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最終話 終着の星で、また会う日まで
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黄昏の光が差し込むポーチ。
古いロッキングチェアが、ゆっくりと揺れている。
そこに腰掛けるのは、引退した元宇宙宅配員、ピリカ。
長い航海の果てに、ようやく安らげる場所を見つけた彼は、微笑みながら、そばにいるソルとモフルを見つめていた。
「ずっと、探してたんだよ……」
ピリカがそう呟くと、ソルは静かに頷き、モフルは彼の足元で丸くなる。
――─あの頃。
12歳の僕は、両親の消息を求めながら、たったひとりで宇宙を駆けまわっていた。
道に迷いながら、時には涙をこらえながら、荷物を届ける日々。
それでも、誰かの「ありがとう」に支えられて。
そしてある日届いた、両親からの未来便。
あの便には、直接会うことは叶わなかったけれど、僕をずっと想ってくれていた、確かな気持ちが込められていた。
「あなたの小さな手で届けるその荷物には、私たちの知らない誰かの想いが入っているんでしょう?
それを運んでいるあなたは、きっともう、たくさんの人の心に触れているのだと思います。
私たちの宝物、ピリカへ。あなたの道はきっと、愛に満ちた道になりますように」
ホログラム映像が語りかける。
僕は泣きながら空を見上げた。
そして改めて思った。
こらからも「あったかい心」を届け続けようと。
それから何百便も届けて、たくさんの「ありがとう」と出会って、ソルとモフルと、本当の“家族”になって――
気づけば、僕のそばには大切な人が加わっていた。
愛する人。
初めて会ったキャスは、まだ少女で、一人、さかさまのブランコに乗っていた。
「ルアの家族とごはん食べるの、明日だったわね」
キャスがポーチに出てきた。
「ああ、そうだね。会うのが楽しみだ」
兄もできた。
いつも待っていてくれる人。
それが、きっと“帰る場所”なんだと思った。
今では、若い配達員たちが活躍する時代。
僕の出番はもうないけれど。
それでも、こうして座っていると、胸の奥でトントンと響く音がする。
それはきっと、誰かの心に届いた、ぬくもりの音。
「モフル、ソル。……僕たち、いい旅をしてきたよね」
「ええ、ピリカさん。あなたの、届けたものは、今も、あちこちで、灯ってます」
「なぁ、ピリカ。そろそろおやつにしようよ───」
ピリカは、ふふっと笑って、椅子から立ち上がった。
手には、かつて両親から届いた未来便とそっくりの、小さなカプセルが一つ。
その中にはこう書かれている。
〔まだ見ぬ誰かへ。
僕がもらったこの“あったかさ”を、次はあなたに。
あなたの人生が、ぬくもりに満ちたものになりますように――─
元宇宙宅配員 ピリカより〕
ピリカのカプセルを載せた小さな無人ポッドが、夜空へふわりと旅立っていく。
ロッキングチェアは静かに揺れている。
モフルのいびきと、ソルのやわらかな音が、まるで子守唄のように響く――──
🚀 おしまい。
古いロッキングチェアが、ゆっくりと揺れている。
そこに腰掛けるのは、引退した元宇宙宅配員、ピリカ。
長い航海の果てに、ようやく安らげる場所を見つけた彼は、微笑みながら、そばにいるソルとモフルを見つめていた。
「ずっと、探してたんだよ……」
ピリカがそう呟くと、ソルは静かに頷き、モフルは彼の足元で丸くなる。
――─あの頃。
12歳の僕は、両親の消息を求めながら、たったひとりで宇宙を駆けまわっていた。
道に迷いながら、時には涙をこらえながら、荷物を届ける日々。
それでも、誰かの「ありがとう」に支えられて。
そしてある日届いた、両親からの未来便。
あの便には、直接会うことは叶わなかったけれど、僕をずっと想ってくれていた、確かな気持ちが込められていた。
「あなたの小さな手で届けるその荷物には、私たちの知らない誰かの想いが入っているんでしょう?
それを運んでいるあなたは、きっともう、たくさんの人の心に触れているのだと思います。
私たちの宝物、ピリカへ。あなたの道はきっと、愛に満ちた道になりますように」
ホログラム映像が語りかける。
僕は泣きながら空を見上げた。
そして改めて思った。
こらからも「あったかい心」を届け続けようと。
それから何百便も届けて、たくさんの「ありがとう」と出会って、ソルとモフルと、本当の“家族”になって――
気づけば、僕のそばには大切な人が加わっていた。
愛する人。
初めて会ったキャスは、まだ少女で、一人、さかさまのブランコに乗っていた。
「ルアの家族とごはん食べるの、明日だったわね」
キャスがポーチに出てきた。
「ああ、そうだね。会うのが楽しみだ」
兄もできた。
いつも待っていてくれる人。
それが、きっと“帰る場所”なんだと思った。
今では、若い配達員たちが活躍する時代。
僕の出番はもうないけれど。
それでも、こうして座っていると、胸の奥でトントンと響く音がする。
それはきっと、誰かの心に届いた、ぬくもりの音。
「モフル、ソル。……僕たち、いい旅をしてきたよね」
「ええ、ピリカさん。あなたの、届けたものは、今も、あちこちで、灯ってます」
「なぁ、ピリカ。そろそろおやつにしようよ───」
ピリカは、ふふっと笑って、椅子から立ち上がった。
手には、かつて両親から届いた未来便とそっくりの、小さなカプセルが一つ。
その中にはこう書かれている。
〔まだ見ぬ誰かへ。
僕がもらったこの“あったかさ”を、次はあなたに。
あなたの人生が、ぬくもりに満ちたものになりますように――─
元宇宙宅配員 ピリカより〕
ピリカのカプセルを載せた小さな無人ポッドが、夜空へふわりと旅立っていく。
ロッキングチェアは静かに揺れている。
モフルのいびきと、ソルのやわらかな音が、まるで子守唄のように響く――──
🚀 おしまい。
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