永久凍土のウィンタロム

6 人狼との戦い

　化け物だった。
　全身に狼の気が生えており、頭も狼だった。体は人間の骨格。ズボンをはいてはいるものの、破れていた。

「天空にある星屑の欠片よ！今この地へと、降りおり給え！」
　ターニャが呪文を発すると共に、左手で複雑な図形を描いた。魔力が漲みなぎった。
「コメット！」

　突如、うなりを上げて大空から火の玉が降ってきた。それは轟音とともに、人狼の左肩を貫いた。

　ガク、と人狼が膝を地面についた。

　私の三連棍の一撃が、人狼の右膝に炸裂する。人狼がゆっくりと倒れた。
「もう二度と、人を襲ったりしないか」

ーー絶対に襲ったりしない。

　息も絶え絶えに、人狼が答える。
　ターニャが肩に下げた鞄から、薬草と包帯を取り出した。

「痛くして、ゴメンね。もう悪さしないで」
　ターニャはそう言いながら、人狼の傷に手当をした。

「もう絶対に、人を襲わないでね」
　ターニャの言葉に、人狼は頷いた。

ーー人を喰らうのを、止めることにする。


それが化け物退治の顛末てんまつだった。