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第28章 狼ゾリで
疾走
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狼ゾリに乗った五郎たちは、雪の上をひた走った。
雪原をすべるように駆ける狼たちを鼓舞し、時には休ませ、ひたすらに走った。
何日か走った頃である。
地平線の向こうに、妖気を放つ高い山が見えてきた。
山の頂上に禍々しい造りの巨大な城が建っている。
「あれが、魔王の山か?」
五郎が手綱を握りながら聞くと、
「そうだ」
とルーが答える。
五郎たちは、いよいよ速くソリを走らせた。
やがてサリーが、
「五郎さん、あれ!」
と叫んだ。
見ると、雪原にいくつものクレバスが出来ている。
もし、なにかの間違いがあれば真っ逆さまである。
「まいったが、とはいえ、速度は落とせんな」
五郎は言った。
クレバス地帯の上を、何匹ものガーゴイルたちが飛び交っている。
「飛ばすぞ!」
五郎は手綱を叩き、スピードを上げた。
ガーゴイルたちが五郎たちのソリに向かって突進してくる。
しかし、その多くは、サリーが指輪から放った炎の雨で焼き尽くされる。
数少ない近づいた者たちも、ルーの振り回す斧によって斬られ、ソリを傷つけることはかなわない。
ガーゴイルの攻撃をかわし、かつクレバスを避けつつ、五郎たちは進んだ。
おそらく、実際には数十分であったろうが、しかし当人たちには数時間にも感じられる時間を過ごし、五郎たちはガーゴイル飛び交うクレバス地帯を抜けた。
誰しも怪我をしておらず、狼たちにも欠けはなかった。
「なんとかなりましたね」
サリーがほっと一息ついた。
「だといいがな」
と、ルーが返す。
同時に、ゴゴゴ、という音がし、大地が鳴動を開始した。
ソリのすぐそばの地面が盛り上がり、雪が一個の巨大な人型を作った。
「スノー・ジャイアントだ!」
ルーが叫んだ。
スノー・ジャイアントは巨体に似合わぬ素早さで、五郎たちに向かって腕を振り下ろした――。
雪原をすべるように駆ける狼たちを鼓舞し、時には休ませ、ひたすらに走った。
何日か走った頃である。
地平線の向こうに、妖気を放つ高い山が見えてきた。
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「あれが、魔王の山か?」
五郎が手綱を握りながら聞くと、
「そうだ」
とルーが答える。
五郎たちは、いよいよ速くソリを走らせた。
やがてサリーが、
「五郎さん、あれ!」
と叫んだ。
見ると、雪原にいくつものクレバスが出来ている。
もし、なにかの間違いがあれば真っ逆さまである。
「まいったが、とはいえ、速度は落とせんな」
五郎は言った。
クレバス地帯の上を、何匹ものガーゴイルたちが飛び交っている。
「飛ばすぞ!」
五郎は手綱を叩き、スピードを上げた。
ガーゴイルたちが五郎たちのソリに向かって突進してくる。
しかし、その多くは、サリーが指輪から放った炎の雨で焼き尽くされる。
数少ない近づいた者たちも、ルーの振り回す斧によって斬られ、ソリを傷つけることはかなわない。
ガーゴイルの攻撃をかわし、かつクレバスを避けつつ、五郎たちは進んだ。
おそらく、実際には数十分であったろうが、しかし当人たちには数時間にも感じられる時間を過ごし、五郎たちはガーゴイル飛び交うクレバス地帯を抜けた。
誰しも怪我をしておらず、狼たちにも欠けはなかった。
「なんとかなりましたね」
サリーがほっと一息ついた。
「だといいがな」
と、ルーが返す。
同時に、ゴゴゴ、という音がし、大地が鳴動を開始した。
ソリのすぐそばの地面が盛り上がり、雪が一個の巨大な人型を作った。
「スノー・ジャイアントだ!」
ルーが叫んだ。
スノー・ジャイアントは巨体に似合わぬ素早さで、五郎たちに向かって腕を振り下ろした――。
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