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乗り越えるべき試練
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鈴夏はセンタープレスパンツの裾をたなびかせ、龍大の家まで駆けていた。やる気にみなぎったている自分自身を、今すぐ見て欲しい人がいる。息が上がってきたけど、そんなことはお構いなしに足を動かした。
鈴夏は龍大の家に着いて玄関のドアを開けてもらい、中に入って龍大に飛びついた。
「おっと! なんかあったの?」
「はぁ……あ、あのね……たっちゃ……はぁ」
「うん、落ち着いて鈴夏」
思った以上に息が上がってしまい、言いたいことが口から出てこない。額や背中から汗が吹き出してくる。龍大が背中を擦っていると、徐々に落ち着きを取り戻してきた。
「私さ……1級建築士の資格……取ることにしたから!」
「……う、うん」
「だから、私がんばるね!」
明らかに龍大が戸惑っていたが、鈴夏は目を輝かせて告げた。次の瞬間龍大の表情が綻んで、鈴夏の頭を撫でてくれる。
「あ、ちょっと待って。今からテキスト買ってきていい?」
「うん、夕飯までもうちょっとかかるし」
「じゃ、駅前の本屋まで行ってくるね!」
一度決意したら、すぐ行動しないともったいない。そんな焦燥感が、鈴夏をまた走らせた。
流石に息が上がって苦しいから、早足で鈴夏は駅前の本屋へと向かい、鈍器みたいに分厚いテキストを購入した。さすがに重たくて、帰りはしんどかった。だから今度はゆっくりと確実に歩みを進めた。
「おかえり。もうすぐご飯炊けるから」
鈴夏が龍大の家へ戻ると、キッチン中に美味しそうな香りが充満していた。今日は炊き込みごはんと豚汁らしい。味噌の芳醇な香りと、炊飯器から漏れている醤油の香ばしい香りが鼻をくすぐる。
龍大が鈴夏の持っている鈍器みたいに分厚いテキストの存在に気づくと、「少し見せて」と言ってページをぱらぱらとめくった。すると龍大の顔が、わかりやすく青ざめた。
「うっ……」
「たっちゃんこういうの苦手?」
「も、文字の小ささだけで無理」
「あはは、この量だから今から勉強して来年の受験に備えるんだよ」
「来年!?」
鈴夏が何か言うたびに、龍大がいちいち反応してくれる。出会った頃は無愛想だと思っていたのに、今じゃこんなにもいろんな表情を見せてくれることが、鈴夏の心を温かくした。
それから夕飯を食べたあと、龍大が先にお風呂へ入ることになった。鈴夏はその間に建築士の勉強計画を立てる。来年の試験日の確認して勉強する範囲を1ヶ月単位で割り振り、そこからまた細かく決めていく。途中で体調不良が起こって勉強が滞っても構わないように、3割くらい余裕を見積もってスケジュール帳へと書き込んだ。
思ったよりサクッと計画が決まったところで、龍大がお風呂から出てきた。リビングのデスクで座り込んでいる鈴夏の後ろに座り、シャンプーの香りを漂わせて抱きしめた。
「鈴夏が頑張るなら俺も頑張んなきゃ」
「たっちゃんも何か勉強するの?」
「いやいや俺は無理。鈴夏が勉強に集中できる環境作れるように頑張んなきゃってこと」
「……うん、ありがと」
鈴夏は自分のために頑張ると言ってくれたことが嬉しくて、耳が熱くなってくる。すると龍大が「お風呂入っておいで」と促したので、洗面台に向かった。
1級建築士を受けることに気合が入って舞い上がってしまってしばらく忘れていたけど、今日はポリネシアンセックスの最終日だ。一旦勉強のことは忘れて、黙々とシャワーを浴びた。
鈴夏は龍大の家に着いて玄関のドアを開けてもらい、中に入って龍大に飛びついた。
「おっと! なんかあったの?」
「はぁ……あ、あのね……たっちゃ……はぁ」
「うん、落ち着いて鈴夏」
思った以上に息が上がってしまい、言いたいことが口から出てこない。額や背中から汗が吹き出してくる。龍大が背中を擦っていると、徐々に落ち着きを取り戻してきた。
「私さ……1級建築士の資格……取ることにしたから!」
「……う、うん」
「だから、私がんばるね!」
明らかに龍大が戸惑っていたが、鈴夏は目を輝かせて告げた。次の瞬間龍大の表情が綻んで、鈴夏の頭を撫でてくれる。
「あ、ちょっと待って。今からテキスト買ってきていい?」
「うん、夕飯までもうちょっとかかるし」
「じゃ、駅前の本屋まで行ってくるね!」
一度決意したら、すぐ行動しないともったいない。そんな焦燥感が、鈴夏をまた走らせた。
流石に息が上がって苦しいから、早足で鈴夏は駅前の本屋へと向かい、鈍器みたいに分厚いテキストを購入した。さすがに重たくて、帰りはしんどかった。だから今度はゆっくりと確実に歩みを進めた。
「おかえり。もうすぐご飯炊けるから」
鈴夏が龍大の家へ戻ると、キッチン中に美味しそうな香りが充満していた。今日は炊き込みごはんと豚汁らしい。味噌の芳醇な香りと、炊飯器から漏れている醤油の香ばしい香りが鼻をくすぐる。
龍大が鈴夏の持っている鈍器みたいに分厚いテキストの存在に気づくと、「少し見せて」と言ってページをぱらぱらとめくった。すると龍大の顔が、わかりやすく青ざめた。
「うっ……」
「たっちゃんこういうの苦手?」
「も、文字の小ささだけで無理」
「あはは、この量だから今から勉強して来年の受験に備えるんだよ」
「来年!?」
鈴夏が何か言うたびに、龍大がいちいち反応してくれる。出会った頃は無愛想だと思っていたのに、今じゃこんなにもいろんな表情を見せてくれることが、鈴夏の心を温かくした。
それから夕飯を食べたあと、龍大が先にお風呂へ入ることになった。鈴夏はその間に建築士の勉強計画を立てる。来年の試験日の確認して勉強する範囲を1ヶ月単位で割り振り、そこからまた細かく決めていく。途中で体調不良が起こって勉強が滞っても構わないように、3割くらい余裕を見積もってスケジュール帳へと書き込んだ。
思ったよりサクッと計画が決まったところで、龍大がお風呂から出てきた。リビングのデスクで座り込んでいる鈴夏の後ろに座り、シャンプーの香りを漂わせて抱きしめた。
「鈴夏が頑張るなら俺も頑張んなきゃ」
「たっちゃんも何か勉強するの?」
「いやいや俺は無理。鈴夏が勉強に集中できる環境作れるように頑張んなきゃってこと」
「……うん、ありがと」
鈴夏は自分のために頑張ると言ってくれたことが嬉しくて、耳が熱くなってくる。すると龍大が「お風呂入っておいで」と促したので、洗面台に向かった。
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