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26.婚約者との距離感
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王宮から帰ってきて早1週間、なんだかヒューゴ様の様子がおかしい。
「イヴァ、約束した舞台に行こう」
ここまでは別に良かった。
「さぁ手を」「は、はいっ」
やけにピッタリとくっついたエスコートをされながら劇場に入る。
劇の内容は貧乏な家に生まれた娘が子爵令息と恋に落ち結婚して幸せになる所謂シンデレラストーリーだった。
(役者の演技も演出も素晴らしいけれど…全くもってそれどころじゃないっ!)
何がそれどころじゃないかって?
そもそも今座っている席はカップル用の2人席ですぐ隣にヒューゴ様がいる。
その上で何を思ったのか彼は私にちょっかいをかけてくる。
私に体を寄せてきたと思ったら耳元で「なかなか面白いな」と囁いてきたり椅子の肘掛けに置いた私の手をそっと握ってきたり…。
(何なんですか!?私の心臓をどうにかするおつもりで!?言っておきますけれどヒューゴ様がイケメンで婚約者だから許されている言動ですわよ!?)
心臓がバクバクと激しく鼓動する。
彼がどういう意図でこんな事をしてるのか分からず頭の中はパニックだ。
(勘違い、してしまいそうになりますわ)
お互い穏やかな関係になれたらそれに越した事はない。
彼もそう思ってくれているのは分かっているしもしかしたらこの行動は私と仲良くなろうとしてくれている結果なのかもしれない。
(それにしては近過ぎる気がしますけれども!?これではまるで…
口説かれているようで)
舞台が終わり一瞬の静けさの後会場中が拍手喝采に包まれる。
遅れて私も拍手をした。
「こういう劇を観るのは初めてだったが面白いものだな」
「は、はいっ!そうですね。とても面白かったです!」
やけに声を張り上げてしまう。
(な、なんかドッと疲れた気がする)
また手を差し出されたので恐る恐るその手を取った。
「イヴァ、よければどこか寄らないか?」
「ヒューゴ様はそうしたいのであればどこでも着いていきますわよ!」
折角のヒューゴ様からのお誘いなのだから断る訳にはいかない
(と言っても今の時間は3時過ぎ…ここでガッツリ昼食を取ってしまうと夕食が入らない…)
「確か最近有名になってきているスイーツ店があったな。そこにしよう」
「まぁ!ヒューゴ様あのお店をご存じだったんですか!?」
有名と言っても所謂ご当地グルメというやつで他の領地から来た人は知らない。
「この領地について知りたくて色々調べたんだ」「ヒューゴ様っ」
彼はとても誠実で努力家で真っ直ぐな人だと思う。
だって王命で婚約する事となった私に優しく接してくれるしこの領地を知ろうと行動していた。
スイーツ店へ向かう道中つい考える。
(アシュリン王女は一体彼の何が不満だったのでしょう?)
本当に疑問でしかない、それ程までにブライス殿に恋してしまったのかそれなら何故話し合いをしようとしなかったのか。
「イヴァ?どうしたんだ?」
「いえ、少し考え事を…
もうすぐ着きますわね」
目当てのスイーツ店が見えさっきまで疲れていたような気が晴れた。
(さて今日は何を食べようかしら…)
お店の中に入り席に案内される。
「あら、テラス席になるのは初めてですわ」
「嫌だったら変えてもらうか?」
「いいえ!実はテラス席でスイーツをいただく事に少し憧れていたんですの!」
今日の天気は晴れだし良い雰囲気だ。
ほんの少しの憧れが叶い私はすっかり上機嫌になっている。
「少し、憧れ…いいなそういうの」
「そうですか?ならば折角のテラス席ですもの。ヒューゴ様も楽しみましょう!」
椅子に座り可愛らしく飾られているメニュー表を2人で覗き込んだ。
(ひゃっ!近いぃぃ!!)
「ヒュッヒューゴ様初めてなのですよね!?お先に決めてください!」
慌てて顔を離す。
「いいのか?…しかしこんなにあると悩んでしまうな。あまり甘い物に詳しくもないしなイヴァのおすすめは何だ?」
「そうですね…」
何をおすすめしようかと頭を働かせた。
そしてふと思い出す。
(確かヒューゴ様は我が領地のブルーベリーが思い出の味だとおっしゃっていましたね)
「ブルーベリーのフルーツタルトなんていかがでしょう?この領地の特産品をふんだんに使っていますよ」
「それはっとても美味そうだな」
目をキラキラさせる彼が可愛らしくてつい笑ってしまった。
「お待たせしましたぁ」
店員さんが運んできたスイーツはどちらも綺麗でとても美味しそう。
「イヴァが頼んだのはブルーベリーのジャムを使ったパンケーキだったな」
「はいっ…よろしければ一口食べますか?」
私の前に置かれたお皿を興味深そうに見てくるのでそう提案すると驚いた顔をしてからふふっと微笑んだ。
「それじゃあ…食べさせてくれないか?」
「えっ」
そ、それは『あーん』なのでは所謂カップルがイチャイチャする時のあれなのでは!?
(おおお落ち着くのよイヴァ!そう!私達は婚約者同士!あーんする事は別におかしな事ではないわ!多分!お、恐らく!)
震える手でパンケーキを一口サイズに切りブルーベリーのジャムをつけてヒューゴ様に差し出す。
「ど、どうぞ」「あっ」
開けられた口の中に恐る恐るパンケーキを入れた。
「ん…うん美味いな」
「それは良かったですわ」
「じゃあ、次は俺の番だな」
「ひぇ」
「イヴァ、約束した舞台に行こう」
ここまでは別に良かった。
「さぁ手を」「は、はいっ」
やけにピッタリとくっついたエスコートをされながら劇場に入る。
劇の内容は貧乏な家に生まれた娘が子爵令息と恋に落ち結婚して幸せになる所謂シンデレラストーリーだった。
(役者の演技も演出も素晴らしいけれど…全くもってそれどころじゃないっ!)
何がそれどころじゃないかって?
そもそも今座っている席はカップル用の2人席ですぐ隣にヒューゴ様がいる。
その上で何を思ったのか彼は私にちょっかいをかけてくる。
私に体を寄せてきたと思ったら耳元で「なかなか面白いな」と囁いてきたり椅子の肘掛けに置いた私の手をそっと握ってきたり…。
(何なんですか!?私の心臓をどうにかするおつもりで!?言っておきますけれどヒューゴ様がイケメンで婚約者だから許されている言動ですわよ!?)
心臓がバクバクと激しく鼓動する。
彼がどういう意図でこんな事をしてるのか分からず頭の中はパニックだ。
(勘違い、してしまいそうになりますわ)
お互い穏やかな関係になれたらそれに越した事はない。
彼もそう思ってくれているのは分かっているしもしかしたらこの行動は私と仲良くなろうとしてくれている結果なのかもしれない。
(それにしては近過ぎる気がしますけれども!?これではまるで…
口説かれているようで)
舞台が終わり一瞬の静けさの後会場中が拍手喝采に包まれる。
遅れて私も拍手をした。
「こういう劇を観るのは初めてだったが面白いものだな」
「は、はいっ!そうですね。とても面白かったです!」
やけに声を張り上げてしまう。
(な、なんかドッと疲れた気がする)
また手を差し出されたので恐る恐るその手を取った。
「イヴァ、よければどこか寄らないか?」
「ヒューゴ様はそうしたいのであればどこでも着いていきますわよ!」
折角のヒューゴ様からのお誘いなのだから断る訳にはいかない
(と言っても今の時間は3時過ぎ…ここでガッツリ昼食を取ってしまうと夕食が入らない…)
「確か最近有名になってきているスイーツ店があったな。そこにしよう」
「まぁ!ヒューゴ様あのお店をご存じだったんですか!?」
有名と言っても所謂ご当地グルメというやつで他の領地から来た人は知らない。
「この領地について知りたくて色々調べたんだ」「ヒューゴ様っ」
彼はとても誠実で努力家で真っ直ぐな人だと思う。
だって王命で婚約する事となった私に優しく接してくれるしこの領地を知ろうと行動していた。
スイーツ店へ向かう道中つい考える。
(アシュリン王女は一体彼の何が不満だったのでしょう?)
本当に疑問でしかない、それ程までにブライス殿に恋してしまったのかそれなら何故話し合いをしようとしなかったのか。
「イヴァ?どうしたんだ?」
「いえ、少し考え事を…
もうすぐ着きますわね」
目当てのスイーツ店が見えさっきまで疲れていたような気が晴れた。
(さて今日は何を食べようかしら…)
お店の中に入り席に案内される。
「あら、テラス席になるのは初めてですわ」
「嫌だったら変えてもらうか?」
「いいえ!実はテラス席でスイーツをいただく事に少し憧れていたんですの!」
今日の天気は晴れだし良い雰囲気だ。
ほんの少しの憧れが叶い私はすっかり上機嫌になっている。
「少し、憧れ…いいなそういうの」
「そうですか?ならば折角のテラス席ですもの。ヒューゴ様も楽しみましょう!」
椅子に座り可愛らしく飾られているメニュー表を2人で覗き込んだ。
(ひゃっ!近いぃぃ!!)
「ヒュッヒューゴ様初めてなのですよね!?お先に決めてください!」
慌てて顔を離す。
「いいのか?…しかしこんなにあると悩んでしまうな。あまり甘い物に詳しくもないしなイヴァのおすすめは何だ?」
「そうですね…」
何をおすすめしようかと頭を働かせた。
そしてふと思い出す。
(確かヒューゴ様は我が領地のブルーベリーが思い出の味だとおっしゃっていましたね)
「ブルーベリーのフルーツタルトなんていかがでしょう?この領地の特産品をふんだんに使っていますよ」
「それはっとても美味そうだな」
目をキラキラさせる彼が可愛らしくてつい笑ってしまった。
「お待たせしましたぁ」
店員さんが運んできたスイーツはどちらも綺麗でとても美味しそう。
「イヴァが頼んだのはブルーベリーのジャムを使ったパンケーキだったな」
「はいっ…よろしければ一口食べますか?」
私の前に置かれたお皿を興味深そうに見てくるのでそう提案すると驚いた顔をしてからふふっと微笑んだ。
「それじゃあ…食べさせてくれないか?」
「えっ」
そ、それは『あーん』なのでは所謂カップルがイチャイチャする時のあれなのでは!?
(おおお落ち着くのよイヴァ!そう!私達は婚約者同士!あーんする事は別におかしな事ではないわ!多分!お、恐らく!)
震える手でパンケーキを一口サイズに切りブルーベリーのジャムをつけてヒューゴ様に差し出す。
「ど、どうぞ」「あっ」
開けられた口の中に恐る恐るパンケーキを入れた。
「ん…うん美味いな」
「それは良かったですわ」
「じゃあ、次は俺の番だな」
「ひぇ」
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