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そのサプライズは聞いてない!
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玄関に入って鈴夏を下ろすと、龍大は鈴夏の背中をぽんぽんと軽く叩いて鈴夏のバッグを取りに車へと戻っていく。
鈴夏が玄関の段差に座り、もそもそとムートンブーツを脱ごうとしていると、龍大がしゃがみこんで脱がせてくれた。立つときも手を出してくれ、なんでもエスコートしている。
マスクの中が涙でしょっぱい。体もメンタルもボロボロなのに、こんなにも気を遣ってくれる龍大の優しさが心に刺さって痛いくらいだった。
鈴夏は手洗いをうがいを済ませ、手すりを必死に掴みながら2階へ上がってパジャマへと着替えた。
「ごはん食える?」
ちょうど鈴夏がパジャマに着替えて横になった頃、龍大が2階へと上がってきた。
部屋の入口で夕食が食べられるか聞いてくるけど、正直鈴夏の食欲は微塵も湧いていない。朝食を食べたきり水分しかとっていない。ここまで体が食べ物を受け付けなくなったのは、鈴夏の記憶の中にもなかった。
それでも薬を飲まないといけないから、鈴夏は力なく頷いた。
龍大が1階に降りたかと思いきや、そんなに時間を置かずにまた2階へと上がってくる。
「1階で寝る?」
鈴夏はその質問に対しては首を振った。1階だと龍大と同じ和室で寝ることになる。そうなると風邪を移すかもしれないから、それはさすがに遠慮した。
龍大は1階に降りていった……。はずのなのに、また時間を置かずに2階へと上がってきた。しかも何度も何度も上がってきてるのに、全く息が上がっている様子はない。
「おかゆなら食える?」
「付け合わせは梅と昆布と野沢菜でいい?」
「お茶は飲める?」
「あとで熱冷まし買ってくるから」
これを鈴夏へ訊くたびに2階へ上がってきていた。
――むちゃくちゃ過保護!
鈴夏もさすがに少し呆れてしまったけど、言い返す余裕はない。それに、龍大が階段を上がってくる足音を楽しみにしている鈴夏自身がいたのも事実だ。
次は何を訊いてくるんだろうと思っていたら、今度はおかゆができあがったらしい。
鈴夏が体を起こすと、龍大が「どうぞ」と言いながらしゃがんで背中を差し出してくる。どうやらおんぶしてくれるらしい。家の中だし、鈴夏はありがたく龍大の広くてたくましい背中を借りることにした。
龍大の作ったおかゆが鈴夏の体に染み渡る。ちょっとだけ粒が残っているけど、食べやすくてちょっと甘い。木のスプーンで少しずつ食べていると、食欲も遠慮がちに顔を出してきて昆布に手が伸びた。
昆布と野沢菜と梅は残してしまったけど、おかゆは完食した。その後病院でもらった薬を飲み、歯磨きをして、また龍大におんぶしてもらって2階へと戻った。
龍大は夕食のあとドラッグストアに行ってきたらしく、鈴夏に濡れマスクを渡し、額に冷えピタを貼ってくれた。湯呑みとお茶を持ってきて、ベッドサイドに置いてもくれた。わざわざホームセンターで電気毛布や湯たんぽまで買ってきた。しかも「なにかあったらLINEで呼んで」とまで言われた。あまりに至れり尽くせりで、「この状態も悪くないな」と、鈴夏の心の中の悪魔が囁いた。
鈴夏が玄関の段差に座り、もそもそとムートンブーツを脱ごうとしていると、龍大がしゃがみこんで脱がせてくれた。立つときも手を出してくれ、なんでもエスコートしている。
マスクの中が涙でしょっぱい。体もメンタルもボロボロなのに、こんなにも気を遣ってくれる龍大の優しさが心に刺さって痛いくらいだった。
鈴夏は手洗いをうがいを済ませ、手すりを必死に掴みながら2階へ上がってパジャマへと着替えた。
「ごはん食える?」
ちょうど鈴夏がパジャマに着替えて横になった頃、龍大が2階へと上がってきた。
部屋の入口で夕食が食べられるか聞いてくるけど、正直鈴夏の食欲は微塵も湧いていない。朝食を食べたきり水分しかとっていない。ここまで体が食べ物を受け付けなくなったのは、鈴夏の記憶の中にもなかった。
それでも薬を飲まないといけないから、鈴夏は力なく頷いた。
龍大が1階に降りたかと思いきや、そんなに時間を置かずにまた2階へと上がってくる。
「1階で寝る?」
鈴夏はその質問に対しては首を振った。1階だと龍大と同じ和室で寝ることになる。そうなると風邪を移すかもしれないから、それはさすがに遠慮した。
龍大は1階に降りていった……。はずのなのに、また時間を置かずに2階へと上がってきた。しかも何度も何度も上がってきてるのに、全く息が上がっている様子はない。
「おかゆなら食える?」
「付け合わせは梅と昆布と野沢菜でいい?」
「お茶は飲める?」
「あとで熱冷まし買ってくるから」
これを鈴夏へ訊くたびに2階へ上がってきていた。
――むちゃくちゃ過保護!
鈴夏もさすがに少し呆れてしまったけど、言い返す余裕はない。それに、龍大が階段を上がってくる足音を楽しみにしている鈴夏自身がいたのも事実だ。
次は何を訊いてくるんだろうと思っていたら、今度はおかゆができあがったらしい。
鈴夏が体を起こすと、龍大が「どうぞ」と言いながらしゃがんで背中を差し出してくる。どうやらおんぶしてくれるらしい。家の中だし、鈴夏はありがたく龍大の広くてたくましい背中を借りることにした。
龍大の作ったおかゆが鈴夏の体に染み渡る。ちょっとだけ粒が残っているけど、食べやすくてちょっと甘い。木のスプーンで少しずつ食べていると、食欲も遠慮がちに顔を出してきて昆布に手が伸びた。
昆布と野沢菜と梅は残してしまったけど、おかゆは完食した。その後病院でもらった薬を飲み、歯磨きをして、また龍大におんぶしてもらって2階へと戻った。
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