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俺は男の人を見ていた。ナミルとアーリムさん以外の異世界人。テキパキと働く姿をじっと見ていると、その人は目を上げてにっこりと笑った、くるみ色のサラサラの髪に綺麗な整った顔。かわいい。
「はじめまして、ダギルと言います。アーリムさん様のお手伝いをしています」
男の人はふわりと笑うと俺を頭のてっぺんから足の先まで観察した。俺が居心地悪くて身じろぐとまた、ふわりと笑う。
「ほんとにナミル様の魔力に染まることのできる方がいらっしゃったのですね、すごい」
俺は何を褒められたのか分からないからナミルを見た。ナミルは少しだけ苦い笑いを浮かべている。
「こら、ダギル。いらないことをしゃべるなら追い出すからな」
アーリムさんが低い声でダギルを睨むと、驚いた顔をつくってまた給仕に戻る。もう少しくらいしゃべりたい。ナミルのこと。皆のこと。異世界のこと教えて欲しいと思った。
ナミルは俺の手を引いてテーブルに着く。当たり前のように俺を膝に乗せて後ろからお腹に腕を回す。ダギルがそのさまをじっと見ていた。
ナミルはお構いなしに俺の口に食べ物を運ぶ。昨日の俺の傾向を思い出したのかまず手に取ったのは甘い果物のような汁気の多い食べ物だ。ダギルの視線に気を取られていた俺は口のまわりを汚してしまった。ナミルはあごを取ってそこを舐めた。
ダギルは一瞬目を見開いてその動作を見ていた。手をぐっと握って目を伏せてアーリムさんの隣に立つ。彼の仕草から目が離せなかった。
ナミルはマイペースに俺の口に食べ物を運ぶ。俺はされるがまま食べて舐められて、そして、俺もナミルに食べさせた。それを静かに見守られる。
アーリムさんとダギルが片付けのために部屋から出て行ったのを見て彼が何者かを聞いた。
「ダギルは従兄弟だ」
「さっきの様子、ちょっと、気になったんだ。それだけじゃないだろ?」
ナミルはうーんと唸って俺のお腹に手を回してぎゅっと甘えるように抱き着いてきた。
「ダギルは俺の婚約者候補の一人だった。と言っても候補は何人かいたんだ。この世界は魔力の色で相性が分かる。俺の魔力は他の人間と交わろうとすると相手の色を消してしまう。普通なら混ざるだけだが、俺の場合はそれができない。本来持つ魔力の色が消えるという事は本質が変わることだ。体力的にも精神的にも負担を強いることになる。だから誰とも婚約はしなかった。せめて、俺は自ら色を変えたいと思う人を見つけたかった。俺の色に染まっても苦しまない人と出会いたいと思った」
ナミルが俺の耳にキスした。
「マナト、君は透明な器だった。君が来てくれたおかげで初めて人に俺の魔力を渡すことができている。君のおかげで自分の色に染める喜びを知った。この魔力を授かって初めてできた、ありがとう」
「うん。俺って透明なんだね。落ち人だから?」
「落ち人だって色を持っている人もいる。落ちてくる前に性交渉をしている人間は色がついているからな」
俺はびっくりして目を見開いた。ナミルは俺が童貞処女って魔力の色でバレてたのか。って、めっちゃ恥ずかしいじゃんか。
「マナト、勘違いしないで欲しい。誰でもいいわけじゃない。出会った時からマナトに好ましさを感じている。マナトだから受け入れてもらえることが嬉しいんだ」
背中に感じる心臓の鼓動が早かった。それは俺も同じだ。
「俺はナミルの魔力に不快感はないよ。それどころか。その……気持ち良いと感じている」
「嬉しい、マナト」
「俺にいろいろ教えてこの世界のこと。ナミルのこと」
ナミルが腕に力を込めて俺のつむじにキスを落とす。そこから少しだけこの世界の話を聞いた。ナミルがこんなに過保護なのは落ち人が弱いからだと教わった。獣に襲われたり。体調を崩したり。人を怖がって衰弱したり。急に食事をし無くなったり。それで儚くなることが多々あるらしい。だから拾った人間が誠心誠意お世話してこの世界に馴染ませる必要があるそうだ。まぁ、急に知らない世界に来たら誰だって戸惑うし、ホームシックに掛かるだろう。
そして、このナミルのいる集落は90人ほどが生活していて、畑と狩りで生計を立てているそうだ。全員が獣人でダギルもアーリムさんも耳やしっぽを見せないだけで獣人だそうだ。ナミルは俺といると耳もしっぽも出しているが本来は感情が高ぶったり、リラックスすると出るそうでなんか。俺に隠さず獣人性を出していることは俺に心を許してくれているようで嬉しく感じる。
「マナトのいた世界には獣人はいないんだろ?怖くないか?」
俺は首を横に振った。
「確かにいなかったけど。怖くないよ。だって、ナミルはナミルだから」
彼は俺を守ってくれると言った。俺はナミルの方に向き直ってその頬を撫で見つめ返す。こんな優しく微笑む人が怖いわけないじゃないか。ついじっと唇を見つめた。
コホンっ……遠慮がちな咳払いが聞こえてきた。
「ぼっちゃん、今日の狩りはどうしますか?」
アーリムさんとダギルが帰ってきていた。ナミルの耳としっぽがしゅっと消えた。
「あぁ、行こう。フアルの実もとってこないといけないから」
ナミルが俺を見てニヤリと笑った。
「はじめまして、ダギルと言います。アーリムさん様のお手伝いをしています」
男の人はふわりと笑うと俺を頭のてっぺんから足の先まで観察した。俺が居心地悪くて身じろぐとまた、ふわりと笑う。
「ほんとにナミル様の魔力に染まることのできる方がいらっしゃったのですね、すごい」
俺は何を褒められたのか分からないからナミルを見た。ナミルは少しだけ苦い笑いを浮かべている。
「こら、ダギル。いらないことをしゃべるなら追い出すからな」
アーリムさんが低い声でダギルを睨むと、驚いた顔をつくってまた給仕に戻る。もう少しくらいしゃべりたい。ナミルのこと。皆のこと。異世界のこと教えて欲しいと思った。
ナミルは俺の手を引いてテーブルに着く。当たり前のように俺を膝に乗せて後ろからお腹に腕を回す。ダギルがそのさまをじっと見ていた。
ナミルはお構いなしに俺の口に食べ物を運ぶ。昨日の俺の傾向を思い出したのかまず手に取ったのは甘い果物のような汁気の多い食べ物だ。ダギルの視線に気を取られていた俺は口のまわりを汚してしまった。ナミルはあごを取ってそこを舐めた。
ダギルは一瞬目を見開いてその動作を見ていた。手をぐっと握って目を伏せてアーリムさんの隣に立つ。彼の仕草から目が離せなかった。
ナミルはマイペースに俺の口に食べ物を運ぶ。俺はされるがまま食べて舐められて、そして、俺もナミルに食べさせた。それを静かに見守られる。
アーリムさんとダギルが片付けのために部屋から出て行ったのを見て彼が何者かを聞いた。
「ダギルは従兄弟だ」
「さっきの様子、ちょっと、気になったんだ。それだけじゃないだろ?」
ナミルはうーんと唸って俺のお腹に手を回してぎゅっと甘えるように抱き着いてきた。
「ダギルは俺の婚約者候補の一人だった。と言っても候補は何人かいたんだ。この世界は魔力の色で相性が分かる。俺の魔力は他の人間と交わろうとすると相手の色を消してしまう。普通なら混ざるだけだが、俺の場合はそれができない。本来持つ魔力の色が消えるという事は本質が変わることだ。体力的にも精神的にも負担を強いることになる。だから誰とも婚約はしなかった。せめて、俺は自ら色を変えたいと思う人を見つけたかった。俺の色に染まっても苦しまない人と出会いたいと思った」
ナミルが俺の耳にキスした。
「マナト、君は透明な器だった。君が来てくれたおかげで初めて人に俺の魔力を渡すことができている。君のおかげで自分の色に染める喜びを知った。この魔力を授かって初めてできた、ありがとう」
「うん。俺って透明なんだね。落ち人だから?」
「落ち人だって色を持っている人もいる。落ちてくる前に性交渉をしている人間は色がついているからな」
俺はびっくりして目を見開いた。ナミルは俺が童貞処女って魔力の色でバレてたのか。って、めっちゃ恥ずかしいじゃんか。
「マナト、勘違いしないで欲しい。誰でもいいわけじゃない。出会った時からマナトに好ましさを感じている。マナトだから受け入れてもらえることが嬉しいんだ」
背中に感じる心臓の鼓動が早かった。それは俺も同じだ。
「俺はナミルの魔力に不快感はないよ。それどころか。その……気持ち良いと感じている」
「嬉しい、マナト」
「俺にいろいろ教えてこの世界のこと。ナミルのこと」
ナミルが腕に力を込めて俺のつむじにキスを落とす。そこから少しだけこの世界の話を聞いた。ナミルがこんなに過保護なのは落ち人が弱いからだと教わった。獣に襲われたり。体調を崩したり。人を怖がって衰弱したり。急に食事をし無くなったり。それで儚くなることが多々あるらしい。だから拾った人間が誠心誠意お世話してこの世界に馴染ませる必要があるそうだ。まぁ、急に知らない世界に来たら誰だって戸惑うし、ホームシックに掛かるだろう。
そして、このナミルのいる集落は90人ほどが生活していて、畑と狩りで生計を立てているそうだ。全員が獣人でダギルもアーリムさんも耳やしっぽを見せないだけで獣人だそうだ。ナミルは俺といると耳もしっぽも出しているが本来は感情が高ぶったり、リラックスすると出るそうでなんか。俺に隠さず獣人性を出していることは俺に心を許してくれているようで嬉しく感じる。
「マナトのいた世界には獣人はいないんだろ?怖くないか?」
俺は首を横に振った。
「確かにいなかったけど。怖くないよ。だって、ナミルはナミルだから」
彼は俺を守ってくれると言った。俺はナミルの方に向き直ってその頬を撫で見つめ返す。こんな優しく微笑む人が怖いわけないじゃないか。ついじっと唇を見つめた。
コホンっ……遠慮がちな咳払いが聞こえてきた。
「ぼっちゃん、今日の狩りはどうしますか?」
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