72 / 93
第二章 財政対策
第二十六話
しおりを挟む
一方、徹也の方では状況に変化があった。徹也が矢を放って雷を避けながら、少しずつボスリーに近づいていたのだ。
だが、ボスリーはそんな徹也行動など意に介さずに、矢を避けながら《サンダー・ジャゲット》を放ち続ける。ボスリーからすれば、徹也のその行動は好都合だったからだ。
徹也もまた、ボスリーがそう来ることは分かっていた。自分が一時的に、苦しくなることも。しかし徹也は、この方法を選んだ。自らが危険になるこの方法を。
(時間稼ぎはもう十分だろう。もうすぐ、クリスさんが来てくれる。だが、こいつの動きを止めれればクリスさんが楽になるはずだ)
徹也はそう思い、雷を避けながらボスリーに近づいていく。そんな徹也に苛ついたのか、ボスリーが声を荒らげながら魔法を放った。
「いい加減ウゼえんだよ!さっさと死ねや!《サンダー・ジャゲット》!」
ボスリーが放った《サンダー・ジャゲット》が、ボスリーに近づいてきていた徹也に直撃した。雷の速さに加えて近づいていたこともあり、徹也は避けきることが出来なかったのである。
辛うじて弓で防御態勢をとったが、弓では剣とは違い魔法を防ぎ切ることが出来なかった。故に、徹也の体に電撃が走る。
その電撃によって、徹也の手から弓が落ちてしまった。そして徹也も、前の方に倒れていく。
「「「「徹也(君)!!」」」」
優愛達の声が、辺りに響く。その声はもちろん、徹也まで届いていた。
(……ああ。痛い。これが、魔法の威力か。あいつらにも、心配かけてるよな……。でも――)
徹也は倒れきらずに、右足を深く踏み込む。そして顔を上げて、手を自らの腰にある剣に持っていった。
(大丈夫だ。想定内、だからな!)
そう思った徹也は、剣を鞘から抜き去った。徹也は本気でボスリーを殺す為に、ボスリーの首へ目掛けて剣を振るう。
ボスリーはそんな徹也に驚き、反射的に自らの懐に手を突っ込んだ。そして、そこから引っ張り出した短剣で、徹也の剣を防ぐ。
「危ねえなあ……!ただの特攻じゃなかったわけだ……!ま、隠してたのはお互い様だがな!」
「チッ……!」
徹也は決めきれなかった。ここで仕留めきれれば万々歳だったんだが、と徹也は思う。ボスリーはそんな徹也を見て、ニヤリと口角を上げた。
「じゃあまあ……。今度こそ死ねえ!」
ボスリーがそう言うと、短剣に雷が纏われ始める。だが、徹也もまたボスリーと同じように、口角を上げていた。
すると、短剣を持つボスリーの手が落ちた。いや、切れたのである。そしてそこからは、ボスリーの血が流れている。
「……は?」
ボスリーは何が起きたのか、理解できなかった。だが、徹也の隣に立つ者を見て、何が起こったのかを理解する。
「すいませんクリスさん。仕留めきれませんでした」
「いえ。こちらこそすいません。遅くなってしまって……」
「大丈夫です。死んでないので。後、おまかせします」
「はい。任せてください」
クリスは徹也の言葉に頷くと、ボスリーの方に向き直る。そして右手に持つ剣を、ボスリーに向けた。
だが、ボスリーはそんな徹也行動など意に介さずに、矢を避けながら《サンダー・ジャゲット》を放ち続ける。ボスリーからすれば、徹也のその行動は好都合だったからだ。
徹也もまた、ボスリーがそう来ることは分かっていた。自分が一時的に、苦しくなることも。しかし徹也は、この方法を選んだ。自らが危険になるこの方法を。
(時間稼ぎはもう十分だろう。もうすぐ、クリスさんが来てくれる。だが、こいつの動きを止めれればクリスさんが楽になるはずだ)
徹也はそう思い、雷を避けながらボスリーに近づいていく。そんな徹也に苛ついたのか、ボスリーが声を荒らげながら魔法を放った。
「いい加減ウゼえんだよ!さっさと死ねや!《サンダー・ジャゲット》!」
ボスリーが放った《サンダー・ジャゲット》が、ボスリーに近づいてきていた徹也に直撃した。雷の速さに加えて近づいていたこともあり、徹也は避けきることが出来なかったのである。
辛うじて弓で防御態勢をとったが、弓では剣とは違い魔法を防ぎ切ることが出来なかった。故に、徹也の体に電撃が走る。
その電撃によって、徹也の手から弓が落ちてしまった。そして徹也も、前の方に倒れていく。
「「「「徹也(君)!!」」」」
優愛達の声が、辺りに響く。その声はもちろん、徹也まで届いていた。
(……ああ。痛い。これが、魔法の威力か。あいつらにも、心配かけてるよな……。でも――)
徹也は倒れきらずに、右足を深く踏み込む。そして顔を上げて、手を自らの腰にある剣に持っていった。
(大丈夫だ。想定内、だからな!)
そう思った徹也は、剣を鞘から抜き去った。徹也は本気でボスリーを殺す為に、ボスリーの首へ目掛けて剣を振るう。
ボスリーはそんな徹也に驚き、反射的に自らの懐に手を突っ込んだ。そして、そこから引っ張り出した短剣で、徹也の剣を防ぐ。
「危ねえなあ……!ただの特攻じゃなかったわけだ……!ま、隠してたのはお互い様だがな!」
「チッ……!」
徹也は決めきれなかった。ここで仕留めきれれば万々歳だったんだが、と徹也は思う。ボスリーはそんな徹也を見て、ニヤリと口角を上げた。
「じゃあまあ……。今度こそ死ねえ!」
ボスリーがそう言うと、短剣に雷が纏われ始める。だが、徹也もまたボスリーと同じように、口角を上げていた。
すると、短剣を持つボスリーの手が落ちた。いや、切れたのである。そしてそこからは、ボスリーの血が流れている。
「……は?」
ボスリーは何が起きたのか、理解できなかった。だが、徹也の隣に立つ者を見て、何が起こったのかを理解する。
「すいませんクリスさん。仕留めきれませんでした」
「いえ。こちらこそすいません。遅くなってしまって……」
「大丈夫です。死んでないので。後、おまかせします」
「はい。任せてください」
クリスは徹也の言葉に頷くと、ボスリーの方に向き直る。そして右手に持つ剣を、ボスリーに向けた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~
軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。
そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。
クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。
一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる