私と婚約破棄した伯爵がお姉様と婚約しました。

「あいつをお義兄様と呼べって? 嫌よッ!!」 

鈍感な姉にはなにを言っても無駄。でも許せない。
疑う事を知らない姉から、私がするはずだった婚約指輪を貸してもらった。
私から姉に乗り換えたギャロウェイ伯爵と、さっそく喧嘩させてやろうと思った。
私が受けた仕打ちに比べれば、可愛いすぎる悪戯だ。

ところが……

「!」

指輪を落っことしてしまった。
しかも、こんなに人がごった返している広間で。最悪だ。

「嘘でしょ……あれは伯爵家に代々受け継がれた指輪なのに……!」

床を這う私、伯爵令嬢アーシュラ・ペネロピ・バッセルは、テーブルクロスの中で彼と出会った。

「あんた誰」
「あー、僕は……」

レイモンド・ジム・グリーナウェイ。招かれざる客。
指輪探しを手伝ってもらうかわりに、お願いをひとつ聞いてあげるという約束をした私は、渋々ではありながら彼と客間に忍び込んで、見てしまった。

私を棄て姉と婚約したギャロウェイ伯爵の、密会現場を……

「あんな奴とお姉様を結婚させられないわ!」
「どうする気?」

彼は私の言いなり。逃す手はない。

「もうひとつお願いを聞いてあげる。ぶち壊して」
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