伝説の剣なんていりません。普通の女の子に戻りたい。

あきあす

文字の大きさ
54 / 80
第2章

魔術師と猫

しおりを挟む
「カミュっち、さっきからイオンさんが
猫と喋ってんだけどー、てへ。」

「あー、本当だ。猫って普通喋る?」

「だよねぇ。てへ。あれ、匂うね。」

「え、猫ってそんなに臭いっけ?」

「いやー、黒魔術の匂いがね、ぷんぷんするんだよ。てへ。」


黒魔術?どういうこと?
黒猫だから?

サフィニアさん…そんな匂いまでわかるのか?!

「取りあえず、僕も猫と喋ってこよう。」


窓辺のソファーに座っている姉さんと猫とまうちゃん。これ、ヤバいー。なんだよーもう!可愛いやつが集まってるじゃないか!

「姉さん、僕にもその猫を紹介してよ。」

「カミュ、こちらは猫さんです。」

「見ればわかるって。」

「あれ、そういえば猫さん、お名前は?」

「我輩の名前はアルフォンソだ。」

「カッコいい名前~。」


ふわふわの黒い毛のこの猫は、アルフォンソっていうんだね。猫にしては大層な名前だ。姉さんは喋っている間、ずーっとアルフォンソを撫でている。特に胸の毛がもふもふしてて触り心地良さそう。僕にも触らせてくれないかな。



「あのー。つかぬことを伺いますが…アルフォンソさん、あなた本当に猫ですか?てへ。」


「なっ!!!」

しっぽの毛をボワッと膨らませたアルフォンソ。サフィニアさん、なんてこと聞くんだよ。見た目そのまま猫じゃん。

「な、な、なななな何を言ってるんだ!」

あら、なんかあからさまに様子がおかしいぞ。

「アルフォンソ~、また背中の毛が逆立ってるわよぉ。よしよし。」

「ゴロゴロゴロゴロ。」

喉鳴らしてるよ。やっぱ、猫じゃん。

「あなたから、怪しい匂いがするんですよねぇ。てへ。」

「あ、怪しい匂いだと?!そういうお前は誰だ!」

「申し遅れました。てへ。私は王国筆頭魔術師のサフィニアと申します。」

「ひっ、筆頭魔術師だと!?それじゃ……ぐすんっ。我輩…ぐすんっ。」

あら、今度は泣いてる。

「どうしたの?泣かないで。よしよし。」

「ゴロゴロゴロゴロ。」


泣いたり喉ならしたり忙しいな。

「わ、我輩は…我輩は…ここの本当の領主だ。」


「「「えーーーー!!!」」」


領主様だとー!
え、ちょっと待って。それじゃ元は人間てことだよね?猫のまま領主だったわけじゃないよね?


「てへ。あなた黒魔術かけられましたね?」

「あぁ、そうだ。我輩は騙されたんだ。あいつに。」

「あいつって?」

「現領主のバラッカにだ。」

うわー、なんかめんどくさいことに巻き込まれそうな予感。

「そのバラッカっていう人は魔術師なの?」

相変わらずアルフォンソを撫でながら姉さんが聞く。

「いや、あいつは魔術師じゃない。腹黒なペテン師だがな。」

「あなた、元の姿に戻りたいですか?てへ。」

「当たり前だ!!このままじゃこの領は破滅してしまう。あいつの悪事を暴いたところで猫のままじゃ何も出来ん。」

「てへ。そうですか。では、私達に協力してくれるなら、元の姿に戻して差し上げますよ。」

「なに?!本当か?」

サフィニアさんは、深く頷いた。

「頼む!お願いだ。我輩に出来る事なら何でも協力する。だから…。」

「アルフォンソ、大丈夫だよ。よしよし。私達がついてるからね。ね、サフィニアさんっ。」

どこから来るのかわからない自信満々な顔で姉さんがアルフォンソを抱き上げる。
じっと、サフィニアさんの目を見るアルフォンソ。

「てへ。じゃ、一緒にダンジョンに行ってくださいね。」


「わかった。よろしくな。」





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

処理中です...