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46.馬車の中
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その言葉に体が強張った。
来てしまったのだヒューゴ様が死ぬ日が。
「ヒューゴ様…」
「イヴァは俺の後ろにいてくれ」
肩を片手で掴まれ背に隠される。
体が震えて恐怖が込み上げてきた。
しかしパニックになる訳にはいかない、歯を食い縛り彼の背中に触れる。
殺されるかもしれない。
(大丈夫…今のヒューゴ様が山賊なんかに負けるはずがないわ)
ヒューゴ様は馬車の中に隠しておいた剣を取り馬車の扉の前に立った。
「ヒューゴ様…信じておりますわご武運を」
「あぁ待っててくれ。
不思議だな、ただ君が側にいてくれるだけで力が湧いてくる」
今から山賊と戦うとは思えない程穏やかに彼は笑う。
そして扉を開け外へ出た。
「さぁ!俺が相手だ!」
扉が瞬時に閉められてヒューゴ様は山賊と戦い始める。
外から剣同士が当たる金属音と男の人の低い声が沢山聞こえ自分を抱き締めるように腕を回した。
(どうか、どうか…ヒューゴ様が無事に戻ってきますように)
私に今できる事は祈る事ぐらい。
シャラ
首にかかっているアメジストがついたネックレスが目に入る。
震える手でそれを握り締めた。
小説の中のヒューゴ様はこのネックレスを持って亡くなっている。
そのネックレスが今は私の手にあり彼は持っていない、精神状態だって小説の中の彼とは全く違うだろう。
この世界のヒューゴ様ならきっと大丈夫。
(そう、彼ならきっと大丈夫守ってもらっておきながら焦ってはいけない冷静に…山賊が入ってこない限り足手纏いになる事はないと思うけれど念の為用意していて良かったわ)
ドレスの下、足に巻かれているベルト、
そこに固定されているナイフ、音を立てないようベルトから抜いた。
護身用の武器として用意しておいた物。
ザシュッ「ぐぁっ!!」
外から人が斬られた音と断末魔らしき声が聞こえる。
(今のはっ!…ヒューゴ様の声じゃない大丈夫よ彼じゃないわ)
かなりの人数とやり合っているのか、音が全く止まない。
剣同士が当たる金属音も男の人の低い声も人が斬られる音もどれ1つとして止まない。
耳を塞いでしまいたい気持ちもあったがそれをしてしまえば何かあった時に気付けないかもしれない、必死に意識を耳に集中し外の様子を把握しようとする。
どれぐらいの時間が経っただろうか、唐突に音が止み静寂が辺りを包んだ。
「終わったの…?」
もし終わったのなら何故すぐヒューゴ様は馬車の中に入ってこないのか。
ナイフを構えて扉の前に立つ。
ガチャッ「イヴァッ!」
「ヒュー、ゴ様…お怪我は!?ご無事ですか!?」
突然開いた扉の前には見た所5体満足ではあるが慌てて怪我の有無を確認した。
「まぁそれなり斬られはしたが、大丈夫擦り傷だ」
笑ってそう言う彼に安堵する。
(良かった…これでヒューゴ様が殺される事はもうない
っ!!)
ヒューゴ様越しに何となく外を見た、視界に何か入る。
それはこちらを弓矢で狙う小柄な男。
「ヒューゴ様危ない!!」
咄嗟に彼を引き寄せて持っていたナイフを男に向けて投げた。
生まれてから1度たりとも生死をかけた戦いなんてした事のない私なのにそれをやった。
「う"っ!」「いっ!」
投げたナイフは男の肩に刺さる。
そして男が放った矢が私の顔を掠めた。
(…うまくいった?)
呆然としているとグイッと引き寄せられる。
「イヴァ!矢が顔に当たって…なんて無茶を!!」
「無茶はお互い様ですわよ!」
はっきりとそう言うとヒューゴ様は目を見開いて言った。
「確かにそうだ」
彼は私の頬に流れる血を拭いながら笑う。
来てしまったのだヒューゴ様が死ぬ日が。
「ヒューゴ様…」
「イヴァは俺の後ろにいてくれ」
肩を片手で掴まれ背に隠される。
体が震えて恐怖が込み上げてきた。
しかしパニックになる訳にはいかない、歯を食い縛り彼の背中に触れる。
殺されるかもしれない。
(大丈夫…今のヒューゴ様が山賊なんかに負けるはずがないわ)
ヒューゴ様は馬車の中に隠しておいた剣を取り馬車の扉の前に立った。
「ヒューゴ様…信じておりますわご武運を」
「あぁ待っててくれ。
不思議だな、ただ君が側にいてくれるだけで力が湧いてくる」
今から山賊と戦うとは思えない程穏やかに彼は笑う。
そして扉を開け外へ出た。
「さぁ!俺が相手だ!」
扉が瞬時に閉められてヒューゴ様は山賊と戦い始める。
外から剣同士が当たる金属音と男の人の低い声が沢山聞こえ自分を抱き締めるように腕を回した。
(どうか、どうか…ヒューゴ様が無事に戻ってきますように)
私に今できる事は祈る事ぐらい。
シャラ
首にかかっているアメジストがついたネックレスが目に入る。
震える手でそれを握り締めた。
小説の中のヒューゴ様はこのネックレスを持って亡くなっている。
そのネックレスが今は私の手にあり彼は持っていない、精神状態だって小説の中の彼とは全く違うだろう。
この世界のヒューゴ様ならきっと大丈夫。
(そう、彼ならきっと大丈夫守ってもらっておきながら焦ってはいけない冷静に…山賊が入ってこない限り足手纏いになる事はないと思うけれど念の為用意していて良かったわ)
ドレスの下、足に巻かれているベルト、
そこに固定されているナイフ、音を立てないようベルトから抜いた。
護身用の武器として用意しておいた物。
ザシュッ「ぐぁっ!!」
外から人が斬られた音と断末魔らしき声が聞こえる。
(今のはっ!…ヒューゴ様の声じゃない大丈夫よ彼じゃないわ)
かなりの人数とやり合っているのか、音が全く止まない。
剣同士が当たる金属音も男の人の低い声も人が斬られる音もどれ1つとして止まない。
耳を塞いでしまいたい気持ちもあったがそれをしてしまえば何かあった時に気付けないかもしれない、必死に意識を耳に集中し外の様子を把握しようとする。
どれぐらいの時間が経っただろうか、唐突に音が止み静寂が辺りを包んだ。
「終わったの…?」
もし終わったのなら何故すぐヒューゴ様は馬車の中に入ってこないのか。
ナイフを構えて扉の前に立つ。
ガチャッ「イヴァッ!」
「ヒュー、ゴ様…お怪我は!?ご無事ですか!?」
突然開いた扉の前には見た所5体満足ではあるが慌てて怪我の有無を確認した。
「まぁそれなり斬られはしたが、大丈夫擦り傷だ」
笑ってそう言う彼に安堵する。
(良かった…これでヒューゴ様が殺される事はもうない
っ!!)
ヒューゴ様越しに何となく外を見た、視界に何か入る。
それはこちらを弓矢で狙う小柄な男。
「ヒューゴ様危ない!!」
咄嗟に彼を引き寄せて持っていたナイフを男に向けて投げた。
生まれてから1度たりとも生死をかけた戦いなんてした事のない私なのにそれをやった。
「う"っ!」「いっ!」
投げたナイフは男の肩に刺さる。
そして男が放った矢が私の顔を掠めた。
(…うまくいった?)
呆然としているとグイッと引き寄せられる。
「イヴァ!矢が顔に当たって…なんて無茶を!!」
「無茶はお互い様ですわよ!」
はっきりとそう言うとヒューゴ様は目を見開いて言った。
「確かにそうだ」
彼は私の頬に流れる血を拭いながら笑う。
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