星屑宅配便 ～あったかいもの、お届けします～

３２ 未来便・ぬくもりタイムカプセル

　――─いつか、さびしい夜を越えるために。

　宇宙宅配員ピリカが、降り立ったのは、緑の多い星〈リフレア〉。
　その小さな町の学校から、「タイムカプセル便」の依頼が入っていた。
　指定された場所に向かうと、出迎えてくれたのは、卒業を控えた小学六年生の子どもたちと、その担任の先生、トモコ先生。
（ああ。本当なら僕も、こんな感じで学校にいるんだよな……）

「わたしたち、10年後の自分に手紙を書くことにしたんです。でもね、ただの手紙じゃなくて、“あったかいもの”も一緒に入れたいなって」
　そう言って、子どもたちは、それぞれの“あったかいもの”を差し出した。
・家族で毎朝飲んでいるコーンスープのレシピ。
・寒い日に母がくれた、手編みのマフラーの端切れ。
・大好きな犬のぬいぐるみの片耳。
・おじいちゃんと聞いたお気に入りの音楽の録音。
・泣いたときにもらった、友だちの折り紙手紙。
　小さな缶や布袋に入れられた「ぬくもりたち」は、木箱にまとめられ、ピリカに託された。
「10年後、必ず届けてくださいね」
「絶対に！　忘れないで！」
　子どもたちに囲まれて、ピリカはまっすぐにうなずいた。



「１０年後か……。僕も大人になってるね。
　どこで、何をしてるのかな？
　それまでは、お父さんとお母さんに会いたいな」
「ワタシたち、ずっと、一緒が、いい」
「おれはその頃には、オリジナルブレンドのハーブティーで、財をなしているはず」

　10年後に必ず届ける。そう約束した。