たまたまマッチングしたハイスぺセフレが私にだけ執着溺愛する激重男子だった件

cheeery

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かわいいかわいい柚子ちゃん【蓮side】



俺は真っ暗な部屋で一人、パソコンの動画を見ていた。

その内容は……。

「はぁ~~柚子ちゃん、めちゃくちゃ疲れてる。クマも出来ちゃって、かわいいな……かわいすぎる……」

俺が見ているのは、大好きな柚子ちゃんの会社での姿だった。

火災報知器の点検だと偽って柚子ちゃんの家に侵入した時に、パソコンに仕掛けをして、パソコンのカメラから映る様子が録画されるようになっている。

だって僕が知らない柚子ちゃんがいるのが嫌だからね。

「かわいい……早くヨシヨシしてあげたいな」

頭を撫でると、うっとりと目を細める柚子ちゃんを想像する。

「はぁ……っ」

はやく会いたい。
仕事をしている間の僕の頭の中はいつも柚子ちゃんのことばかりだ。

飛行機を運転している時だって、離陸する時も、柚子ちゃんの顔を想像する。

今度はいつ会えるかなって。

『機長、運転お疲れ様です』

『お疲れ様』

僕はついこの間機長へと昇進した。
平均と比べるとかなり早い方らしいが、そこまで興味はなかった。

『6時間くらい休めますね、どこかご飯でも行きますか?』
『いや、少し疲れているからホテルで休むことにするよ』

『そうなんですね!……ん?何見てるんですか?』

仕事が終わると、僕はすぐにスマホのカメラを確認する。
そこに映っているのは、柚子ちゃんの部屋の中の様子だ。

『もしかしてペットですか?』
『まぁ……そんなものかな。愛おしくてしょうがないんだ』

『分かります~寂しいですよね~離れると』

寂しくて壊れそうだよ。

本当は柚子ちゃんと片時も離れたくないんだ。

僕はニコっと笑顔を作った。
飛行機でどこに飛んで、今柚子ちゃんが何をしているか気になる。

僕は常に柚子ちゃんの動向を確認していたんだ。
愛しい愛しい柚子ちゃん。

柚子ちゃんとセフレの関係になってから、僕が連絡して会う生活が続いていた。

僕が連絡しない限り彼女から連絡が来ることはない。

柚子ちゃんは控え目な女性だ。

本当は柚子ちゃんの方から僕を求めて欲しかったんだけど、まぁ……そこまで好きになってもらうのは、もっと先でいいかな。

僕がいないと生きていけないって思ってもらえるくらい好きにさせる自信はある。

だから僕も、あえてたくさん会うことはせずにある一定の距離をとりながら柚子ちゃんとの交流を続けた。

間が空けば、僕のことを考える時間も増える。

会えない間に恋心というのは増幅していくもの。

僕のことを考えて欲しいから、僕は計画的に彼女と会うようにしていた。

柚子ちゃんは会えない間、何回僕のこと考えてくれただろう。

大好きな柚子ちゃん。 
柚子ちゃんが僕を変えてくれたんだ。

女嫌いだった僕を──。
 
『蓮くん、今日一緒にご飯行きませんか?』
『え?』

視線を移すと、今日フライトが同じだった同じ年のCA香澄であった。

彼女は上目遣いでこっちを見ながら「どうですか?」と尋ねる。

『今日はごめん、疲れてるから』
『ええ~!蓮くんそればっかり~!たまには来てくれてもいいじゃん~』

香澄が俺の腕を両手でとりぎゅっと引き寄せる。
その瞬間、吐き気がした。

気持ち悪い。
どうして女ってこんなに気持ち悪いんだろう。

『ねぇ?今日だけでいいから、お願い♡』

耳障りな甘ったるい声を出して、手を握る力を強めてくる。

その仕草の全てが気持ち悪かった。

チッ。吐き気する……。
 
『おい、蓮。また香澄ちゃんの誘い断ったんだって?』

同じ年に入社したパイロット仲間の須藤が聞いてくる。

『ああ、まぁ……』
『なんでだよ~?CAの中で一番かわいいじゃん、アイドルって言われてんのに勿体ねぇ』

あの人アイドルって言われてるんだ。

あんなのが可愛いって言われてるのか。

全然分からない。

『それなら、須藤が行ってあげたらいいよ』
『バカ、お前だから誘ってんだろ?』

俺にとって、女はみんな同じ顔に見える。
誰を可愛いなんて思ったことはない。

全部、同じ顔。
したたかです、みたいな顔して肉食で自分から男を求めてる。

女は本当、気持ち悪い生き物だよ。
 
“女は気持ち悪い”
強く思うようになったのは、高校二年生の春のことだった。
 
俺は、クラスメイトの佐伯翔太と同じゲームが好きで意気投合し、一緒に遊ぶようになった。

『じゃあ今日も俺の家でゲームな』

放課後は翔太の家でゲームをすることが日課になっていた。

翔太のお父さんとお母さんは、仕事をしていていつも家にはおらず、その代わりに大学生のお姉さんがいた。

『いらっしゃい蓮くん』

翔太の2つ年上の姉、佐伯綾香さん。

『また姉貴家にいるのかよ~』
『案外大学生はヒマなのよ~』

綾香さんはクラスメイトが噂するくらい美人だと有名で、長い黒髪に整った顔立ち、仕草や話し方がまるで大人の女性という感じだった。

たまにお菓子を作ってくれたり、勉強を教わったりなんかして翔太のいいお姉ちゃんっていうイメージだった。

『なぁ、蓮。翔太の姉ちゃんに会ったんだろう?どうだった美人だった?』

翔太の家に行った後は、クラスメイトが集まってきて、口を揃えてそんなことを聞いてきた。

友達の姉がキレイか、キレイじゃないかってそんなに気になるものなのか。
正直興味はない。

『うん、綺麗な人だったよ』

僕は周りに話を合わせるようにそう答えた。

『うおおおお、すげぇ』
『いいなあ~』

そんなに気になるなら、翔太に行って家に連れてきてもらえばいいのに。

この日も俺は放課後、翔太の家でゲームをしていた。

すると綾香さんが入ってきて彼に言った。

『ねぇ、翔太。お菓子買ってきてよ』
『はあ!?なんで俺が!自分で行けよなあ』

『あんたこの間、洗い物変わってあげたでしょ?命令よ!2人の分のお菓子も買ってきていいから』

『……仕方ねぇな』

翔太はしぶしぶ立ち上がった。

『じゃあ僕も……』
『早く、あんた1人で行ってきて!』

翔太のお姉さんは僕の言葉を遮ってそう言った。

『分かったよ』

翔太のお姉さんがいなくなってから、お姉さんは立ち去るかと思いきや、翔太の部屋に居座った。

『ねぇねぇ、蓮くん。好きな人っている?』

『別にいないですけど』

ゲームをしていた僕は視線を向けることなくそう答えると、彼女は僕の手に触れた。

『へぇ?じゃあさ、そういうことには興味ある?』

ぱっとお姉さんの顔を見た時、なんだか目が鋭くて一瞬恐怖を感じたのを覚えている。

その時はなんて答えたか覚えていない。

適当に返していると、翔太はすぐに戻ってきて、お菓子を受け取るとお姉さんはリビングに戻って行った。

なんだったんだ?あれは。
大学生っていうのはみんなあんな感じで人と話すんだろうか?

そんな疑問だけが残り、俺は綾香さんとふたりきりになるのをなんとなく避けた。

そして時が過ぎていったある時、また翔太の家でゲームをしていた時。

翔太は補習を受けなきゃいけなかったことをすっかり忘れていたようで、学校に戻ると言って来た。

『じゃあ僕も今日は帰ろうかな』
『ええ~まだいいじゃん。今日新作ゲーム出て来たばっかりだろ?家で待っててくれよ』

『でも……』
『適当にくつろいでていいから』

翔太に言われ、俺はしぶしぶ翔太の部屋で一人ゲームをして待っていることにした。

翔太がいないと面白くないし、補習ってどのくらいかかるんだろう。

そんなことを考えていると、ノックの音が聞こえてくる。

中に入ってきたのは、綾香さんだった。

『翔太補習だって?1時間以上は帰って来ないかもね』
『待っててって言われて……』

すると綾香さんは僕と身体が触れるくらい近くに座った。

なんだ、この距離……。
この間のことを思い出し、ゾワっと鳥肌が立った。

『ねぇ、蓮くん……蓮くんって、女の子にモテるでしょ?』
『いや、別に……』

綾香さんの鋭い目が僕を捉える。

『ウソ。だって、こんなにかっこいいのに』

そして綾香さんは僕の膝をするりと撫でた。
その瞬間、全身が硬直した。

心臓がドクンと音を立て、嫌な汗が背中を伝う。

強い香水の匂いに頭が痛くなる。

気持ち悪い……。

『私、実は蓮くんのこと狙ってるんだよね』
『なに、言ってるんですか』

『気づかなかった?だってこんなにカッコイイ男、大学にもいないもん♡大学生はヒマなんて言ったけど、正直そこまでヒマじゃないよ。蓮くんが来る日聞いて全部授業サボってたの』

耳元で囁かれるような声。
俺は笑ってごまかそうとした。

『変な冗談はやめてください』

けれど、綾香さんは手を引かなかった。

『ねぇ、私がリードしてあげる。興味あるでしょ?女の子の身体』

僕の手をとり、その手を自分の胸にあてる。

吐き気がする。

『や、やめてください!』

帰ろうと立ち上がろうとした時、僕はそのまま床に押し倒された。

『遠慮しなくていいんだよ。私、蓮くんならいいから……』

押し倒され、見下ろされる顔は興奮した女の顔だった。

小さい頃から女性は力がなくてか弱いから、大事にするようにと教えられてきた。

そんなか弱いフリをした女は興奮しながらニヤリと笑う。

「やめ、ろ……」

綾香さんはゆっくりと服を脱ぎだした。
そして僕の大事なところに手を伸ばす。

『……っ、』

『あれ、怖がらせちゃった?大丈夫よ、すぐにヨくしてあげる』

逃げなくちゃ。
でも怪我させたら……。

翔太の顔が思い浮かぶ。
翔太に嫌な思いをさせないように、怪我させない程度に抵抗して逃げて……。

そこまで考えていた時。

──ガチャ。

急に扉が開いた。

『悪りぃ、補習明日になっ……』

そこにいたのは翔太だった。

『翔、太……』

翔太がそれを見て顔を真っ青にする。

『お前……何してんだよ!』

翔太は俺を見て信じられないという表情を向けた。

違う。
そう否定しようとした瞬間、先に綾香さんが口を開いた。

『翔太助けて……っ』
『えっ』

何言ってるんだ、この女は。

『蓮くんがいきなり襲ってきて……舐めろって』

綾香さんは身体を震わせながら、目に涙を浮かべていた。

あんなに興奮していて、メスの動物みたいな顔をしていたのに、今は涙を流して助けを求める。

ああ、そうか。
コイツは人間のふりをしたキツネだ。

女の子はか弱いだなんてよく言ったものだ。

『ふざけんな!!』

それから僕は翔太に何発も殴られ、家を出て行かせられることになった。

『お前のこと、信じてたのに……っ、最低だな』

それから先は言うまでもない。
翔太は僕と縁を切り、それから僕はクラスでも孤立した。

翔太がいいふらしたのか、綾香さんが行ったのか、彼女をレイプしたというウワサは瞬く間に広がっていった。

『蓮が翔太の姉ちゃんレイプとかヤベーよな』

『狙ってんじゃないかと思ってたんだよ。毎日家行ってたもんな?翔太、こんなやつと同じクラスなんて可哀想すぎるわ』

『姉ちゃんはさ、よく男に狙われるんだ。でも蓮に限ってそんなことないと思ってたのに、けっきょく同じだったんだな』

僕の意見を聞いてくれる人間なんかいなかった。

綾香さんが最初に言った「襲われた」という言葉が全てで、事実は簡単に捻じ曲げられた。

女ってズルい生き物だよな。

弱々しい見た目をしていて、本当はそうでもないのにそれを武器にしたら、簡単に被害者になれる。
ズルくて賢くて……気持ち悪い生き物だな。
 
僕はあの日からクラスではイジメの対象になり、居場所はなくなった。

大好きだったゲームももうしなくなって、学校にはイジメられに行くだけの生活。

そんな俺の姿を見兼ねて親からの提案で、僕は学校を転校することになった。

親もウワサは知っていただろうに、踏み込むことが怖かったのだろう。
真実を聞いて来ようとはしなかった。

ただ腫れ物に触れないように、なんとなく距離を置いてこの地を離れることになった。
 
そして転校先では……。
僕のウワサを知っている人間はいなかった。

『東雲蓮といいます。よろしくお願いします』
『キャー!蓮くんめちゃめちゃカッコイイ!』

『彼女はいますか?立候補していいですかぁ?』

そのせいか自己紹介した瞬間、すぐに女性が集まってくる。

気持ち悪い。
何がカッコイイだよ。

近付いてくんな。
女子みんなに囲まれたが、そのどれもが全員同じ顔に見えた。

『気持ち悪……』

女はどれも気持ち悪い。
女のしたたかさ、そして自分の欲望のためなら平気で他人を傷つける姿に、吐き気がした。
 
高校生の頃に刻まれた感情。
その感情は大人になってからも変わることはなかった。

もう今後一生変わらないものだと思っていた。

『見て、ありましたよ!』

あの時までは──。
 
あの日は、どんよりと曇った日であった。

僕はこのなんともいえない天気が嫌いだった。

なぜなら、綾香さんに犯された時もこんな風に空はどんよりとくすんでいたから。

仕事帰りの重いカバンを肩に掛けながら、駅からの道のりを歩いていた。

仕事帰りらしきスーツ姿の人々や、友達同士で笑い合う学生たちの喧騒が耳を埋め尽くす。
疲れた体で人混みをかき分けながら歩いている時、すれ違い様ドンっと女性にぶつかってしまった。

「あっ……!」

小柄な身体だったせいか、その女性がぐらりとバランスを崩す。
俺はとっさに女性の手を掴んだ。

反射的に手を伸ばすと、俺の腕の中にその体がピッタリと収まった。

ヤベ……。

また顔を赤く染めた女性の顔を見ないといけない。
みんな同じ顔をしていて、女は決まって僕が手を伸ばすと、顔を赤く染める。

嫌だな。
そう思いながら、声をかけた。

「大丈夫ですか?」

すると、その女性が顔を上げた。

「すみません、ぼーっとしてて。ありがとうございます」

大きな瞳が真っ直ぐこちらを見つめていて、肩まで伸びたストレートな髪。
綺麗に整えられた見た目に反して、疲れているのか目元にクマが出来ていた。

ニコッと笑顔を見せただけで、顔を赤く染めない彼女。

珍しいな……。

そして彼女はすぐに体を離そうとした。

しかし、そのとき。

「あっ……!」

俺の持っていたバッグのキーホルダーに、彼女の長い髪が絡まってしまっていた。

俺たちは顔を見合わせる。

「すみません……ちょっと待ってくださいね」

彼女は恐縮した様子で手を伸ばす。
これは俺のボタンを切らないと、この人のせいでって言われてしまうな。

「何かハサミがあれば、切れるんですけど……」

「ハサミなら持ってます」

そう言ってその女性はバックから、小さなハサミを取り出した。
裁縫セットのハサミなのか、かなり小さいがボタンは切れそうだった。

そして女性はハサミを持ってちょきんっと切った。

「えっ……」

てっきりボタンを切るものだと思っていたが、女性が切ったのは髪の方だった。

「良かったぁ。ご迷惑お掛けしました」
「髪……」

女性の髪は命だなんて聞いたことあるけど、こんな無頓着な人は初めてみた。

髪はさらりとしていてキレイなのに。

「ダメですよ、そんな風にしたら」
「いいんです。髪ならまた生えますから」

そんなことを言って笑顔を見せる。
その彼女の笑顔にドキっと胸が音を立てた。

何の歪んだ気持ちのない、純粋でキレイな笑顔。

こんな笑顔を持っている女性がいるんだ。

──ドキン、ドキン、ドキン。

「……それでこうやってほどいて……出来た!元通りです!」

可愛い。
可愛いな。

初めて女性を見て可愛いと思った。

こんな気持ちになるのは初めてだ。

ドキドキして、愛おしいと思う。
ああ、愛おしすぎて全部を自分のものにしてしまいたい。

それが、柚子ちゃんとの初めての出会いだった。
 
その日から僕は柚子ちゃんについて調べ出した。

どこに勤めているのかや、家はどこにあるのか、調べまくって彼女の情報を全部手に入れた。

マッチングアプリを使おうとしている時は、焦ったけど、これもチャンスだと思った。

僕は大学時代に勉強した技術を使って、システムに侵入し、プログラムを書き換えた。

そして柚子ちゃんが必ず僕とマッチングするようにしたんだ。

こうして彼女との接点を作ることに成功した僕は、彼女の望む人物像を自分で作り上げていった。
 
ああ、愛おしい柚子ちゃん。
柚子ちゃんをドロドロに甘やかして愛してあげる。

もう戻れないくらいまで、愛し抜いて、他の人じゃ無理だって分かるくらい柚子ちゃんの中を僕で埋め尽くしてあげるから待っててね。
 
 
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