乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。

黒茶

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(オレにとっては)因縁のライバルをたぶらかしてみた6

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今日は騎士団の休養日。
オレルーカスはたまには街に出て、休みを満喫することにした。
鍛練も頑張っているけど、
最近ジークへのたぶらかす作戦がうまくいっているんだかいないんだかよくわからなくて、
一時休戦することにした。
作戦って言っても
計画オレ実行オレの1人作戦だけどな。

こんなときは甘いものでも買い食いするのに限るなぁ。
甘いものか・・・この前のチョコレート事件を思い出しちゃったじゃないか。
あのときのジークはなんだったんだ。
いやいやいったん忘れろ、オレ!

食べ歩きスイーツに選んだのはクリームたっぷりのクレープだ。
ゲームの世界だから、食べ物は前世のときとほとんど変わらなくて
安全安心の想像できるお味なんだよなぁ。
前世では学校帰りに友達と食べた気がする。

前世に思いを馳せつつ、
最初の一口を食べようとしたときだった。

背後に誰かいる?
と思ったときには
オレの右肩からジークの横顔が見えた。

そしてオレの手にあるクレープを一口奪っていったのだ。

「え・・・!?」
「なんで・・・!?」

さすがに大きく心臓がはねた。

いやもう、疑問だらけだよ。
なんでここにいる!?
なんでオレのクレープを背後から一口奪っていく!?
そしてそんな姿すら美しいのはなんでだよ!?

自分の頬や耳が急速に熱を帯びていくのがわかる。
きっと傍からみたら「顔が真っ赤」という状態だろう。

ジークは自身の唇についたクリームを指でぬぐいながら

「甘いな。」

とオレを見下ろして、静かに言った。

身長差!!!!

いやそういうことではない。

「なんでオレのクレープ、勝手に食べるんだよ!?」
「この前のお返しをもらっただけだ。」
「てかなんでお前がここにいるんだよ!?」
「武器屋に行こうとしたら、お前を見かけた。
なんかうまそうなもん持ってたから一口もらっただけだ。」

ええー、理不尽。

いやそういうことではない。

「てか、お前が隙だらけなんだろ。
任務中はもっと気合いれろよ。」

と言い残して、ジークは行ってしまった。

いやいやいやいや、
さすがに距離感おかしいでしょうよ。
元はといえばジークを翻弄して、無表情や不愛想な表情以外を見たい!
なんてふざけた理由で始めた「たぶらかす作戦」だけど、
アイツはあいかわずの表情なのに、
こっちが完全に動揺して翻弄されてるじゃないか!!

どうなってるんだ。

以前のオレとジークの距離感とは明らかに違う。
もしかして、
表情はわかりづらいけど
ちょっとはジークをたぶらかす作戦が成功しているのか?
それとも、ゲームの攻略みたいにあいつの本来の意思と関係なく
ジークの行動が「ゲームの強制力」とやらで変わってきているのか?
前世でゲームをやっていたときのゲーム内容がはっきりと思い出せないのが
ここにきて痛い。
でもそうだとしたらちょっと罪悪感もあるけど・・・

いやでも!!
オレのほうがなぜか動揺して翻弄されるのは納得がいかない!

もう本気だしてやる。
このルーカス様が、本気を出してジークをたぶらかしてやる!
一時休戦と思っていたけど、やはりこの作戦は続行だ!
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