象。
塩対応がすぎるっ。

二日目にしてオレのガラスのハートはくだけそうだよ。

いやでオレは負けない!
今度はもうちょっと会話のキャッチボールができそうな話題でチャレンジしてみよう。

「なー、ジーク。」
「ルーカス、またお前か。」
「ジークって魔法騎士学院を卒業してから銀鷲騎士団に入ったじゃん?
どんなところだったんだ!?」
「・・・まあ普通だ。」
「普通ってなんだよ。
確か銀鷲騎士団って王都や市街地の警備を担当しているんだよな。
お前ならそつなくこなしてそうだよなぁ。
団長はどんな人だったんだ?
確かレグルス団長だっけ。」
「レグルス団長か・・・すごい人だった。
あの人の下で鍛練できて、俺自身も成長できた。」

え、あのジークが素直!?
他人を寄せつけませーんって雰囲気なのに、意外。
もしかして、自分が認めた人には素直にすごいって言えるヤツなのかな。

「まあ俺はもう黒竜騎士団の団員だからな、もう関係ない話だ。」

最後はまた冷たくあしらわれてしまったが、
ちょっとだけジークの新たな一面がみられてオレは得した気分になったのであった。




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