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4章 妖精の里
24.妖精の愛人*
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ラシャはぼんやりする意識の中で、何か甘いものがとろりと口の中に入ったのに気づいた。
(なんだろう)
甘いものを追うように舌で唇を舐めると、周りから密やかな笑い声が聞こえる。
「唇ツヤツヤでかわいい~~」
「……ん……?」
だんだん意識が覚醒してきて目を開けると、複数人の顔が覗き込んでいた。
「……んん?なに……?」
男女を見間違うような中世的な美形ばかりだ。ただみんな半裸のような姿のために男女入り混じっていることが見てとれた。
中世的な美形は妖精族に多い。それに耳が横に長く尖ってるのも妖精族で……、ラシャはまだ眠い頭で妖精の里に来ていたことを思い出した。
「あれ? 俺…寝ちゃったのかな。レオンは?」
いつもそばにいるペットを探すが、美形妖精の中にその姿はない。
「ペットくんはまだ宴にいるよ。ラシャは寝ちゃったから休憩室に運んだんだ」
聞き覚えのある声に頭を巡らせると、寝ているラシャに膝枕をしているのがクリストファーだった。
「クリストファー……?」
でも何か違和感がある。いつもはうるさいテンションなのに、今はしっとり艶を含んだ話し方だからか。
「そっか、ありがとう。でもレオンが心配だから宴に戻るよ」
眠気がようやく引いてきて、ラシャはゆっくり身を起こそうとした。
その途端、ゾクリと身が震える。
「?」
固まったラシャをクリストファーがまた膝の上に戻す。
優しい手つきだが、その指に頬を撫でられてまたゾクリとした。
「今まで私をフってばかりいたラシャがペットを連れてきて……びっくりしたんだから」
ゾクリとしたのは寒いからかと思ったが、今度は逆にジワジワと体が熱くなってきた。突然の変化に体の異変を感じる。
「な、なに?」
「ねぇ、ラシャ。愛人の話、本当に受ける気はない? あのペットを飼うってことは性欲だってあるんでしょ?」
クリストファーの指がラシャの首筋を胸元までなぞっていく。その動きにラシャはブルッと震えた。
「愛人はいらない! 性欲のためにペットを飼うんじゃないから! 精気を吸うためだ!」
「そうなんだ? それじゃみんなから精気を吸えればペットの負担も減って良いんじゃない?」
「みんな……?」
ラシャを囲む妖精達が嬉しそうに頷いている。
「ラシャは人間の思想に傾倒しているけど、一度試してみたら妖精の良さが分かるんじゃないかな。みんなで愛し合うことの素晴らしさを」
「な……ッンゥ!」
クリストファーの指が強引にラシャの口内に入り込んで、愛撫する様に舌をくすぐる。
ラシャの両手は別々の妖精に取られ、舐められてた。
妖精の力は普段なら振りとける程度の力だ。なのに今はなぜかラシャの体に力が入らないし、少しの愛撫で快感が走る。
「ンッ……フ……ッ!」
「ラシャが気持ち良くなれるように、少し薬を飲ませたんだ。美味しそうに舐めていたね」
クスクスと笑いながらクリストファーがラシャの唇も指先で愛撫する。
ラシャは目覚めた時の唇の甘い味を思い出した。
別の妖精の手がラシャの服の袂を広げて、唇で胸を愛撫する。
その唇に乳首を啄まれ、体がピクンとはねた。
「ンッ……ッ」
「ラシャは色んなところに性感帯があるんだね。さすが淫魔の血統だ」
「アッ……ァンッ」
ラシャの唾液で濡れた手を引き抜き、クリストファーの濡れた指は乳首に触れる。
片方はチュクチュクと吸われ、もう片方はクリストファーの指で擦られた。
頭には怒りと屈辱があるのに、体は勝手に快感を追ってしまう。
別の妖精がラシャの耳を愛撫し、また別の妖精がラシャの足の指をくすぐるように撫でる。
四方から群がる妖精達に、蜜を吸われる花のようだと嫌な想像が浮かんだ。
「気持ちいいだろう? 私をラシャの愛人にしてくれるなら、いつも快感だけを与えてあげる。私たちみんなでずっとあなたを愛してあげるよ。あなたと私たちの寿命が違ったとしても、私の子も孫も、みんなあなたを愛するだろう」
ラシャはそのプロポーズにゾッとした。時代を超えて愛される美術品のようになった自分を想像して、嫌悪が増した。
「そんなことは望んでいない!」
「でも、ペットは人間だもの、すぐ死ぬよ? 1人になったらまた別のペットを飼うんだろ? なら妖精でもいいじゃないか」
(レオンが死んだら……また別のペットを飼う?)
確かに、ラシャはペットを死ぬまで飼おうと思っていた。でも、死んだらまた別のペットを飼おうとは思っていなかった。
飼い始めた時も気まぐれだったから、またその気まぐれが別の人間に起こるかもしれない。
でも……何故だか違う気がした。
レオンだから飼っているだけで、別の人間では……しっくりこない。
「ちがう……ペットはレオンだけだ」
「なんだか、妬けるな」
クリストファーが少し寂しそうに笑った。
クリストファーが別の妖精と入れ替わり、ラシャの両足の間に座る。
ズボンもブーツも剥ぎ取られ、露わになったラシャのものは、いつものようにぐったりと横たわっている。
ラシャのものが役に立たないことを知るものは少ない。クリストファーも知らないことだ。
「ん……? かなり感じていると思ったけど」
普通なら勃っていてもおかしくないのに、と言いながらクリストファーは軽く愛撫するが、やはり反応のない様子に首を傾げた。
感じていないと勘違いしてクリストファーは弄る。実際のところ、ラシャはもういきそうなのを堪えていた。ラシャはまたビクンと体を震わせていた。
「ン……ッン!」
「後ろに入れたらもっと感じてくれるかな」
クリストファーの指がまだ濡れていない後ろの入り口をなぞる。
その動きに許可なく体を開かれる恐怖を感じる。
「潤滑油を」
クリストファーに手渡された瓶からトロトロの液が流れ落ち、ラシャの後ろを濡らす。
「あ……ッ! だからダメだって! そんなことしても愛人にはしないからな!」
「夜が終わる頃には、その思想は変わっているんじゃないかな」
クリストファーは自信ありげに笑ってそんなことを言う。
ラシャの体は熱く、状況に流されそうになるが、思考はクリアで強引な妖精達を嫌悪していた。
ラシャは熱く動かしづらい体をもう一度抵抗のために動かす。
「いやだ……いやだ……! レオン!!」
そのとたん、破壊音と激しい風が吹き込んできて、ラシャは目を丸くした。
「すごい……呼んだら来た」
「人間って……そういうところあるよね……」
呆然と応えるクリストファーの言葉が間抜けに聞こえた。
怒りの形相で木造の家の壁ごと扉を破壊したレオンは、そのままラシャの周りの妖精達を投げ散らした。
ラシャの体が動かしづらいことを見て取ると、守るように抱き上げる。
それでも飽き足らず、レオンは座っていたクリストファーを蹴り倒して頭を踏みつけた。
ギリギリギリと足に力を入れられてクリストファーは悲鳴を上げた。
「イタタタタ!! ら、らしゃぁ……たすけて!」
情けない悲鳴をあげるクリストファーを、ラシャはレオンの腕の中から冷たく見下ろす。
「……クリストファー、お前が合意なしに薬を使ってレイプしたことは、きっちり族長に報告するからな。それが妖精の里の不利益に繋がることが分かっていてやったんだよな」
「レイプじゃないよ~! ラシャへの愛だよ!」
「思想が違いすぎて相いれないな」
ラシャはクリストファーの一方的な愛を切って捨てた。
そのままレオンをうながして、破壊された木造建築の屋敷を後にする。
ラシャはまだ熱の残る体をレオンに抱きしめられたまま、借り上げているロッジへ向かった。
(なんだろう)
甘いものを追うように舌で唇を舐めると、周りから密やかな笑い声が聞こえる。
「唇ツヤツヤでかわいい~~」
「……ん……?」
だんだん意識が覚醒してきて目を開けると、複数人の顔が覗き込んでいた。
「……んん?なに……?」
男女を見間違うような中世的な美形ばかりだ。ただみんな半裸のような姿のために男女入り混じっていることが見てとれた。
中世的な美形は妖精族に多い。それに耳が横に長く尖ってるのも妖精族で……、ラシャはまだ眠い頭で妖精の里に来ていたことを思い出した。
「あれ? 俺…寝ちゃったのかな。レオンは?」
いつもそばにいるペットを探すが、美形妖精の中にその姿はない。
「ペットくんはまだ宴にいるよ。ラシャは寝ちゃったから休憩室に運んだんだ」
聞き覚えのある声に頭を巡らせると、寝ているラシャに膝枕をしているのがクリストファーだった。
「クリストファー……?」
でも何か違和感がある。いつもはうるさいテンションなのに、今はしっとり艶を含んだ話し方だからか。
「そっか、ありがとう。でもレオンが心配だから宴に戻るよ」
眠気がようやく引いてきて、ラシャはゆっくり身を起こそうとした。
その途端、ゾクリと身が震える。
「?」
固まったラシャをクリストファーがまた膝の上に戻す。
優しい手つきだが、その指に頬を撫でられてまたゾクリとした。
「今まで私をフってばかりいたラシャがペットを連れてきて……びっくりしたんだから」
ゾクリとしたのは寒いからかと思ったが、今度は逆にジワジワと体が熱くなってきた。突然の変化に体の異変を感じる。
「な、なに?」
「ねぇ、ラシャ。愛人の話、本当に受ける気はない? あのペットを飼うってことは性欲だってあるんでしょ?」
クリストファーの指がラシャの首筋を胸元までなぞっていく。その動きにラシャはブルッと震えた。
「愛人はいらない! 性欲のためにペットを飼うんじゃないから! 精気を吸うためだ!」
「そうなんだ? それじゃみんなから精気を吸えればペットの負担も減って良いんじゃない?」
「みんな……?」
ラシャを囲む妖精達が嬉しそうに頷いている。
「ラシャは人間の思想に傾倒しているけど、一度試してみたら妖精の良さが分かるんじゃないかな。みんなで愛し合うことの素晴らしさを」
「な……ッンゥ!」
クリストファーの指が強引にラシャの口内に入り込んで、愛撫する様に舌をくすぐる。
ラシャの両手は別々の妖精に取られ、舐められてた。
妖精の力は普段なら振りとける程度の力だ。なのに今はなぜかラシャの体に力が入らないし、少しの愛撫で快感が走る。
「ンッ……フ……ッ!」
「ラシャが気持ち良くなれるように、少し薬を飲ませたんだ。美味しそうに舐めていたね」
クスクスと笑いながらクリストファーがラシャの唇も指先で愛撫する。
ラシャは目覚めた時の唇の甘い味を思い出した。
別の妖精の手がラシャの服の袂を広げて、唇で胸を愛撫する。
その唇に乳首を啄まれ、体がピクンとはねた。
「ンッ……ッ」
「ラシャは色んなところに性感帯があるんだね。さすが淫魔の血統だ」
「アッ……ァンッ」
ラシャの唾液で濡れた手を引き抜き、クリストファーの濡れた指は乳首に触れる。
片方はチュクチュクと吸われ、もう片方はクリストファーの指で擦られた。
頭には怒りと屈辱があるのに、体は勝手に快感を追ってしまう。
別の妖精がラシャの耳を愛撫し、また別の妖精がラシャの足の指をくすぐるように撫でる。
四方から群がる妖精達に、蜜を吸われる花のようだと嫌な想像が浮かんだ。
「気持ちいいだろう? 私をラシャの愛人にしてくれるなら、いつも快感だけを与えてあげる。私たちみんなでずっとあなたを愛してあげるよ。あなたと私たちの寿命が違ったとしても、私の子も孫も、みんなあなたを愛するだろう」
ラシャはそのプロポーズにゾッとした。時代を超えて愛される美術品のようになった自分を想像して、嫌悪が増した。
「そんなことは望んでいない!」
「でも、ペットは人間だもの、すぐ死ぬよ? 1人になったらまた別のペットを飼うんだろ? なら妖精でもいいじゃないか」
(レオンが死んだら……また別のペットを飼う?)
確かに、ラシャはペットを死ぬまで飼おうと思っていた。でも、死んだらまた別のペットを飼おうとは思っていなかった。
飼い始めた時も気まぐれだったから、またその気まぐれが別の人間に起こるかもしれない。
でも……何故だか違う気がした。
レオンだから飼っているだけで、別の人間では……しっくりこない。
「ちがう……ペットはレオンだけだ」
「なんだか、妬けるな」
クリストファーが少し寂しそうに笑った。
クリストファーが別の妖精と入れ替わり、ラシャの両足の間に座る。
ズボンもブーツも剥ぎ取られ、露わになったラシャのものは、いつものようにぐったりと横たわっている。
ラシャのものが役に立たないことを知るものは少ない。クリストファーも知らないことだ。
「ん……? かなり感じていると思ったけど」
普通なら勃っていてもおかしくないのに、と言いながらクリストファーは軽く愛撫するが、やはり反応のない様子に首を傾げた。
感じていないと勘違いしてクリストファーは弄る。実際のところ、ラシャはもういきそうなのを堪えていた。ラシャはまたビクンと体を震わせていた。
「ン……ッン!」
「後ろに入れたらもっと感じてくれるかな」
クリストファーの指がまだ濡れていない後ろの入り口をなぞる。
その動きに許可なく体を開かれる恐怖を感じる。
「潤滑油を」
クリストファーに手渡された瓶からトロトロの液が流れ落ち、ラシャの後ろを濡らす。
「あ……ッ! だからダメだって! そんなことしても愛人にはしないからな!」
「夜が終わる頃には、その思想は変わっているんじゃないかな」
クリストファーは自信ありげに笑ってそんなことを言う。
ラシャの体は熱く、状況に流されそうになるが、思考はクリアで強引な妖精達を嫌悪していた。
ラシャは熱く動かしづらい体をもう一度抵抗のために動かす。
「いやだ……いやだ……! レオン!!」
そのとたん、破壊音と激しい風が吹き込んできて、ラシャは目を丸くした。
「すごい……呼んだら来た」
「人間って……そういうところあるよね……」
呆然と応えるクリストファーの言葉が間抜けに聞こえた。
怒りの形相で木造の家の壁ごと扉を破壊したレオンは、そのままラシャの周りの妖精達を投げ散らした。
ラシャの体が動かしづらいことを見て取ると、守るように抱き上げる。
それでも飽き足らず、レオンは座っていたクリストファーを蹴り倒して頭を踏みつけた。
ギリギリギリと足に力を入れられてクリストファーは悲鳴を上げた。
「イタタタタ!! ら、らしゃぁ……たすけて!」
情けない悲鳴をあげるクリストファーを、ラシャはレオンの腕の中から冷たく見下ろす。
「……クリストファー、お前が合意なしに薬を使ってレイプしたことは、きっちり族長に報告するからな。それが妖精の里の不利益に繋がることが分かっていてやったんだよな」
「レイプじゃないよ~! ラシャへの愛だよ!」
「思想が違いすぎて相いれないな」
ラシャはクリストファーの一方的な愛を切って捨てた。
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