ライザス冒険記

11 ポルニとの話

「こんにちは。私、ポルニと申します。精霊族の出身なのですが、今はラーヴァ神に仕える身。どうぞ宜しく」
　ポルニの穏やかな声に、バリウスが答えた。
「私はザボアの村のバリウス。風の精霊族の重鎮だ。良い人が見つかって良かった。実は、土の精霊石が何者かによって盗まれたのだ」
「まぁ、それは大変ですね」
　ポルニは目を丸くして驚いた様子だった。

「精霊石とは何だい？」ラティオ爺さんがバリウスに問いかけた。バリウス殿が応じる。
「精霊石とは、精霊族の各部族にいにしえより伝わる宝珠のことで、この世を安定させる精霊力があるんだ。今、土の精霊族の精霊石のひとつが無くなってしまったために、世界がバランスを欠きはじめているのだ」
「それは大変な事態ですね」
　私にも、事の重大さが分かってきた。

「占いオババの水晶だと、ブルクの村にあると出たのだ」
「それでブルクの村までの旅なのですね」
　ポルニが頷いた。

「どうする？　依頼を受けるかい？」
　ラティオ爺さんが、ポルニに訊いた。
「申し遅れたが、報酬は金貨３３枚だ。この条件で、しばらく旅の護衛を引き受けてくれないだろうか」
　ポルニはしばらく考えてから、おもむろに口を開いた。
「承知いたしました。是非、お仕事を引き受けさせていただきたいと思います」真剣な目で、ポルニは承諾した。

「有難う、感謝いたす。それでは、早速旅の仕度をお願いしたい。明日の早朝から、出発したらどうだろうか。朝の鐘が鳴る頃に、南門の出口に集合したい。それでは皆、明日まで鋭気を養ってくれ」
　バリウス殿の一言に、私とハーティ、そしてポルニが首肯した。