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51.罰
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「あくまでも母上が言っていた事なので父上が思っていた事と違うかもしれませんが…
父上の話す事もやる事も贈り物も母上にとっては何とも言えない具合だったそうで」
「えっと…何とも言えない?」
気まずそうな顔で目を逸らしながら話す。
「話す事は基本的に特に聞いていない仕事の事で、2人で出かける先はいつも仕事場近くで剣が合わさる音が響き渡っていて、恐怖を感じながら耐えていて、贈り物は趣味に合わない物ばかり…
『仲良くなろうと努力してくれているのはよく分かるけどちっとも私に寄り添ってはくれなかったの』と拗ねたように母上は言っていましたよ父上」
(もしかしたらヒューゴ様のお母様…ソフィア様はガンダー公爵の事を憎からず思っていたのでは…)
ソフィア様は亡くなっていてその真意を知る事はもうできない、文字通り死人に口なしだ。
「貴方に必要だったのは小説と違う行動でも小説通りにしようとする事でもなく…
ソフィア様としっかり話し合う事だったのではないでしょうか…もう何もかも遅いですが」
私の言葉に男は絶望の表情で崩れ落ちる
どうやら意図せずトドメを刺してしまったようだ。
「イヴァの言う通り今何を言っても何をやってももう遅いんですよ父上、貴方は罰を受けて罪を償うしかない」
ヒューゴ様は目を閉じてゆっくりと口を開く。
「貴方が他の人間をキャラクターとしか思っていないのはよく分かった。それならば俺も同じようにいたしましょう…
俺も貴方を父上どころが生きた人間だとも思わない。オーウェンにもそう思うように言っておきましょう」
吐き捨てるようにそう言って彼はくるりと背を向けた。
「最後に、聞いておきます。
貴方の本当の名前は何ですか?」
彼がどういうつもりでそう聞いたのかは分からないがこの質問が本当に最後なのだろうと私は確信している。
「…本当の名前…確か…
カイト、ミゾウエカイト」
聞き馴染みのある日本人らしい名前だった
ヒューゴ様はそれを聞いて「行こうイヴァ」「…はい」スタスタと出口に歩いて行く。
(名前…前世の名前…あっ)
それに続こうと足を動かしたが頭の中に突然ふわっと記憶が浮かんできて私も思う所があり改めて向き直った。
「私は前世の記憶がはっきりしてませんが今思い出した事がありますので最後にお伝えしておきます。
私の前の名前はシハライツキです」
日本人だったの頃の礼をしてヒューゴ様の後を追う、これが私からの最後の言葉だ。
それから数日後、アイザック・ガンダーは正式に貴族籍を抹消され罪人が収容されている離島に流刑となった。
死者を出さなかったとはいえ王族に神の呪詛をかけて操った罪は重いとされ生涯その罪を償う事になるだろう。
貴族ではなくなり犯罪者として罰を受ける事となった彼がこれからどう生きるのかは分からない。
少なくとも、もう小説の中で生きていると思わずちゃんと今を生きてくれたらと思う。
そして彼の手によって暴走してしまったアシュリン王女は神の呪詛を解かれても尚反省する事もなかった事から王国にある東の塔での幽閉が決まった。
よほどの事がない限りこれからの一生、その塔から出る事はないだろう。
こうして一連の事件は終息した。
父上の話す事もやる事も贈り物も母上にとっては何とも言えない具合だったそうで」
「えっと…何とも言えない?」
気まずそうな顔で目を逸らしながら話す。
「話す事は基本的に特に聞いていない仕事の事で、2人で出かける先はいつも仕事場近くで剣が合わさる音が響き渡っていて、恐怖を感じながら耐えていて、贈り物は趣味に合わない物ばかり…
『仲良くなろうと努力してくれているのはよく分かるけどちっとも私に寄り添ってはくれなかったの』と拗ねたように母上は言っていましたよ父上」
(もしかしたらヒューゴ様のお母様…ソフィア様はガンダー公爵の事を憎からず思っていたのでは…)
ソフィア様は亡くなっていてその真意を知る事はもうできない、文字通り死人に口なしだ。
「貴方に必要だったのは小説と違う行動でも小説通りにしようとする事でもなく…
ソフィア様としっかり話し合う事だったのではないでしょうか…もう何もかも遅いですが」
私の言葉に男は絶望の表情で崩れ落ちる
どうやら意図せずトドメを刺してしまったようだ。
「イヴァの言う通り今何を言っても何をやってももう遅いんですよ父上、貴方は罰を受けて罪を償うしかない」
ヒューゴ様は目を閉じてゆっくりと口を開く。
「貴方が他の人間をキャラクターとしか思っていないのはよく分かった。それならば俺も同じようにいたしましょう…
俺も貴方を父上どころが生きた人間だとも思わない。オーウェンにもそう思うように言っておきましょう」
吐き捨てるようにそう言って彼はくるりと背を向けた。
「最後に、聞いておきます。
貴方の本当の名前は何ですか?」
彼がどういうつもりでそう聞いたのかは分からないがこの質問が本当に最後なのだろうと私は確信している。
「…本当の名前…確か…
カイト、ミゾウエカイト」
聞き馴染みのある日本人らしい名前だった
ヒューゴ様はそれを聞いて「行こうイヴァ」「…はい」スタスタと出口に歩いて行く。
(名前…前世の名前…あっ)
それに続こうと足を動かしたが頭の中に突然ふわっと記憶が浮かんできて私も思う所があり改めて向き直った。
「私は前世の記憶がはっきりしてませんが今思い出した事がありますので最後にお伝えしておきます。
私の前の名前はシハライツキです」
日本人だったの頃の礼をしてヒューゴ様の後を追う、これが私からの最後の言葉だ。
それから数日後、アイザック・ガンダーは正式に貴族籍を抹消され罪人が収容されている離島に流刑となった。
死者を出さなかったとはいえ王族に神の呪詛をかけて操った罪は重いとされ生涯その罪を償う事になるだろう。
貴族ではなくなり犯罪者として罰を受ける事となった彼がこれからどう生きるのかは分からない。
少なくとも、もう小説の中で生きていると思わずちゃんと今を生きてくれたらと思う。
そして彼の手によって暴走してしまったアシュリン王女は神の呪詛を解かれても尚反省する事もなかった事から王国にある東の塔での幽閉が決まった。
よほどの事がない限りこれからの一生、その塔から出る事はないだろう。
こうして一連の事件は終息した。
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