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第1章 ゴブリン退治
村で
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サリーの案内で村についた五郎は、その様子が異様なのに気がついた。なんというか、活気というものがまるで存在しない。
もちろん、小さな村(およそ人口200人ほどだ、とサリーは言っていた)に街のような活気を求めるのは無茶というものだろう。
それにしても、おかしい。朗らかさというものがない。道行く人々は少なく、その数少ない人々の顔にも笑顔はなかった。
「誰かの葬式でもあったのかな?」
五郎がサリーにささやいた。
「この辺りでは毎日です」
サリーは答えた。表情は真面目である。特に冗談というわけでもないようだった。
やがて、サリーの家についた。村外れの小さな一軒家である。あちこちに穴が空いていた。
「みすぼらしい家ですみません」
中に入って椅子に座った五郎に、サリーがそう言いながらお茶を持ってきた。
「いや、謝ってもらうことでもないが……ずいぶんと苦労をしてるな」
「両親がいる頃でしたら、こんなでもなかったのですが」
「ご両親はなくなってる?」
「ゴブリンの手にかかって」
「ふむ」
つまり、先程サリーを囲んでいたゴブリンたちは、彼女にとって両親のカタキというわけか。
「あのゴブリンどもはこの辺りをよっぽど荒らしているのかい」
「ええ……月に4、5人はやられます」
「ひどい話だ。……しかし」
五郎は、脳の中の知識(神が与え給うたこの世界の知識である)をまさぐりながら言った。
「ゴブリンというのはそこまで凶悪なものだったかね」
「3年前までは違いました。森の奥の沼で、魚を取って暮らしていたはずです。ときには悪さをしましたが……それも畑の牛を盗むぐらいで」
「ま、牛を盗むのも困ったことではあるが」
五郎は茶をすすった。すすりながら、サリーの顔を見る。
その表情には沈痛な面持ちがあった。両親が死んだことを思い返したのであれば、当然ではある。
五郎は、悪いことをしたな、と思った。そして思いつく。
「さっき、森の奥の沼と言ったね」
「え?」
「いやさ、ゴブリンたちの住んでいる場所だよ」
「え、ええ」
「住んでいる場所は分かっているわけだ」
「はい」
「ふむ」
五郎は刀を手に立ち上がった。サリーは驚きの眼で五郎を見つめる。
「どうされました?」
「少し話をつけてくる」
「……やめてください。今まで、行って帰った者はいないんですよ。騎士団や冒険者だって、森の罠にかかって……」
「やられてきたというわけか。しかし、俺は違う」
そう言い切れるなにかが、五郎の中で目覚めていた。
五郎は、
「料理を用意しておいてくれ。夕飯には戻る」
そう言うと、ドアを開けて家から飛び出した。
もちろん、小さな村(およそ人口200人ほどだ、とサリーは言っていた)に街のような活気を求めるのは無茶というものだろう。
それにしても、おかしい。朗らかさというものがない。道行く人々は少なく、その数少ない人々の顔にも笑顔はなかった。
「誰かの葬式でもあったのかな?」
五郎がサリーにささやいた。
「この辺りでは毎日です」
サリーは答えた。表情は真面目である。特に冗談というわけでもないようだった。
やがて、サリーの家についた。村外れの小さな一軒家である。あちこちに穴が空いていた。
「みすぼらしい家ですみません」
中に入って椅子に座った五郎に、サリーがそう言いながらお茶を持ってきた。
「いや、謝ってもらうことでもないが……ずいぶんと苦労をしてるな」
「両親がいる頃でしたら、こんなでもなかったのですが」
「ご両親はなくなってる?」
「ゴブリンの手にかかって」
「ふむ」
つまり、先程サリーを囲んでいたゴブリンたちは、彼女にとって両親のカタキというわけか。
「あのゴブリンどもはこの辺りをよっぽど荒らしているのかい」
「ええ……月に4、5人はやられます」
「ひどい話だ。……しかし」
五郎は、脳の中の知識(神が与え給うたこの世界の知識である)をまさぐりながら言った。
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「ま、牛を盗むのも困ったことではあるが」
五郎は茶をすすった。すすりながら、サリーの顔を見る。
その表情には沈痛な面持ちがあった。両親が死んだことを思い返したのであれば、当然ではある。
五郎は、悪いことをしたな、と思った。そして思いつく。
「さっき、森の奥の沼と言ったね」
「え?」
「いやさ、ゴブリンたちの住んでいる場所だよ」
「え、ええ」
「住んでいる場所は分かっているわけだ」
「はい」
「ふむ」
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「どうされました?」
「少し話をつけてくる」
「……やめてください。今まで、行って帰った者はいないんですよ。騎士団や冒険者だって、森の罠にかかって……」
「やられてきたというわけか。しかし、俺は違う」
そう言い切れるなにかが、五郎の中で目覚めていた。
五郎は、
「料理を用意しておいてくれ。夕飯には戻る」
そう言うと、ドアを開けて家から飛び出した。
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