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- 28章 -
-とある休日-
しおりを挟む「今までいっぱいありがとう。
私もずっと大好きだよ。
幸せになってね」
「………」
「だって!!」
屈めた身を起こすと、俯き今にも泣き出しそうな班乃の頭に手を置き、しゃがしゃと撫でた。まだ子供なのだから、泣きたい時は泣いても良いとは思うが、子供だろうがプライドはあるだろう。
いつか、彼にそのプライドをさらけ出せる相手が出来れば良いと願うばかりだ。
なんて、失恋した相手の身内に言われてもあまり嬉しくはないだろうが、そう思う気持ちに嘘偽りはない。
「これが俺から君に伝えられる “ 最後 ” の伝言だよ。…よく、頑張ったね」
「…そう、ですか。最後。…その、感謝、してます。今までありがとうございました」
それきり黙りコクってしまった班乃の肩を叩くと、帰ろうかと秋山へと視線で促した。
“ 雪 ” の単語になにやら思い当たる節があるのか、班乃姉は心配そうに弟を見、市ノ瀬は考え込むような素振りを見せているが、自分に出来る事はもうないだろう。
「じゃぁ、俺達は帰るよ! 動物園楽しんできてね!」
「お話しできて楽しかったよ。また会えたら良いね!」
「あっ、はい、また!」
「…またね、ひーくん、のんちゃん」
「「…………」」
手を振ったり会釈をしたりと、各々別れの挨拶を済ませると、学生達兄妹と別れた秋山と月影は、車に乗り込み、当初の予定通り、カフェへと車を走らせた。
「あのさ、ひーくん?」
「うん?」
「聞きたい事はいくつかあるんだけどね」
「うん」
「とりあえずさぁ…」
ルームミラー越しに助手席の月影を見ると、月影は不思議そうな顔で秋山を見つめながら、小さく首を傾げた。
最初に彼らに会った時、月影が逃げ出そうとした理由は分からずじまいだが、いつの間にか普段通りに戻っていたし、知らぬ間に問題は解決したのかもしれない。
最後に話していた伝言と言うのも、きっと “ 月影ならでは ” の物だろう。秋山に計り知れるものではなく、それを知るのは恐らく班乃の個人的な事を知る事になる。勝手に聞ける事でもないし、聞いたところで月影が絶対に教えてくれないだろう事は分かっていた。
個人的な事を許可なく根掘り葉掘り聞く程下劣な人間ではないし、それに関しての諦めはつくが、親友が他人を避けるなどという珍しい行動に出た事は疑問でもあり、驚きでもあった。
だが、直ぐにその問いをするのはなんとなく気が引けて、1度別の話題を挟む事にした。
「とりあえず??」
「結月さん、僕らの名前、覚えてくれてたんだね」
「それねっ! 俺ら自己紹介すらしてないのにw 我が道を往くと見せかけて、意外と皆の会話聞いてたんだねw」
「驚きだよねwいきなりアスパラ呼びだったし、覚えてるとは思ってなかったよw」
「実は覚えてたからのあだ名呼びとかw なかなか距離感バグってて面白かったねぇ、あの子!」
「ひーくん、本当変わった子好きだよねぇw」
「斬新さは閃きの種だしねっ!ネタがあちこちに散らばってて本当助かるよー^^」
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