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20 手がかりが眠る星へ
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銀河第九ルート、航行禁止区域に近い小さな星。その名は〈リュミエール〉。
そこは登録上「無人星」とされているが、なぜかピリカ宛に配達依頼が届いた。
「ピリカ。差出人は不明。届け先も、“君自身”に、なっています」
ソルの報告に、モフルの耳がぴくりと動いた。「なんだか変な感じがする星だな」
ピリカは無言でパネルを見つめた。手が震えそうになるのを握りしめて抑える。
「……行ってみよう。そこに、何か大事なものが眠ってる気がするんだ」
リュミエール星は、光の霧に包まれた場所だった。まるで現実と夢の間に浮かぶような不思議な空間。
降り立ったピリカたちの前に、ぽつんと置かれた小箱があった。ピリカ宛ての荷物だ。
開封すると、中には古びたフォトフレームと、手書きの手紙が入っていた。
〔ピリカへ 君がいつか、この星に来てくれると信じています。ここは、かつて私たち夫婦が暮らしていた星。
ピリカは宇宙宅配員をやってるんだってね。事情があって、まだ帰ることはできませんが、いつも想っています。
ここに息子を届けてくれてありがとう。 母より〕
ピリカはフォトフレームを手に取った。そこには、両親と幼い自分の姿───かすかな記憶にある、ぬくもりの中の笑顔。
「……ここに、お父さんと、お母さんが暮らしていた……。
日付は1年前だ。僕が宇宙宅配員をやっていたことを知っている。
二人は生きてた。生きてたんだよんだ!!」
ピリカの瞳に涙が光った。
霧の星に、やわらかな風が吹く。
その中で、ピリカは箱をそっと抱えて言った。
「……ぼく、配達の仕事が好きだけど……本当は、自分が誰かに届けられたかったのかもしれない。
……ありがとう。これで、ちゃんと出発できる。ほんとうの意味で」
モフルが笑って言った。「さあ、次はどんな星に、何を届けに行こうか?」
宇宙船ミズホ号が、静かにリュミエールの空をあとにした。
そして、星屑の宅配便は、また新しい誰かの願いを探して飛び立つ。
《配達完了:ピリカ(両親は生きていた)》
これで、ちゃんと出発できる。ほんとうの意味で。
そこは登録上「無人星」とされているが、なぜかピリカ宛に配達依頼が届いた。
「ピリカ。差出人は不明。届け先も、“君自身”に、なっています」
ソルの報告に、モフルの耳がぴくりと動いた。「なんだか変な感じがする星だな」
ピリカは無言でパネルを見つめた。手が震えそうになるのを握りしめて抑える。
「……行ってみよう。そこに、何か大事なものが眠ってる気がするんだ」
リュミエール星は、光の霧に包まれた場所だった。まるで現実と夢の間に浮かぶような不思議な空間。
降り立ったピリカたちの前に、ぽつんと置かれた小箱があった。ピリカ宛ての荷物だ。
開封すると、中には古びたフォトフレームと、手書きの手紙が入っていた。
〔ピリカへ 君がいつか、この星に来てくれると信じています。ここは、かつて私たち夫婦が暮らしていた星。
ピリカは宇宙宅配員をやってるんだってね。事情があって、まだ帰ることはできませんが、いつも想っています。
ここに息子を届けてくれてありがとう。 母より〕
ピリカはフォトフレームを手に取った。そこには、両親と幼い自分の姿───かすかな記憶にある、ぬくもりの中の笑顔。
「……ここに、お父さんと、お母さんが暮らしていた……。
日付は1年前だ。僕が宇宙宅配員をやっていたことを知っている。
二人は生きてた。生きてたんだよんだ!!」
ピリカの瞳に涙が光った。
霧の星に、やわらかな風が吹く。
その中で、ピリカは箱をそっと抱えて言った。
「……ぼく、配達の仕事が好きだけど……本当は、自分が誰かに届けられたかったのかもしれない。
……ありがとう。これで、ちゃんと出発できる。ほんとうの意味で」
モフルが笑って言った。「さあ、次はどんな星に、何を届けに行こうか?」
宇宙船ミズホ号が、静かにリュミエールの空をあとにした。
そして、星屑の宅配便は、また新しい誰かの願いを探して飛び立つ。
《配達完了:ピリカ(両親は生きていた)》
これで、ちゃんと出発できる。ほんとうの意味で。
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