婚約破棄の理由は体形ですか? え? それなのにお太りになって復縁を迫るんですか???

「この1年、君が痩せるのを待った。さよなら、ファウスティーナ。私は美しき妖精ルドヴィカ・ヴェルガーニ嬢を妻とする事に決めたのだ! チャオ~!!」 
「はいッ!?」 

風のように彼は去った。
私はフィーニ伯爵令嬢ファウスティーナ・コロンボ。
母と一緒でぽっちゃり体形だけど、そんな理由で婚約破棄なんて聞いた事ない。

父は激怒。それもそのはず。
没落しかけた田舎貴族に目をかけて、立派な領主に育てた恩を仇で返されたのだから。

「あいつめ、娘を餌付けすれば甘い汁が吸えると……!」 
「宴を開いていろいろ食べさせてくれたのは愛じゃなかったのね」

失恋に泣き暮れる私に舞い込んだ新たな求婚。
旅行中の隣国の公爵アルチバルド・カンナヴァッチュオロ卿の愛に、私は不死鳥の如く蘇った。

ところで、それなりに地位を築き、女優を選んで私を棄てた彼。
元婚約者ガエタ伯爵オノフリオ・サンフィリッポ、なのだけれど……

1年後。

「ファウスティーナ! やっぱり私と結婚しておくれぇい!」

なにを今更。
しかも、女優に財産を食い潰された上、私を越える真のおデブになってる!
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