中年剣士異世界転生無双

第６章 カエル沼

ギルドでの再会

　ギルドに着いた。
　人がそれなりにいる。

「さて、どうするか」

　五郎は思案した。
　奥に行ってギルド長のゴードンから大きな仕事をもらってもいい。
　しかし、ちょっと不自然な気もする。なにしろ、ゴードンから見れば、五郎たちは５０００枚の大仕事をすませた後のはずなのである。

「小さな仕事でいいだろう」

　と、五郎は、様々な紙が貼ってある掲示板へと近づいた。
　このギルドでは、さして重要でない、誰が請けてもいいような仕事はこの掲示板に貼り出される仕組みなのだ。
　五郎が掲示板へ歩き出そうとしたところで、

「よう、お元気かね」

　と声をかけてくる者があった。
　五郎がふと見ると、そこには、見覚えのある髭面があった。
　かつてオーガ退治の時に助けた、冒険者たちのリーダーである。

「おお、あんたは、たしか……」
「ダドリー・マルケだ。お元気かな、五郎どの」
「元気だ、と言いたいところだが……」

　五郎は事情を話した。
　すると、ダドリーはガハハと笑って、

「それはまた善行をしたものだな」
「かもしれんが、それで食えなくなるようではかなわん。ルーにも怒られた」

「当たり前だ」

　と、言ったのはいつのまにやら傍らに来ていたルーである。

「どうだ？　なんなら、わしと仕事をしてみる気はないか」
「あんたと？」
「なに、大したもんじゃないが……」

　ダドリーはそう言って紙を１枚取り出した。
　紙には、「街道筋に出没するフロッグマンを退治して欲しい。金貨４０００枚をお支払いする」と書いてある。フロッグマンというのは、沼地に出るヒューマノイドで、時には群れなして沼から近い場所に住む人間を襲うことがある。
　
「受けるか迷っていたのだが、わし一人では手に余ると思ってな」
「俺たちと共同でやろうというわけか」
「うむ。お互いに折半といこう」
「ま、そういうことならそれもいい」
「では、わしの方からゴードンに話をしてくる」

　ダドリーはそう言うと、ニコニコでギルドマスターのゴードンの執務室へと去っていく。

「またお人好しを発揮したな」

　と、ルーが言った

「どういうことだ？」

　五郎が言う。

「フロッグマンごとき、私とお前の戦闘要員２人に、あとはサリーの薬術があれば十分に倒せる。下手すればお前１人でも」
「む」
「お前はもうちょっと自分の実力を高く売ることを考えろ」

　と、ルーは言った。

「まあまあ……お金は入るんですから……」

　そうとりなしたのはサリーである。
　そんなことを話しているうちに、ダドリーが帰ってきた。

「ゴードンとは仕事の話は着いた。早速、出発しようではないか」

　こうして一行は、フロッグマンの住む沼に向かって出発することになった。