中年剣士異世界転生無双

第４章 街道の化物

凱旋

　オーガの首を持って帰った五郎たちは、宿場村の人間たちからこぞって歓迎を受けた。
　ささやかな祝宴が催され、宿の一番いい部屋を無料で提供された。
　祝宴の最中、五郎たちの元に、冒険者の一団――例のオーガ退治に失敗したパーティーである――がやって来た。

「おめでとう……いや、ありがとうと言うべきかな」

　リーダー格の髭面の男が言った。

「どちらでも構わんさ。約束さえ守ってくれるなら、こちらにとってもいい話なんだから」

　五郎はそう答える。

「もちろん、守るとも。お前さんを俺たちのギルドに紹介させてもらうよ。しかし、大したもんだ」

　そう言って髭面の男は、酒の入ったコップを高く上げ、

「あんたたちの前途に乾杯だ」

　と言った。
　それにあわせて、五郎も酒盃を上げる。

「ありがとう」

　二人はぐびりと酒を飲んだ。
　月が空から村を照らしている。

（いよいよ始まる）

　五郎はそう、月に向かってひとりごちた。
　こちらの世界における新たな人生が、今、本格的に幕を開けようとしているのだ。
　そう思うと、五郎は胸の高鳴りを感じざるをえなかった。