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37 未来便・ぬくもりタイムカプセル 2
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「タイムカプセル便」の依頼から10年後。
星暦4035年、ピリカたちは再び〈リフレア〉に降り立った。
〈届け先:リフレア小学校第27期生 一同〉
指定された集会場には、大人になった元・子どもたちが集まっていた。
一人ひとりが箱を開き、自分だけの“あったかい時間”を取り出す。
「うわ……これ、母さんのマフラーの糸……」
「この折り紙、あの子にもらったの、忘れてた……」
「おじいちゃんの音楽、これ、家に残ってなかったのに!」
会場には、笑いと涙と、あったかい沈黙が流れていた。
少し離れた場所で、ピリカたちはその光景を静かに見守っていた。
ソルが言った。
「“ぬくもり”は、時間を越えて、心に届くんですね」
モフルも、珍しくじんわりした顔でうなずいた。
「10年もたったのに、ちゃんと、ここにあった」
ピリカは思った。
“届ける”って、ただ今すぐ届けることだけじゃない。
「また会えたらいいな」って願う、未来への約束なんだ。
✉ 小さな後日談:〈宛先:宇宙宅配員ピリカさま〉
ミズホ号の通信室。
その日、ピリカの元に、ひときわ丁寧に書かれた封筒が届いた。
宛名は、こう記されていた。
「宇宙宅配員 ピリカさま」
差出人は、リフレア星・ユウリ(23歳)。
「ええと……あの時、あの男の子だったかな」
ピリカは封を開け、やわらかな筆跡の手紙を読みはじめた。
拝啓 宇宙宅配員ピリカさま
先日は、10年前に預けた「ぬくもりタイムカプセル」を、無事に届けてくださってありがとうございました。
私は今、リフレアの診療所で医師として働いています。
疲れて落ち込んだ日の夜、タイムカプセルの中に入れた、あの“折り紙の手紙”を久しぶりに読んでみました。
小学校の頃、友だちがくれたあの言葉に、また救われました。
「ユウリは、だいじょうぶ。ちゃんと、笑える日がくるから」って。
私は、泣いてしまいました。子どもみたいに。
あの時の友だちが、今の私を助けてくれるなんて。
あんなふうに、ちゃんと届くように運んでくださったピリカさんのおかげです。
宇宙のどこかで、この手紙を受け取ってくれていたら嬉しいです。
どうか、あなたの旅が、いつもあたたかくありますように。
敬具
リフレア星の医師より
読み終えたピリカは、少しだけ照れたように笑った。
「……ちゃんと、届いたんだね」
ソルがそっと温かい紅茶を差し出してくれた。
モフルは、ピリカの背中にもふもふの体をくっつけた。
窓の外には、星がまた一つ、きらりと光っていた。
星暦4035年、ピリカたちは再び〈リフレア〉に降り立った。
〈届け先:リフレア小学校第27期生 一同〉
指定された集会場には、大人になった元・子どもたちが集まっていた。
一人ひとりが箱を開き、自分だけの“あったかい時間”を取り出す。
「うわ……これ、母さんのマフラーの糸……」
「この折り紙、あの子にもらったの、忘れてた……」
「おじいちゃんの音楽、これ、家に残ってなかったのに!」
会場には、笑いと涙と、あったかい沈黙が流れていた。
少し離れた場所で、ピリカたちはその光景を静かに見守っていた。
ソルが言った。
「“ぬくもり”は、時間を越えて、心に届くんですね」
モフルも、珍しくじんわりした顔でうなずいた。
「10年もたったのに、ちゃんと、ここにあった」
ピリカは思った。
“届ける”って、ただ今すぐ届けることだけじゃない。
「また会えたらいいな」って願う、未来への約束なんだ。
✉ 小さな後日談:〈宛先:宇宙宅配員ピリカさま〉
ミズホ号の通信室。
その日、ピリカの元に、ひときわ丁寧に書かれた封筒が届いた。
宛名は、こう記されていた。
「宇宙宅配員 ピリカさま」
差出人は、リフレア星・ユウリ(23歳)。
「ええと……あの時、あの男の子だったかな」
ピリカは封を開け、やわらかな筆跡の手紙を読みはじめた。
拝啓 宇宙宅配員ピリカさま
先日は、10年前に預けた「ぬくもりタイムカプセル」を、無事に届けてくださってありがとうございました。
私は今、リフレアの診療所で医師として働いています。
疲れて落ち込んだ日の夜、タイムカプセルの中に入れた、あの“折り紙の手紙”を久しぶりに読んでみました。
小学校の頃、友だちがくれたあの言葉に、また救われました。
「ユウリは、だいじょうぶ。ちゃんと、笑える日がくるから」って。
私は、泣いてしまいました。子どもみたいに。
あの時の友だちが、今の私を助けてくれるなんて。
あんなふうに、ちゃんと届くように運んでくださったピリカさんのおかげです。
宇宙のどこかで、この手紙を受け取ってくれていたら嬉しいです。
どうか、あなたの旅が、いつもあたたかくありますように。
敬具
リフレア星の医師より
読み終えたピリカは、少しだけ照れたように笑った。
「……ちゃんと、届いたんだね」
ソルがそっと温かい紅茶を差し出してくれた。
モフルは、ピリカの背中にもふもふの体をくっつけた。
窓の外には、星がまた一つ、きらりと光っていた。
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