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約束
通信魔法
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俺は理性と戦いながら彼女を介抱していた。
甘い匂いと、甘い声…。
柔らかい肌と熱を帯びた苦しそうな表情…。
彼女が俺の手でイって、ぼんやりとこちらを見ている。
ハッと気が付き、ベッドを降り、抑制剤の入ったコップを手に、ベッドへもどった。
「抑制剤だ。飲めば少し楽になる」
そう言って口に含み、口付けして飲ませた。
「んっ…」
気持ち良さそうに飲んでくれる…。
抑制剤が効き始めるまで、しばらくかかる。
ヒイロは服を脱ぎ全裸になって、ベッドの上に上がった。
これは、…介抱するだけだ。
火照った彼女の顔が赤く染まる。
何をするのか分かったのだろう。
「安心しろ。最後まではしない」
そう言って彼女に覆い被さった。
しっとりと吸い付くような肌と滴る汗…。
恥ずかしがっていた彼女も最後には自ら口付けてきた。
そして、何度目かに…彼女は意識を飛ばした。
そんな寝顔を見て、俺の番だ。
そんな風に感じていた。
目が覚めた彼女が、部屋に降りてくると、ホムラがテーブルに促した。
「落ち着いたみたいだね。お腹空いたでしょう。こっちで一緒に食事をしましょう」
彼女が座った席にはパンやサラダが準備されていて、食事を始めた。
「私は、ホムラ。で、あなたを介抱したのがヒイロ。旅行者だよ」
「私は、チイ。助けてくれてありがとう…」
彼女…チイは、ヒイロの方を見て頬を染め、うつ向く。
…初々しさが可愛い。それに…。
「…獣人の女性体に会うのは、久しぶりだ」
ヒイロはじっと眺めるように見ながら、そう話した。
「そうなの?人族に女性体が多いし擬態しているから、あまり獣人とか人族とか気にした事はなくって…」
人族の中に紛れて生活しているチイにとっては、あまり気にしないのかもしれない。
「…発情期の抑制剤は、飲んでなかったのか?」
さっきの事を思い出してか、チイの頬が赤くなる。
「この年齢になっても来てなかったら…有ることすら、忘れてて…」
「幾つだ」
「…二十一歳。…遅いでしょ。…それより、ここ何処?あれからどれだけ時間が経っているの?」
二十一歳だと!
同じ年じゃないか!
「半日くらいか…。抑制剤が効いたみたいで、長期間には成らなかった」
ホムラが何か説明しているが、それどころではない!
やはり番に、するべきだ!
…チイの思いもあるから、急がず、…必ず手に入れる!
「あの…通信魔法を使えるもの、ありますか?…仕事を無断欠勤してしまって…連絡しないと…きっと心配していると思うから…」
「有りますよ。棚横に掛けてある鏡がそうです。」
「お借りします!」
勤勉そうなチイは慌てて鏡の前に行き、右手を翳し、金色の光を放つ。
「リマ商会のレギの部屋に!」
レギだと!!
鏡が光、ぼんやりと向こうの部屋を写し出す。
相手が答えなければ、鮮明には映らない。
「レギさん!居ますか?チイです!」
鏡が光、向こうの部屋が鮮明に写し出される。
オフィスのようなシンプルな部屋。
「チイ!」
血相を変えた、体格のいい金茶色の髪の男が覗き込んでくる。
…レギだ。
獣人の町を出だレギには、ここ何年も会ってはいない。
「ごめんなさい!無断欠勤をしてしまいました!」
チイが鏡の前で頭を下げる。
「無事ならいいよ…」
鏡の向こうで、ほっとした表情で微笑むレギ。
チラリとホムラを見ると、彼も気付いたようで、こちらを見て頷いてくる。
「今、何処にいるの?迎えに行くけど…」
「えっと…。」
チイは振り向き、こちらを見た。
「町からは離れている。後で送って行くよ」
ヒイロがそう答える。
チイはレギの方を見て、
「町から離れているみたいなので、送ってくれるそうです。…えっと…体調崩して…それを助けてもらって…」
「…。」
レギは難しそうな顔をして、唸る。
「帰ってきたら家の方ではなく、リマ商会に…僕の部屋においで」
「…はい。」
部屋に行くくらい、親しい中なのか?
「では、待ってるよ。チイ」
そう言って、通信は切れた。
「はぁ…」
チイのため息が洩れた。
食事を終え、馬車に乗り、リマ商会のある町へ向かった。
馬車の中では、ヒイロがチイの今の生活の事とか、獣人がどれくらい擬態して生活しているのかなどを聞いた。
あまり喋る方でないのだが、チイの事が何でも知りたかった。
あんな事があった為か、時々目が合うとチイは頬を染めてうつむき、その姿が可愛らしくて思わず頬が緩んでしまう。
それを見ていたホムラが、ため息をついて足を踏んできた。
甘い匂いと、甘い声…。
柔らかい肌と熱を帯びた苦しそうな表情…。
彼女が俺の手でイって、ぼんやりとこちらを見ている。
ハッと気が付き、ベッドを降り、抑制剤の入ったコップを手に、ベッドへもどった。
「抑制剤だ。飲めば少し楽になる」
そう言って口に含み、口付けして飲ませた。
「んっ…」
気持ち良さそうに飲んでくれる…。
抑制剤が効き始めるまで、しばらくかかる。
ヒイロは服を脱ぎ全裸になって、ベッドの上に上がった。
これは、…介抱するだけだ。
火照った彼女の顔が赤く染まる。
何をするのか分かったのだろう。
「安心しろ。最後まではしない」
そう言って彼女に覆い被さった。
しっとりと吸い付くような肌と滴る汗…。
恥ずかしがっていた彼女も最後には自ら口付けてきた。
そして、何度目かに…彼女は意識を飛ばした。
そんな寝顔を見て、俺の番だ。
そんな風に感じていた。
目が覚めた彼女が、部屋に降りてくると、ホムラがテーブルに促した。
「落ち着いたみたいだね。お腹空いたでしょう。こっちで一緒に食事をしましょう」
彼女が座った席にはパンやサラダが準備されていて、食事を始めた。
「私は、ホムラ。で、あなたを介抱したのがヒイロ。旅行者だよ」
「私は、チイ。助けてくれてありがとう…」
彼女…チイは、ヒイロの方を見て頬を染め、うつ向く。
…初々しさが可愛い。それに…。
「…獣人の女性体に会うのは、久しぶりだ」
ヒイロはじっと眺めるように見ながら、そう話した。
「そうなの?人族に女性体が多いし擬態しているから、あまり獣人とか人族とか気にした事はなくって…」
人族の中に紛れて生活しているチイにとっては、あまり気にしないのかもしれない。
「…発情期の抑制剤は、飲んでなかったのか?」
さっきの事を思い出してか、チイの頬が赤くなる。
「この年齢になっても来てなかったら…有ることすら、忘れてて…」
「幾つだ」
「…二十一歳。…遅いでしょ。…それより、ここ何処?あれからどれだけ時間が経っているの?」
二十一歳だと!
同じ年じゃないか!
「半日くらいか…。抑制剤が効いたみたいで、長期間には成らなかった」
ホムラが何か説明しているが、それどころではない!
やはり番に、するべきだ!
…チイの思いもあるから、急がず、…必ず手に入れる!
「あの…通信魔法を使えるもの、ありますか?…仕事を無断欠勤してしまって…連絡しないと…きっと心配していると思うから…」
「有りますよ。棚横に掛けてある鏡がそうです。」
「お借りします!」
勤勉そうなチイは慌てて鏡の前に行き、右手を翳し、金色の光を放つ。
「リマ商会のレギの部屋に!」
レギだと!!
鏡が光、ぼんやりと向こうの部屋を写し出す。
相手が答えなければ、鮮明には映らない。
「レギさん!居ますか?チイです!」
鏡が光、向こうの部屋が鮮明に写し出される。
オフィスのようなシンプルな部屋。
「チイ!」
血相を変えた、体格のいい金茶色の髪の男が覗き込んでくる。
…レギだ。
獣人の町を出だレギには、ここ何年も会ってはいない。
「ごめんなさい!無断欠勤をしてしまいました!」
チイが鏡の前で頭を下げる。
「無事ならいいよ…」
鏡の向こうで、ほっとした表情で微笑むレギ。
チラリとホムラを見ると、彼も気付いたようで、こちらを見て頷いてくる。
「今、何処にいるの?迎えに行くけど…」
「えっと…。」
チイは振り向き、こちらを見た。
「町からは離れている。後で送って行くよ」
ヒイロがそう答える。
チイはレギの方を見て、
「町から離れているみたいなので、送ってくれるそうです。…えっと…体調崩して…それを助けてもらって…」
「…。」
レギは難しそうな顔をして、唸る。
「帰ってきたら家の方ではなく、リマ商会に…僕の部屋においで」
「…はい。」
部屋に行くくらい、親しい中なのか?
「では、待ってるよ。チイ」
そう言って、通信は切れた。
「はぁ…」
チイのため息が洩れた。
食事を終え、馬車に乗り、リマ商会のある町へ向かった。
馬車の中では、ヒイロがチイの今の生活の事とか、獣人がどれくらい擬態して生活しているのかなどを聞いた。
あまり喋る方でないのだが、チイの事が何でも知りたかった。
あんな事があった為か、時々目が合うとチイは頬を染めてうつむき、その姿が可愛らしくて思わず頬が緩んでしまう。
それを見ていたホムラが、ため息をついて足を踏んできた。
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