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4.可愛い侍女
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椅子に座り向かい合った所で側にいる彼女を紹介した。
「ヒューゴ様、彼女は私の侍女のミラです」
「ミラ・コールマンと申します!これからよろしくお願いいたします!」
ガチガチに緊張しながらも何とか挨拶している。
「コールマン、というと男爵家の」
「ええ彼女はコールマン男爵のご令嬢です我が家に行儀見習いとして働いてくれています」
ミラは高位貴族と関わる事はほぼなくましてや公爵家の人と話した事なんてなかったらしく緊張しっぱなしだ。
痛いぐらい気持ちが分かる。
「そんなに緊張しなくても…」
「す、すすすみません」
彼女は庇護欲を誘う小動物のようで非常に可愛らしく私の癒しなのだ。
「ふふっ」「うう…笑わないでくださいぃ」
「ごめんなさい貴女があまりにも小動物のようで」
私達のやり取りをヒューゴ様は眩しいものを見るような表情で見ている。
「随分仲が良いのだな」
「私達幼馴染なのですよ彼女の家は我が領地のすぐ側でして」
領地が側にあるという事は何か異常があればすぐに分かるという事。
それ故にお父様はコールマン男爵と友好関係を築き私と彼女を引き合わせた。
昔この家では色々あったので人間関係は割と狭い。
「そうなのか…いいな俺の家では使用人と仲良く会話なんて出来なかった」
「そうなんですかっ!?」
「ミラ、声が大きいわ…公爵家ですものね主従関係に厳しいのは分かります
家の場合はただ単に緩いんです」
辺境伯という爵位は一応高位貴族に属するが何というか私の家は"らしくない"家なのである。
「そんなこの家を馬鹿にしてくる人もいましたけれど…まぁいちいち気にしてられませんので」
そう言って用意してくれた紅茶を飲んだ。
(うんっ今日も美味しい)
「謂れのない噂にも汚名にも負けずに…君は強い人だな」
「…そうでしょうか?」
色んな事を言われて傷付かない訳じゃないしうんざりしてしまう時もある。
それでも…
「私には愛してくれる両親がいて分かってくれる使用人達がいるので
大丈夫なんです」
「イ、イヴァ様!!」
ミラが歓喜の声を上げた。
少し照れ臭くなる。
「…君達のような関係になれていたら誰か1人でも俺の事を信じてくれたのだろうか」俯き悲しそうな声を出した。
彼は一体どんな生活をしてたのだろう。
ガンダー公爵は武人である事は有名だがそれ以外の話は聞かない。
辛うじて次男であるオーウェン様に期待していて積極的に訓練を受けさせているだとかそれぐらい。
(今思えばヒューゴ様との噂を聞いた事がないそもそも2人でいる所すら…)
なんとなく分かってしまったような気がする。
「ヒューゴ様、貴方に何があったのか私は全く知りませんですがこんな形でも婚約者になったんです
これから私と、私達とこんな関係を築きませんか?」
冤罪で断罪され家族に信じてもらえなかった事に深く傷付いてしまったのであろう彼を笑顔にしたい。
ヒューゴ様を幸せにしたい。
傷を無理矢理治すのではなく少しでも薄くなるよう寄り添おう。
「そう、だな俺も君達とそうなりたい」
お互いにしっかり目を見つめ合った。
思ったよりもちゃんと婚約者になれるかもしれない。
「ヒューゴ様、彼女は私の侍女のミラです」
「ミラ・コールマンと申します!これからよろしくお願いいたします!」
ガチガチに緊張しながらも何とか挨拶している。
「コールマン、というと男爵家の」
「ええ彼女はコールマン男爵のご令嬢です我が家に行儀見習いとして働いてくれています」
ミラは高位貴族と関わる事はほぼなくましてや公爵家の人と話した事なんてなかったらしく緊張しっぱなしだ。
痛いぐらい気持ちが分かる。
「そんなに緊張しなくても…」
「す、すすすみません」
彼女は庇護欲を誘う小動物のようで非常に可愛らしく私の癒しなのだ。
「ふふっ」「うう…笑わないでくださいぃ」
「ごめんなさい貴女があまりにも小動物のようで」
私達のやり取りをヒューゴ様は眩しいものを見るような表情で見ている。
「随分仲が良いのだな」
「私達幼馴染なのですよ彼女の家は我が領地のすぐ側でして」
領地が側にあるという事は何か異常があればすぐに分かるという事。
それ故にお父様はコールマン男爵と友好関係を築き私と彼女を引き合わせた。
昔この家では色々あったので人間関係は割と狭い。
「そうなのか…いいな俺の家では使用人と仲良く会話なんて出来なかった」
「そうなんですかっ!?」
「ミラ、声が大きいわ…公爵家ですものね主従関係に厳しいのは分かります
家の場合はただ単に緩いんです」
辺境伯という爵位は一応高位貴族に属するが何というか私の家は"らしくない"家なのである。
「そんなこの家を馬鹿にしてくる人もいましたけれど…まぁいちいち気にしてられませんので」
そう言って用意してくれた紅茶を飲んだ。
(うんっ今日も美味しい)
「謂れのない噂にも汚名にも負けずに…君は強い人だな」
「…そうでしょうか?」
色んな事を言われて傷付かない訳じゃないしうんざりしてしまう時もある。
それでも…
「私には愛してくれる両親がいて分かってくれる使用人達がいるので
大丈夫なんです」
「イ、イヴァ様!!」
ミラが歓喜の声を上げた。
少し照れ臭くなる。
「…君達のような関係になれていたら誰か1人でも俺の事を信じてくれたのだろうか」俯き悲しそうな声を出した。
彼は一体どんな生活をしてたのだろう。
ガンダー公爵は武人である事は有名だがそれ以外の話は聞かない。
辛うじて次男であるオーウェン様に期待していて積極的に訓練を受けさせているだとかそれぐらい。
(今思えばヒューゴ様との噂を聞いた事がないそもそも2人でいる所すら…)
なんとなく分かってしまったような気がする。
「ヒューゴ様、貴方に何があったのか私は全く知りませんですがこんな形でも婚約者になったんです
これから私と、私達とこんな関係を築きませんか?」
冤罪で断罪され家族に信じてもらえなかった事に深く傷付いてしまったのであろう彼を笑顔にしたい。
ヒューゴ様を幸せにしたい。
傷を無理矢理治すのではなく少しでも薄くなるよう寄り添おう。
「そう、だな俺も君達とそうなりたい」
お互いにしっかり目を見つめ合った。
思ったよりもちゃんと婚約者になれるかもしれない。
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