【完結】ショタコンおじさんが異世界で少年達と冒険します

第2部4章

第06話 レイ、リカード、フランツの愛の爆発

　濃密な妖気の奔流が霧散し、巨大な魔物の断末魔が岩場に木霊した後、静寂が訪れた。全身の魔力と生命力を使い果たし、私はその場に膝をついたまま、深く、荒い息を繰り返していた。激しい消耗感に苛まれていたが、私の心は、この戦いの勝利と、五人の少年たちとの揺るぎない永遠の絆を証明できたという深い愛と充足感に満たされていた。

「タカヒロさん！　勝ったんです！　僕たち、勝ちました！」

　まず、フランツが駆け寄ってきて、血と土にまみれたその鍛え上げられた身体で私を強く抱きしめた。彼の真面目な温もりは、戦闘の緊迫感の中で私たちに確かな安寧を与えてくれる。その碧眼には勝利の喜びと、私を失いかけた切なる恐怖が揺らいでいた。

「あんたの愛が、オレたちの力を増幅させたんだ。オレたちを対等な仲間として信じてくれて、ありがとう」

　次に、レイが普段のクールな表情を捨て、涙目で私の頬にそっと触れてくる。彼の華奢な身体が、私を失う恐怖から解放された喜びで震えているのを感じた。

「にーちゃん！　おいら、にーちゃんの一番近くで守りきったよ！」

　そして、リカードが無邪気な笑顔と高い体温を伴って、私の胸に勢いよく抱きついてきた。彼の褐色の肌には、戦闘で負った擦り傷が黒い筋となって滲んでいたが、その淡い金の瞳には無垢な信頼だけが宿っている。

　私と五人の少年たち、六人の身体が重なり合い、その温もりが私の消耗しきった身体に温かい生命力となって流れ込んでくる。ダイとヒナタは、私たち三人のすぐ横で、互いの無事を確認し合いながら、運命共同体としての静かな親密さを共有していた。彼らはこの瞬間を私たち三人に譲ってくれているかのように、静かに見守っている。

　彼らが命懸けで私を対等なバディとして信じてくれたことで、私は長きにわたり囚われていた「大人としての古い保護責任」という名の枷を完全に打ち破り、「彼らを愛する対等な存在」として生きる真実の道を選び取ることができた。

　その中でフランツが抱擁を解き、私の顔を両手で優しく包み込んだ。彼の真剣な眼差しは、私の内心を深く見透かすかのようだった。

「タカヒロさん」

　彼の声はかすれていたが、その響きは騎士としての真摯な決意に満ちていた。

「貴方が僕たちを眷属にし、成長が止まったという代償。そのことを、貴方はずっと罪悪感として、醜い欲望として、ご自身を罰していました。ですが僕たちにとっては、この身体が貴方との永遠の絆の証なのです。僕たちは、貴方が僕たちの命を最優先してくれた、その大人としての責任感と、それに伴う深い愛を、永遠の愛と信頼の福音として受け入れました。貴方を唯一の存在として尊敬し、信頼しています。だから、もうご自身を罰するのはやめてください」

　フランツは私が彼を対等なバディとして受け入れたことへの深い感謝と、私への揺るぎない尊敬を、その真面目な温もりを込めて公言した。彼の切なる想いは、私自身の倫理的なタブーが完全に崩壊したことを、改めて確信させた。

「僕たちの命を懸けた絆を信じ、共に戦ってくださり、ありがとうございます。僕はこれからも、貴方の対等なバディとして、貴方を命懸けで守り抜く盾になります」

　フランツの告白は、彼が私に抱く深い信頼と尊敬が、もはや親愛の範疇には留まらないことを示していた。私は彼の金髪の頭をそっと撫で、その騎士としての真摯な愛を全身で受け止めた。

　フランツが私から離れると、次にレイが私の腕を強く掴んだ。彼の銀色の瞳は、まだ涙の跡を残しながらも、強い独占欲を隠そうとしなかった。

「タカヒロ。あんたの保護者の壁が崩れたとき、オレたちは全力で戦えた。あんたがオレたちの強さを信じ、対等な仲間として認めてくれたことが、オレにとっての最高の報酬だ」

　レイは普段のぶっきらぼうな口調とは裏腹に、私への切実な想いを言葉に乗せる。彼にとって、私が自己犠牲を選ばずに彼らを対等なバディとして受け入れたことが、彼の独り占めしたいという願いを肯定することに繋がるのだ。

「オレはあんたがオレだけを、他の誰よりも特別に思ってくれたら、それでいいと願ってきた。今日、あんたはオレたちの力を信じ、命を共有するバディだと公言してくれた。オレはあんたがオレたちに向けた真実の信頼と愛を独り占めしたい。あんたにとって、オレは唯一無二の存在なんだと、強く信じさせてほしい」

　レイの告白は、彼のクールな外面の下に隠された純粋な甘えと切実な独占欲の爆発だった。それは彼が私に抱く特別な愛情が、親愛や庇護を超越した対等な関係性への切なる要求であることを示していた。

　私はレイの華奢な身体を抱き寄せ、彼の銀髪に唇を寄せた。彼の身体の震えが、私への揺るぎない愛と信頼を物語っている。

　レイが私から離れるのを待たず、リカードが私の胸に勢いよく飛び込んできた。彼の無邪気な笑顔と高い体温が、私の心を最も揺さぶる。

「にーちゃん！　フランツもレイもずるいよ！」

　彼は頬を膨らませながら、無邪気でストレートな愛情表現をぶつける。

「おいらはね、にーちゃんのことが世界で一番好きなの！　誰にも負けないくらい、独り占めしたい！」

　リカードは私への無条件の愛を、全身で表現する。彼の瞳には、私が彼らを拒絶したあの時の不安はもう微塵もない。

「この身体が『ちっちゃいまま』なのは、にーちゃんが助けてくれた特別な絆の証でしょ？　『ちっちゃいまま』なら、にーちゃんにずっと一番近くにいてもらえるんだ。これがおいらとにーちゃんとの永遠の絆の証だもん！」

　リカードは成長の停止という代償を、私との永遠の愛と安寧を得るための福音として、純粋に肯定する。彼の純粋な親愛は私の心の奥底のショタコンとしての欲求や庇護欲までも、愛として受け入れ昇華させる。

「にーちゃん、おいらずっと、にーちゃんのことが大好きだよ！　独り占めさせてね！」

　彼の無邪気でストレートな愛の言葉が私の心の奥底の倫理観という名の枷を完全に打ち破り、真実の充足感で満たしていく。

　私はリカードの小さな身体を強く抱きしめ返した。彼の温かい体温が、私に新たな決意を促す。

「ありがとう、みんな」

　私はフランツ、レイ、リカード、三人の愛する少年たちを腕の中に抱きしめたまま、心からそう告げた。彼らが私に抱いてくれる感情は、もはや「守られるべきこどもが抱く親愛」の範疇を遥かに超えている。彼らは私を命と運命を共にする対等な存在として、永遠の愛を捧げてくれているのだ。

　私の内側で長年抱えてきた罪悪感や自己嫌悪は、彼らの無条件の愛という圧倒的な真実の前で完全に無価値となった。この温かい絆こそが私がこの異世界で生きるための、そして彼らを永遠に守るための最大の武器なのだ。

　ダイとヒナタは私たちが互いの愛を公言し合ったのを見て、静かに微笑み合っていた。彼らの間には私への独占欲とは異なる、運命共同体としての揺るぎない絆が流れている。ヒナタの鬼人族らしい強い眼差しとダイの猫又族らしい金色の瞳が、私と三人の少年たちを祝福しているかのようだった。

「タカヒロさんの命が無事なら、僕たちは永遠の絆を共有できる。それが真実です」

　フランツが私の腕の中で再度そう呟いた。私は彼らの愛を対等な家族として受け入れた充足感に身を委ね、この永遠の絆を噛み締めるのだった。

「えへへ……にーちゃん、幸せだね！」

　リカードの無邪気な声が、私の耳元で響く。

　私は彼らの温かい身体を抱きしめる力を強めた。この抱擁こそが、私が倫理観という古い枷を完全に捨て去り、真実の愛と信頼を受容した物理的な証明となる。彼らの存在が織りなす甘美な充足感は、この先の永遠の未来を確約しているかのようだった。

　この勝利は私と五人の愛する少年たちが対等なバディとして、永遠の愛という揺るぎない真実を掴み取った成就の瞬間だった。