出来心でしかない2人

ルシーアンナ

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「部屋でア×ニーしてるところ彼女が急に来て、見られた」

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 ぶっちゃけて言えば、出来心でしかない二人だった。


 大学同期で今でも定期的に飲みに行くのは宗伍そうごくらいで、他の奴らは遠方に就職したとか、地元帰ったとか、24の若さで結婚したとか。

 なんだかんだでメッセージアプリのグループトークなんかはゆる~く続いているが、サシで会えるのは宗伍だけ。

 俺が週末呼び出して、オールで飲むか途中で潰れてどっちかの家で雑魚寝するのが常だった。


 それでも最近はそんな機会も減ってきていて、もっぱらそれは俺の方に原因があった。

 俺に、宗伍より優先して週末を過ごす相手が出来たから、つまり彼女が出来たから。
 彼女優先になるのは仕方ないだろ?


 宗伍はそういうことでブチブチ言うような奴じゃなかったし、むしろ俺よりツレは多い社交的なタイプ。

 昔っから男も女も友だち多くて、学生時代はあっちの方がなかなか捕まらないこと多かった。


 そんなこんなで3ヶ月くらい宗伍とは会って無かったのだが、その夜俺は宗伍を呼び出した。

 俺に彼女が出来てから、半年ほど過ぎた頃のことだった。


 3ヶ月ぶりに会った宗伍は、相変わらずイケメンだった。
 特定の彼女居なくても、困っていないってのは多分噂だけじゃない。

 コイツはそういうこと言わないけど、きっと上手いことそういう相手は見つけてるタイプ。
 いわゆるセフレとか、一回限りの相手とか。
 しかも出会い系とかナンパとかそういうんじゃなく、普通に出会って。


「宗伍、パーマかけたじゃん?」

 最後に見たときはストレートだった黒髪が、ゆるいウェーブがかっていたから言ったら、

「前あったとき違ったっけ?」

 笑って言った。
 フツーに似合ってるし、悔しいけど男前度が上がってる。

「またモテに来てる」

 俺が言うと、何かに気づくようにして、

「片瀬がそんなこと言うの珍しいな」

 と言った。
 鋭いよな、コイツ。

 だけど俺はその時すでに酔っていたし、宗伍に絡むのをやめなかった。

 だってその前日、俺は彼女にフラれてたから。


 どっかで合コンやってる声がする、やかましい居酒屋。広い座敷は衝立で仕切られているけど、ザワつき半端ない。

 だけど俺らが会う時は、こうした学生時代を思い出すような居酒屋が多い。

 宗伍はしばらく義理を欠いてた俺の呼び出しに、二つ返事で来てくれた。


 俺は最初っからペース早く飲み始めたし、たぶん宗伍は潰れた俺を連れて帰ることになるのも想定していたと思う。

 そのうち泣き出した俺に驚いて見せたけど、「しょうがねーな」というよう笑って見せた。
 俺の知り合いの中で、たぶんコイツが一番面倒見良いと思うし、優しい。

 たまに辛辣なことも言うけれど、それは歯に絹着せぬって仲だから。



「何でフラれたんだよ?」

 彼女の名前呼びながらグズグズと泣いてる情けない俺に、宗伍はやっと聞いてきた。
 たぶん俺が自分から言い出すのを待っていたけど言わないから、率直に聞いてきたんだと思う。

「絶対誰にも言うなよ?」

 鼻水啜りながら言う俺に、

「えっ? うん」

 戸惑うように言いながら、宗伍は店員の持ってきた梅酒サワーを受け取った。


「性生活の不一致?」

 俺の言葉に、「はあ?」宗伍は梅酒サワーをひと口飲んでから頷く。

「俺さ、アナニーにハマってるの……彼女に知られちゃったんだよね」

 そして告げた恥ずかしい告白に、

「アナニー? オナニーじゃなく?」

 ピンと来ないよう答えた。
 その問いには既視感があって、俺はまたたまらない気持ちになる。


「そー、アナニー。ちんこじゃなく、ケツの穴でやるオナニー」

 だけどそれを吹っ切るように言ってやったら、宗伍はブフッと梅酒サワーを吹き出しかけた。


「お前、ゲイになったの?」

「違う、好きなのは彼女だけ。バイでもない!」


 バレたとき、彼女にも同じことを訊かれた。
 俺は同じように答えたけど、その時の彼女も困惑していた。

「でも別れたんだよな? つか、バレたの?」

 宗伍はジョッキをテーブルに置いて、訊く。


「部屋でアナニーしてるところ彼女が急に来て、見られた」

「うわっ……」

「言い訳も出来なかったけど、俺が好きなのは彼女だけだってのは本当だし‪――‬だから」

「だから?」


「ディルドで俺のケツ責めてください! って土下座した」


 ゴツッ! とテーブルの上に額をぶつけて言った俺に、

「ええっ!?」

 さすがの宗伍も声を上げてから、黙った。


 だって俺‪――‬彼女の手で、ケツ責められんの何度も妄想してた。

 指とかも入れて欲しかったけど、さすがにケツだしハードル高いかな? って思って、直前までアナニーに使ってたディルドを俺と彼女の間に置いて、気づけば土下座してたんだよな。


 彼女はめちゃくちゃ動揺してたと思うけど、嫌そうな顔は見せずにいてくれた。

 たったいま、彼氏が自分自身のモノよりデカいちんぽの形したディルドをケツに突っ込んで、背面騎乗位みたいな大股開きのポジションで、めちゃくちゃに杭打ちしてた姿を見たばかりだったって言うのに‪――‬怒ったり罵ったりしないでいてくれた。

 そして俺の彼女は可愛いだけじゃなく、めちゃくちゃ良い子で、土下座する俺を哀れに思ったのかディルドて責めてくれた。

 彼女の白く細い手で後ろからディルドを深く突っ込まれたり、抜かれたり、いっぱいジュボ♡ ジュボ♡ してもらって、俺はいつも自分でやるのとは全然違う感覚にめちゃくちゃ興奮しまくってた。


 彼女の名前ずっと呼んでて、触られていないちんこで射精して、そして‪――‬その3日後に、やっぱフラれた。
 それが昨日。
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