無能なオタクの異世界対策生活〜才能はなかったが傾向と対策を徹底し余裕で生き抜く〜

辻谷戒斗

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第一章 追放対策

第五話

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 あれからしばらく経った現在、徹也達は昼食を食べ終わり配属先の発表が行われていた。生徒達が次々と才能にあった配属先が言い渡されていく。

「優愛殿は教会の方に行っていただきます。そこで、怪我人に治癒をお願いしたいのです。その教会には優愛殿と同じ才能を持つ者が多くいますので、その者達から説明を受けてください。案内は彼女に任せます」

「は、はい……。あ、あの、よろしくお願いします」

「ええ。よろしくお願いします」

 優愛がマディーが紹介した女性に挨拶をすると、女性も優愛に挨拶を返した。後マディーに声をかけられていないのは、戦闘系の才能を持つ者と、徹也、舞、治伽だけだ。

 するとマディーは、一人一人に声をかけることを止め、残った者全員に語りかけた。

「後の方々は、騎士団の方に行っていただきます」

「ちょ、ちょっと待ってください!私はまだ分かります!ですが生徒達が危険に晒されるのは――!」

「もちろん、危険がない訓練から始めます。しかし、才能の観点から騎士団に行ってもらうのが……」

「でも!才無佐君に小早川さん、望月さんは――!」

「……そのお三方については、こちらでは適所が分からないので、取り敢えずですが教師の刀夜殿と同じところで、と……」

 建前だと、徹也は思った。本当は使えないから騎士団に送り、暗殺や追放を企てるつもりだろう。

 そして、その危険があるのは徹也だけではない。舞、そして治伽にもその危険がある。徹也は、舞と治伽にこのことを伝えなければと思った。

「っ……!そう、ですか……」

 刀夜はマディーの言葉を聞いて、悔しそうにそう言い顔をうつむかせた。生徒の安全が本当に保証されているのか。刀夜はそんな疑問を抱く。まだ騎士団を見ていないので何も言えないが、刀夜はとてつもない不安に襲われた。だが同時に、自分が生徒を守らなければとも思い、刀夜は決意を新たにした。

「では、この後それぞれの配属場所に移動してもらいます。騎士団の方々はこの王城の中にある騎士団訓練場にて、訓練をしてもらいますので今から……そうですな。三十分後にここから移動します。それまでに準備を終わらせておいてください」

 マディーがそう言った後、騎士団以外の場所に行く生徒達は案内に従って移動を開始した。優愛も徹也達に手を振ってこの場所から出ていく。

「……ちょっといいか?」

 徹也は、優愛がこの場所から出ていったすぐ後に、舞と治伽に声をかけた。舞と治伽は徹也の真剣な表情に疑問を思いつつ、徹也の言葉に答える。

「う、うん……。いいけど……」

「……私も構わないわ」

「……ありがとう。じゃあ、こっちに来てくれ」

 徹也はそう言うと、舞と治伽を連れてこの場所から出ていった。
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