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拓夢の話3

痺れない…

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「たっちゃん」

頭の中が痺れていかない。凛とした時みたいにならない。

「美沙」

俺は、美沙の足の間に顔を埋めた。

「ハァ、ァァッ、たっちゃん」

美沙の弱い所、好きな場所、まだちゃんと覚えてる。俺は、舌先を使ってそこをせめる。ビクンって体が波打つのを感じた。

「ァァッ」

俺は、凛の事しか考えていなかった。避妊具を取り出した。

「つけないで」

「それは、無理」

「約束?」

「うん」

「じゃあ、つけてあげる」

そう言って、美沙は避妊具をつけてくれる。もう、解散するのに何してんだろう…。それでも、俺は約束はちゃんと守りたかった。

「いれるよ」

「うん」

鼓舞が効いたのか?凛が脳内にやってきたからか?ちゃんと使い物になってくれて、助かった。俺は、ゆっくり美沙の中に入る。避妊具をしててもわかる。凛とは違う。嫌、気持ちが違うんだ。俺は、もう美沙を好きじゃないのをハッキリと感じる。

ゆっくり腰を動かす。

【凛、凛、凛】

凛の事を呼ばなくちゃ、こいつが駄目になるのを感じてる。

「たっちゃん、ァァッ」

兎に角、美沙をいかせなきゃ!満足してもらわなくちゃ!

「気持ちいい」

「私もだよ!たっちゃん」

体と心のズレみたいなのを感じる。それを書き消すように腰をうちつける。それをどんどん早くしていく。

「拓夢ーー、ッッ」

美沙が果てたのを確認して俺は離れた。

「ハァ、ハァ、ハァ。体力ないね!まだ、出来たのに…。昔は…」

「そうだな」

縛って捨てて、ゴロンって横になった。美沙は、俺を抱き締めてくる。

「若い時の力任せのセックスは、嫌い!後さ、必死なセックスも」

「そう」

「ちゃんと覚えてて、美沙はゆっくりとねちっこく愛されるのが好きなの」

「わかった!次からは、もっと時間をかけるよ」

「たっちゃん」

次からって、何だよ。次もやるのかよ…。俺は、セックスしか考えないのが好きだ。そこに愛とか恋とかは、ただのオプションぐらいに思えるのが好きだ。もちろん、気持ちがなければ俺の俺は役に立たない繊細だ。だけど、気持ちのうえで、そう思えるのが好きだ。頭の中を気持ちいいだけが支配する世界が好きだ…。だから、きっと美沙とは違う。分かり合えない。心が離れ、距離が出来た元カノは…。もう、何の共有も出来ない他人なんだ。

「美沙、休みの日は毎日来るからね!ご飯作ったりしてあげるから」

地獄の入り口が開いた気がした。

「ありがとう」

嬉しくない。全然、嬉しくない。だけど、美沙を受け入れなくちゃ…。受け入れなくちゃ…。そうじゃなきゃ…。

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