聖女の恋 ~今度こそ愛しい王太子と結ばれるようです~

あの戦いはまさに地獄だった。
私は新米聖女で、王太子ロベルト率いる魔王討伐隊のひとりだった。
最年少でみんなに可愛がられ、立派な聖女に育ててもらった。
けれどみんな死んでしまった。

聖騎士トビアスの裏切りによって。
彼は王太子ロベルトの乳兄弟にして右腕、最も信頼されていた親友。
 
王太子と将軍。
彼らは未熟な私だけでなく、みんなの憧れだった。

私はたぶん、雲の上のふたりともに恋をしていた。
そしてトビアスは私を選んだ。
だから私だけが聖騎士の背中に魔王軍の刻印を見たのだ。

トビアスを倒し、魔王軍の襲来を食い止めた私たちは伝説になった。
生き残ったのはロベルトと私だけ。
芽生えた愛を育てるには、ふたりとも心に深すぎる傷を負っていた。

時が流れ───……

私は伝説の聖女として世界を救う旅の途中、ある報せを受ける。
封印の<扉>に綻びが生じたと。

「ロベルト……」

彼が私を呼んでいる。……最後の戦いに。
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