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第三部 小さな国の人質王子は大陸の英雄になる
第202話 アーリア武闘大会予選 レベッカの楽しみ
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アーリア歴2年7月10日
この日、アーリア全土の腕自慢。力自慢。戦闘好きが集まる大会が行われた。
総勢1万人以上が出場することになった武闘大会。
大陸にあった歴代の武闘大会と比べても、ダントツの参加者を誇る大会となったのがアーリア武闘大会である。
莫大な人数が集まってしまった原因。
それは、フュンが『武を自慢したい人は誰でも参加で良いですよ』と軽はずみに言ってしまったがためであり、ここに参加制限を設けなかったからだ。
そのせいで、二日間に渡る予選会から始まってしまい、三日目が決勝トーナメントとして、本番となった。
意図せずに長いお祭りになってしまった王都アーリア。
でも大盛況となっているので、結果オーライだろうとフュンは一人で勝手に納得していたが、彼の周りの幹部たちにはいい迷惑である。
様々な分野でとんでもない量の調整が入って、開催されるまでの間、担当者たちはとても苦労したのだそうだ。
しかし、そんな事は民には関係なく、三日間のお祭りは、とても楽しいもので、戦争が終わった安堵感に加えて、永遠の平和を享受できるようになったのだと、民たちは思ったのだ。
◇
三日目が本番であったとしても、予選会でも、会場にお客さんが大量に集まっていた。
「へぇ。まだ本番じゃないですけど、皆さん、見学に集まっていますね。シルヴィア」
武闘大会会場の一番上の部屋にある貴賓席から、フュンとシルヴィアは会場を見渡す。
本番じゃないので二人で見学していた。
お付きはクリスのみである。
「そうですね」
「シルヴィアも混ざりたかったですか」
「当然ですね」
「まあ、当然の答えですね」
「ええ。当然です」
強者たちがいるのなら、戦ってみたい。
私に片腕があればと思っている彼女だが、でも自分の娘も出ているので、ここは自分の代わりに戦う彼女を応援すると決めていた。
「先にレベッカの番ですね」
「フュン」
「はい?」
「あれはどういうルールで。密集してますよ」
「はい。まあ、百ルールですね」
「百?」
「百人で戦い。百秒の時間制限の間にリング内に立っていた人の勝ち。基本的な仕組みは、王国の予選と同じです。このルールで休みなくどんどん進めます」
「・・・なるほど」
百人が同時に出場して、百秒が経過して、リング内にいたら勝ち抜き。
それを決勝の規定数まで繰り返す。
サバイバル予選である。
◇
「さて、父に言われている通りにするか」
予選会でのレベッカは、武器を持っていなかった。
周りの者たちが木製武器を持って戦うというのに、彼女は無手であった。
それはフュンからの指示であり。
本選までの間は武器使用禁止ですと言われたからだ。
ありえない条件だが、でもこれは当たり前の対応であった。
彼女が、木刀を持ち、百秒もあれば、全員リング外に弾き飛ばせるからだ。
ちなみにこのルールは、ゼファーにも適用されている。
銅鑼が鳴り、周りが戦う中で、彼女は一人その場に立つ。
触れない方がいいのかな。
触れたらどうなるんだろう。
リングに立っている選手たちは、横目で彼女を確認しながら目の前の敵と戦っていた。
「挑戦者・・・なしか」
無理に戦おうとしないレベッカは、子供の頃よりも確実に成長していた。
あの頃は自分から動いて、対戦相手を探していたのに、今ではじっと我慢することができていた。
かなりの成長である。
「どれ」
開始二十秒。戦う相手がいない―――誰も来ない。
なのでレベッカは、ここで一気に集中し始めた。
リングに上がっている選手たちの中で一番の強者を追い求める。
瞬間的に実力を判別し始めた。
「だめ。だめ・・・だめ・・・まあまあ・・だめ・・・まあまあ・・・よし」
人探しを始めてから素質のある人間を確認した。
◇
貴賓室で。
シルヴィアが娘の動きを確認した。
「動きましたね」
フュンも見る。
「ええ。そうですね。彼が一番良いですもんね」
「はい。百の内・・・最も才がありますね。あれは誰です」
「わかりませんね。まだ見ぬ才を持つ子でしょう」
無名中の無名。
でも、レベッカのお眼鏡に適った人材である。
◇
「何者だ。名は?」
「え? うわっ。いつの間に。俺の後ろに」
レベッカは青年の背後から話しかけていた。
背後を意識していない青年は驚いて振り向いた。
「お。おめえ。誰だ。さっきまで気配がなかったのに。さては妖怪か!?」
「私を知らない? どこの者だ」
「知らないよ」
「なに!? そいつは面白いな」
あのレベッカ・ウインドを、このアーリア大陸で知らない。
それは、いったいどこに暮らしている奴なのだ。
誰もがそう思う。
「時間がないな」
予選の時間を分かりやすくするために表示している砂時計が、半分以上落ちている。
レベッカは戦える時間が少ないとして、急ぎだした。
「どれ。構えとけ。いくぞ」
「え?」
青年は、レベッカが移動したことに気付いた。
ここで、愚鈍であれば、何が起きたか分からずに負けて、凡人であれば、彼女が消えたと錯覚し、優秀であれば、彼女が移動したことに気付く。
しかしこの青年は、それらの上。
レベッカの移動先を予測して、体を反応させた。
右に体を向けて武器を振り回す。
「ん!? まさか、私が完全に見えているのか」
バランスの悪い振り。でも確実に自分を捉えている攻撃位置で、レベッカはしゃがむような体勢で彼の剣を躱した。
「いいな。面白い」
退屈な予選会かもと、仏頂面だったレベッカは、満面の笑みに変わる。
強敵がいる。
それだけがレベッカの何よりの楽しみなのだ。
「速い!? 何だこの人は?」
「これはどうだ」
もう一つ速度を上げる。
踏み込む。足の角度をつける。飛ぶように動く。
この三つを最速に持っていく。
速度としてはこれ以上もあるが、この速度について来れるのはウインド騎士団の隊長たちだけ。
レベッカは試す力をどんどん上げていく。
「ん。左、じゃないな・・からの反転で右だ」
青年は完全に彼女の姿を捉えていた。それどころか、レベッカの足のステップすら読み切って、次に移動してくる場所を当てた。
そこに被せるようにして、攻撃をする。
「ほう。これも見えているんだな。面白い奴だな。こうするとどうする! はい!」
「あ・・・」
今のレベッカの防御は、無手の中で最高の防御方法だった。
彼女の両手の中に、青年の木刀が納まったのだ。
「今のこれが……素手で止められる!?」
「剣が我流だな。ここがもったいない。心と体・・・全てが良いのに、技が無い。本当に勿体ない逸材だな。青年」
「俺の村じゃ一番なのに・・・都会はすげえ。やっぱすげえ」
青年の目が輝いていた。
まだ見ぬ強敵に出会えた事で、気持ちが萎えるどころか、ますますやる気になる。
その姿にレベッカが喜ぶ。
「まだ来るか。青年」
「いく! というかおめえ。俺とそんなに歳が変わらんのじゃ?」
「私は18だ!」
「なんだ。かわらんな。俺は16だ」
「そうか。名・・・」
名前は?
と聞こうとしたら銅鑼が鳴った。
予選会は終わりを告げてしまう。
「それでは今、リングにいて勝ちあがった方たちは、あちらの青い出入り口に向かってください。次もお呼びしますので、移動をお願いします。予選会はまだまだあるので時間短縮にご協力ください」
アナウンスが流れたことで、移動をする。
レベッカも大人になり、今の指示に素直に従った。
「ああ、面白かったな。どうせ、また会えるからいいか」
移動中。
ずっと青年の事を考えていた。
どうせ、彼はこの予選を勝ち抜くに決まっている。
だから会えたら自己紹介をすればいい。
シンプルに物事を考えるレベッカは、この大会でゼファーと戦う事に加えて、さらに楽しみが増えたのだ。
◇
二人の戦いを上から見ていたシルヴィアが聞く。
「あの子・・・名前。わかります。クリス」
「先程のレベッカ様と戦っていた青年ですか」
フュンとシルヴィアの後ろに控えているクリスが答えた。
「はい。そうです」
「えっと、フュン様。何番か見えていましたか」
選手の体には番号札がつけられている。
「6329番です」
遠くにいるのにその数字が見えるフュンも凄い。
「わかりました。えっと・・・」
分厚い選手名簿を調べるクリス。
「ありました。ラグゴ村のヘンリー・キューズですね」
「ラグゴ村ですか。これまた・・・なんとも。そんなところから・・・」
その場所が分かるフュンに向かって、シルヴィアが聞く。
「どこですか。そこ? 聞いたことが無いのですが?」
「シルヴィア。アーリア最西端の市町村ってどこか知っています」
「それは、ミコットかウルタスでは? どちらが西に突き出ているのかは、知りませんが。たしかその二つが西だったはず」
「そうです。帝国人だとそう答える」
「帝国人だと?」
「はい。ただ王国人だと、ラグゴ村と答えます。そこはウルタス西のジャスル川のさらに西にあるんです」
「ジャスル川・・・の向こうは何もないはず」
「ええ。基本は何もありません。ですが、そこには木々に隠れたようにして村があります。森の中の村。ラグゴ村。アーリア大陸の陸の孤島と呼んでもいい場所ですね。秘境中の秘境だ」
大陸でも知っている者が少ない場所。
そこからやってきた青年を、フュンもレベッカと同様に面白がった。
新たな国にはこのような全土の人間に等しくチャンスがあるべきだと思っているからだ。
この日、アーリア全土の腕自慢。力自慢。戦闘好きが集まる大会が行われた。
総勢1万人以上が出場することになった武闘大会。
大陸にあった歴代の武闘大会と比べても、ダントツの参加者を誇る大会となったのがアーリア武闘大会である。
莫大な人数が集まってしまった原因。
それは、フュンが『武を自慢したい人は誰でも参加で良いですよ』と軽はずみに言ってしまったがためであり、ここに参加制限を設けなかったからだ。
そのせいで、二日間に渡る予選会から始まってしまい、三日目が決勝トーナメントとして、本番となった。
意図せずに長いお祭りになってしまった王都アーリア。
でも大盛況となっているので、結果オーライだろうとフュンは一人で勝手に納得していたが、彼の周りの幹部たちにはいい迷惑である。
様々な分野でとんでもない量の調整が入って、開催されるまでの間、担当者たちはとても苦労したのだそうだ。
しかし、そんな事は民には関係なく、三日間のお祭りは、とても楽しいもので、戦争が終わった安堵感に加えて、永遠の平和を享受できるようになったのだと、民たちは思ったのだ。
◇
三日目が本番であったとしても、予選会でも、会場にお客さんが大量に集まっていた。
「へぇ。まだ本番じゃないですけど、皆さん、見学に集まっていますね。シルヴィア」
武闘大会会場の一番上の部屋にある貴賓席から、フュンとシルヴィアは会場を見渡す。
本番じゃないので二人で見学していた。
お付きはクリスのみである。
「そうですね」
「シルヴィアも混ざりたかったですか」
「当然ですね」
「まあ、当然の答えですね」
「ええ。当然です」
強者たちがいるのなら、戦ってみたい。
私に片腕があればと思っている彼女だが、でも自分の娘も出ているので、ここは自分の代わりに戦う彼女を応援すると決めていた。
「先にレベッカの番ですね」
「フュン」
「はい?」
「あれはどういうルールで。密集してますよ」
「はい。まあ、百ルールですね」
「百?」
「百人で戦い。百秒の時間制限の間にリング内に立っていた人の勝ち。基本的な仕組みは、王国の予選と同じです。このルールで休みなくどんどん進めます」
「・・・なるほど」
百人が同時に出場して、百秒が経過して、リング内にいたら勝ち抜き。
それを決勝の規定数まで繰り返す。
サバイバル予選である。
◇
「さて、父に言われている通りにするか」
予選会でのレベッカは、武器を持っていなかった。
周りの者たちが木製武器を持って戦うというのに、彼女は無手であった。
それはフュンからの指示であり。
本選までの間は武器使用禁止ですと言われたからだ。
ありえない条件だが、でもこれは当たり前の対応であった。
彼女が、木刀を持ち、百秒もあれば、全員リング外に弾き飛ばせるからだ。
ちなみにこのルールは、ゼファーにも適用されている。
銅鑼が鳴り、周りが戦う中で、彼女は一人その場に立つ。
触れない方がいいのかな。
触れたらどうなるんだろう。
リングに立っている選手たちは、横目で彼女を確認しながら目の前の敵と戦っていた。
「挑戦者・・・なしか」
無理に戦おうとしないレベッカは、子供の頃よりも確実に成長していた。
あの頃は自分から動いて、対戦相手を探していたのに、今ではじっと我慢することができていた。
かなりの成長である。
「どれ」
開始二十秒。戦う相手がいない―――誰も来ない。
なのでレベッカは、ここで一気に集中し始めた。
リングに上がっている選手たちの中で一番の強者を追い求める。
瞬間的に実力を判別し始めた。
「だめ。だめ・・・だめ・・・まあまあ・・だめ・・・まあまあ・・・よし」
人探しを始めてから素質のある人間を確認した。
◇
貴賓室で。
シルヴィアが娘の動きを確認した。
「動きましたね」
フュンも見る。
「ええ。そうですね。彼が一番良いですもんね」
「はい。百の内・・・最も才がありますね。あれは誰です」
「わかりませんね。まだ見ぬ才を持つ子でしょう」
無名中の無名。
でも、レベッカのお眼鏡に適った人材である。
◇
「何者だ。名は?」
「え? うわっ。いつの間に。俺の後ろに」
レベッカは青年の背後から話しかけていた。
背後を意識していない青年は驚いて振り向いた。
「お。おめえ。誰だ。さっきまで気配がなかったのに。さては妖怪か!?」
「私を知らない? どこの者だ」
「知らないよ」
「なに!? そいつは面白いな」
あのレベッカ・ウインドを、このアーリア大陸で知らない。
それは、いったいどこに暮らしている奴なのだ。
誰もがそう思う。
「時間がないな」
予選の時間を分かりやすくするために表示している砂時計が、半分以上落ちている。
レベッカは戦える時間が少ないとして、急ぎだした。
「どれ。構えとけ。いくぞ」
「え?」
青年は、レベッカが移動したことに気付いた。
ここで、愚鈍であれば、何が起きたか分からずに負けて、凡人であれば、彼女が消えたと錯覚し、優秀であれば、彼女が移動したことに気付く。
しかしこの青年は、それらの上。
レベッカの移動先を予測して、体を反応させた。
右に体を向けて武器を振り回す。
「ん!? まさか、私が完全に見えているのか」
バランスの悪い振り。でも確実に自分を捉えている攻撃位置で、レベッカはしゃがむような体勢で彼の剣を躱した。
「いいな。面白い」
退屈な予選会かもと、仏頂面だったレベッカは、満面の笑みに変わる。
強敵がいる。
それだけがレベッカの何よりの楽しみなのだ。
「速い!? 何だこの人は?」
「これはどうだ」
もう一つ速度を上げる。
踏み込む。足の角度をつける。飛ぶように動く。
この三つを最速に持っていく。
速度としてはこれ以上もあるが、この速度について来れるのはウインド騎士団の隊長たちだけ。
レベッカは試す力をどんどん上げていく。
「ん。左、じゃないな・・からの反転で右だ」
青年は完全に彼女の姿を捉えていた。それどころか、レベッカの足のステップすら読み切って、次に移動してくる場所を当てた。
そこに被せるようにして、攻撃をする。
「ほう。これも見えているんだな。面白い奴だな。こうするとどうする! はい!」
「あ・・・」
今のレベッカの防御は、無手の中で最高の防御方法だった。
彼女の両手の中に、青年の木刀が納まったのだ。
「今のこれが……素手で止められる!?」
「剣が我流だな。ここがもったいない。心と体・・・全てが良いのに、技が無い。本当に勿体ない逸材だな。青年」
「俺の村じゃ一番なのに・・・都会はすげえ。やっぱすげえ」
青年の目が輝いていた。
まだ見ぬ強敵に出会えた事で、気持ちが萎えるどころか、ますますやる気になる。
その姿にレベッカが喜ぶ。
「まだ来るか。青年」
「いく! というかおめえ。俺とそんなに歳が変わらんのじゃ?」
「私は18だ!」
「なんだ。かわらんな。俺は16だ」
「そうか。名・・・」
名前は?
と聞こうとしたら銅鑼が鳴った。
予選会は終わりを告げてしまう。
「それでは今、リングにいて勝ちあがった方たちは、あちらの青い出入り口に向かってください。次もお呼びしますので、移動をお願いします。予選会はまだまだあるので時間短縮にご協力ください」
アナウンスが流れたことで、移動をする。
レベッカも大人になり、今の指示に素直に従った。
「ああ、面白かったな。どうせ、また会えるからいいか」
移動中。
ずっと青年の事を考えていた。
どうせ、彼はこの予選を勝ち抜くに決まっている。
だから会えたら自己紹介をすればいい。
シンプルに物事を考えるレベッカは、この大会でゼファーと戦う事に加えて、さらに楽しみが増えたのだ。
◇
二人の戦いを上から見ていたシルヴィアが聞く。
「あの子・・・名前。わかります。クリス」
「先程のレベッカ様と戦っていた青年ですか」
フュンとシルヴィアの後ろに控えているクリスが答えた。
「はい。そうです」
「えっと、フュン様。何番か見えていましたか」
選手の体には番号札がつけられている。
「6329番です」
遠くにいるのにその数字が見えるフュンも凄い。
「わかりました。えっと・・・」
分厚い選手名簿を調べるクリス。
「ありました。ラグゴ村のヘンリー・キューズですね」
「ラグゴ村ですか。これまた・・・なんとも。そんなところから・・・」
その場所が分かるフュンに向かって、シルヴィアが聞く。
「どこですか。そこ? 聞いたことが無いのですが?」
「シルヴィア。アーリア最西端の市町村ってどこか知っています」
「それは、ミコットかウルタスでは? どちらが西に突き出ているのかは、知りませんが。たしかその二つが西だったはず」
「そうです。帝国人だとそう答える」
「帝国人だと?」
「はい。ただ王国人だと、ラグゴ村と答えます。そこはウルタス西のジャスル川のさらに西にあるんです」
「ジャスル川・・・の向こうは何もないはず」
「ええ。基本は何もありません。ですが、そこには木々に隠れたようにして村があります。森の中の村。ラグゴ村。アーリア大陸の陸の孤島と呼んでもいい場所ですね。秘境中の秘境だ」
大陸でも知っている者が少ない場所。
そこからやってきた青年を、フュンもレベッカと同様に面白がった。
新たな国にはこのような全土の人間に等しくチャンスがあるべきだと思っているからだ。
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スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
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追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
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そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
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