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あれから数年後、とある夜会にて。
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今日はこのシャルフェンブルク帝国の皇女様の婚姻披露の夜会が開かれていた。
お相手は長年遠距離恋愛をしていたという黒竜騎士団のダンテ団長だ。
いや、元、団長か。
というのも、数年にわたりダンテ団長からの団長の交代要請を固辞していたジークだったが、
1年前にとうとう団長の交代を引き受けたのだ。
オレも同時に黒竜騎士団の副団長となった。
まさかダンテ団長が団長を辞めたがっていた理由が皇女様と結婚したかったからだなんて、
予想外すぎて考えもしなかった。そうならそうと早く言ってくれたらよかったのに。
そして今日、晴れてダンテ団長は皇女様と結婚式を挙げ、
その婚姻披露の夜会にオレとジークは黒竜騎士団の後任の団長と副団長、という立場で出席することになったのだ。
騎士団の団長、副団長ともなると、普段は辺境の宿舎で生活しているのにも関わらず、
王宮内に部屋が用意されている。
そこでオレたちは夜会の準備をしていた。
ジークが夜会の衣装に着替えている。
黒ベースに銀刺繍が美しいフロックコート。
いつもの騎士団の制服や私服とは比べ物にならない美しさ。オーラが違う!
「この衣装のジークのアクスタ、ほしい!」
オレはうっかり叫んでしまう。
するとジークはいぶかしげに
「アクスタってなんだ?」
と聞いてきた。
「アクスタっていうのは、これくらいの大きさの透明の板で・・・」
と身振り手振りも加えつつジークに説明すると、
「本物がここにいるのに、アクスタとやらのほうがいいのか・・・」
と拗ねた。
ジークが拗ねた。かわいいっ!
「本物は本物、アクスタはアクスタなんだよ。
どっちも必要不可欠なの」
とオレがジーク強火担な発言をすると、
「ルークもステキだ」
とジークが言う。
実は今回の夜会の衣装は二人でお揃いコーディネートになっているのだ。
黒竜騎士団の団長と副団長ということで、黒竜騎士団っぽく黒のコーディネート。
実はこっそりお互いの瞳の色のブローチをつけていて、匂わせコーデでもある。
ジーク、匂わせコーデをやってみたかったみたいで、お互いブローチをプレゼントし合うのを提案されて。
あいつ、あの感じで実はロマンティストなんだよな・・・・うれしいけど。
「このまま夜会なんて行かずに二人でずっと部屋にこもっていたい」
とジークが言い出した。
「おい、それはダメだろ。
それに、オレ、何年かぶりに魔法騎士学院時代の親友に会えるのが楽しみなんだよなぁ。
あいつ、変わってないかなぁ」
とオレが言うと、
「あー・・・あいつか」
とジークがちょっと不機嫌そうに言う。
「え、ジーク、クラウスのこと覚えてるの?
ジークとクラウスって会話したことすらないんじゃ?」
「お前の親友だろ、気にしないわけがない。
まあ他に相手がいるみたいだったから放置していたが、
たまにルークと仲がいいことへの八つ当たりで模擬戦闘訓練中に力が入り過ぎてしまったこともあったかもしれない」
うわぁ、クラウス可哀想。
「あれ?ジークの幼馴染にも会えるんじゃなかったっけ?」
とオレが聞くと、
「ああ、子供も頃はアルベルトたちと一緒に交流があったが、
学院に入ったくらいから全く交流がないからな・・・
金獅子騎士団に入団してアルベルトにしごかれて、その後王太子殿下の専属護衛騎士になったって聞いたな。
今日も任務で会話などはする余裕はないだろう」
ふーん、そういうものなのか。
「じゃあそろそろ行くか」
とオレがジークに声をかけると、
「いや、もうちょっとだけ、二人きりでいてもいいんじゃないいか?
着飾ったルークをまだ俺だけに独り占めさせてくれ」
とジークはオレの背後に立ち、首筋に唇を沿わせながら言う。
両手がオレの身体のラインをなで、
そのうちにオレの上着を脱がそうとしているような気がするが、気のせいか。いや気のせいではない。
「しょうがないな、
オレがジークに頼まれると断れないのを知っていて、そういうことを言う」
オレもジークのほうを向き、ジークの首に両腕をまわした。
そしてオレたちは夜会に盛大に遅刻して、エライ人たちにしこたま怒られたのだった。
----------------------------------------
アルファポリス様に投稿させていただいております、
世界観や登場人物がリンクしている
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
「オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。」
この3作品が完結した記念に
数年後の番外編を各々の作品に投稿いたしました。
各登場人物たちのその後や、
あのときのネタバレなどをしておりますので、
3作合わせて楽しんでいただけたらうれしいです!!!
お相手は長年遠距離恋愛をしていたという黒竜騎士団のダンテ団長だ。
いや、元、団長か。
というのも、数年にわたりダンテ団長からの団長の交代要請を固辞していたジークだったが、
1年前にとうとう団長の交代を引き受けたのだ。
オレも同時に黒竜騎士団の副団長となった。
まさかダンテ団長が団長を辞めたがっていた理由が皇女様と結婚したかったからだなんて、
予想外すぎて考えもしなかった。そうならそうと早く言ってくれたらよかったのに。
そして今日、晴れてダンテ団長は皇女様と結婚式を挙げ、
その婚姻披露の夜会にオレとジークは黒竜騎士団の後任の団長と副団長、という立場で出席することになったのだ。
騎士団の団長、副団長ともなると、普段は辺境の宿舎で生活しているのにも関わらず、
王宮内に部屋が用意されている。
そこでオレたちは夜会の準備をしていた。
ジークが夜会の衣装に着替えている。
黒ベースに銀刺繍が美しいフロックコート。
いつもの騎士団の制服や私服とは比べ物にならない美しさ。オーラが違う!
「この衣装のジークのアクスタ、ほしい!」
オレはうっかり叫んでしまう。
するとジークはいぶかしげに
「アクスタってなんだ?」
と聞いてきた。
「アクスタっていうのは、これくらいの大きさの透明の板で・・・」
と身振り手振りも加えつつジークに説明すると、
「本物がここにいるのに、アクスタとやらのほうがいいのか・・・」
と拗ねた。
ジークが拗ねた。かわいいっ!
「本物は本物、アクスタはアクスタなんだよ。
どっちも必要不可欠なの」
とオレがジーク強火担な発言をすると、
「ルークもステキだ」
とジークが言う。
実は今回の夜会の衣装は二人でお揃いコーディネートになっているのだ。
黒竜騎士団の団長と副団長ということで、黒竜騎士団っぽく黒のコーディネート。
実はこっそりお互いの瞳の色のブローチをつけていて、匂わせコーデでもある。
ジーク、匂わせコーデをやってみたかったみたいで、お互いブローチをプレゼントし合うのを提案されて。
あいつ、あの感じで実はロマンティストなんだよな・・・・うれしいけど。
「このまま夜会なんて行かずに二人でずっと部屋にこもっていたい」
とジークが言い出した。
「おい、それはダメだろ。
それに、オレ、何年かぶりに魔法騎士学院時代の親友に会えるのが楽しみなんだよなぁ。
あいつ、変わってないかなぁ」
とオレが言うと、
「あー・・・あいつか」
とジークがちょっと不機嫌そうに言う。
「え、ジーク、クラウスのこと覚えてるの?
ジークとクラウスって会話したことすらないんじゃ?」
「お前の親友だろ、気にしないわけがない。
まあ他に相手がいるみたいだったから放置していたが、
たまにルークと仲がいいことへの八つ当たりで模擬戦闘訓練中に力が入り過ぎてしまったこともあったかもしれない」
うわぁ、クラウス可哀想。
「あれ?ジークの幼馴染にも会えるんじゃなかったっけ?」
とオレが聞くと、
「ああ、子供も頃はアルベルトたちと一緒に交流があったが、
学院に入ったくらいから全く交流がないからな・・・
金獅子騎士団に入団してアルベルトにしごかれて、その後王太子殿下の専属護衛騎士になったって聞いたな。
今日も任務で会話などはする余裕はないだろう」
ふーん、そういうものなのか。
「じゃあそろそろ行くか」
とオレがジークに声をかけると、
「いや、もうちょっとだけ、二人きりでいてもいいんじゃないいか?
着飾ったルークをまだ俺だけに独り占めさせてくれ」
とジークはオレの背後に立ち、首筋に唇を沿わせながら言う。
両手がオレの身体のラインをなで、
そのうちにオレの上着を脱がそうとしているような気がするが、気のせいか。いや気のせいではない。
「しょうがないな、
オレがジークに頼まれると断れないのを知っていて、そういうことを言う」
オレもジークのほうを向き、ジークの首に両腕をまわした。
そしてオレたちは夜会に盛大に遅刻して、エライ人たちにしこたま怒られたのだった。
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アルファポリス様に投稿させていただいております、
世界観や登場人物がリンクしている
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
「オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。」
この3作品が完結した記念に
数年後の番外編を各々の作品に投稿いたしました。
各登場人物たちのその後や、
あのときのネタバレなどをしておりますので、
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