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第15章 ゴブリンの谷
金欠のこと
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五郎はサリーやルーと共にギルドに来ていた。
珍しく、張り紙のされた掲示板の前にいる。
先にゴードンのところを当たったのだが、五郎たちに回すほどの難しい仕事はない、との話であった。
「そういうことなら」
報酬や手応えが物足りなくても、掲示板に貼られた一般の依頼を受けるしかなかった。
なにせ、手持ちがない。
本来であれば、稼ぎだけで豪邸が建てられる程度には稼いでいたが、なにしろ、五郎やルーには浪費癖があった。別に酒池肉林をするわけではないが、救貧院や困窮者にポイと金をやってしまうので、蓄えというほどの蓄えがそれほどないのである。
ともあれ、五郎たちは張り紙を見た。
「護衛なんかどうですか?」
サリーが、護衛求むの張り紙を指して言った。
「悪くはないが、当たり外れがな」
と、五郎は答える。
護衛というのは、それが商人であれ貴族であれ、その対象と数日過ごすものである。それが好人物であればいいが、そうでないならあまり愉快な依頼とは言えない。腕がない冒険者ならそれでも割にあうが、五郎たちはもちろんそうではなかった。
それに――。
「俺はまだいいが、怒りやすい奴もいる」
と、五郎はルーをちらり見た。
ルーは口をとがらせる。
「ふん。まあ否定はせん」
彼女はつい先日、護衛任務の貴族の無礼に食ってかかりかけ、五郎が割って止めたということがあったのだ。
ルーは、ふくれつらのままで、掲示板を見回し、ある張り紙を指すと、
「これはどうだ?」
と言った。
ゴブリンの群れ退治である。
平凡ではあるが、手堅い仕事と言えた。
「流石に初歩的すぎるようにも思うがな」
五郎は言った。
別に不満があるわけでもないが、若い衆に――駆け出しの冒険者に回してやるべきな仕事にも見えた。
「しかし、既に何グループかが失敗したと書いてある」
と、ルーが言う。
「ゴブリン退治をか?」
「裏があるのかもしれませんね」
と、サリーが言った。
かつて、五郎がこの世界に転生したばかりの時に退治したゴブリンは、人間の魔術師に煽動されていた。
似たようなことが、この依頼にもあるかもしれない。
「そういうことなら、やってみよう。うっかりした若い奴らが下手に請けて失敗してもかわいそうだ」
そう言うと五郎は、掲示板から張り紙を剥がした。
珍しく、張り紙のされた掲示板の前にいる。
先にゴードンのところを当たったのだが、五郎たちに回すほどの難しい仕事はない、との話であった。
「そういうことなら」
報酬や手応えが物足りなくても、掲示板に貼られた一般の依頼を受けるしかなかった。
なにせ、手持ちがない。
本来であれば、稼ぎだけで豪邸が建てられる程度には稼いでいたが、なにしろ、五郎やルーには浪費癖があった。別に酒池肉林をするわけではないが、救貧院や困窮者にポイと金をやってしまうので、蓄えというほどの蓄えがそれほどないのである。
ともあれ、五郎たちは張り紙を見た。
「護衛なんかどうですか?」
サリーが、護衛求むの張り紙を指して言った。
「悪くはないが、当たり外れがな」
と、五郎は答える。
護衛というのは、それが商人であれ貴族であれ、その対象と数日過ごすものである。それが好人物であればいいが、そうでないならあまり愉快な依頼とは言えない。腕がない冒険者ならそれでも割にあうが、五郎たちはもちろんそうではなかった。
それに――。
「俺はまだいいが、怒りやすい奴もいる」
と、五郎はルーをちらり見た。
ルーは口をとがらせる。
「ふん。まあ否定はせん」
彼女はつい先日、護衛任務の貴族の無礼に食ってかかりかけ、五郎が割って止めたということがあったのだ。
ルーは、ふくれつらのままで、掲示板を見回し、ある張り紙を指すと、
「これはどうだ?」
と言った。
ゴブリンの群れ退治である。
平凡ではあるが、手堅い仕事と言えた。
「流石に初歩的すぎるようにも思うがな」
五郎は言った。
別に不満があるわけでもないが、若い衆に――駆け出しの冒険者に回してやるべきな仕事にも見えた。
「しかし、既に何グループかが失敗したと書いてある」
と、ルーが言う。
「ゴブリン退治をか?」
「裏があるのかもしれませんね」
と、サリーが言った。
かつて、五郎がこの世界に転生したばかりの時に退治したゴブリンは、人間の魔術師に煽動されていた。
似たようなことが、この依頼にもあるかもしれない。
「そういうことなら、やってみよう。うっかりした若い奴らが下手に請けて失敗してもかわいそうだ」
そう言うと五郎は、掲示板から張り紙を剥がした。
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