ライザス冒険記

９ 武具の店ラティオ

　私たちは、近くの食堂で昼食を済ませ、「武具の店ラティオ」に向かった。この辺りでは、指折りの品揃えの武器屋だ。流れ者の傭兵が多く集まる店で、顔馴染みも少なくなかった。

　私が先導して、店の扉を押し開いた。中から数名の声がしていた。
「ラティオ爺さん、お久しぶり！」
「おや、ガルーナお戻りかい？」
「ラティオ爺さん、今日はハーティも一緒なんだ」
「ご無沙汰だったのだ」

　ハーティとバリウスが、私のすぐ後から入店した。

　ラティオ爺さん、とよばれた老人は白髪で髭をたくわえた齢70才位の人物だった。若い頃から無頼漢として名が通っていたラティオ爺さんは、50才を過ぎてこの店を開いたのだと云う。それがかれこれ20年程前の話で、今ではライザスの武器屋の中でも、屈指の品揃えを誇る店になっていた。ライザスの首領であるシーマイル様とも親交が深く、公の取引も数多く行っているそうである。

　武器屋は小さな家２棟位の大きさで、鎧や兜などの防具が四分の一、剣や槍などの武器が四分の一、金銭を受け渡すカウンターが四分の一、残りが交流スペースとなっていた。